「市場原理より哲学の方が大事だが、私たちは市場原理の中にいる」 | 杉原学の哲学ブログ「独唱しながら読書しろ!」
コーオウンド・ビジネス研究会に参加した。
 
今回はアメリカのコーオウンド会社、
クローマ・テクノロジーの社長が急きょ来日、
お話を聞くことができた。
 
クローマ・テクノロジーは
100%従業員所有会社。
 
なんと会社の設立時から
「会社の所有をどうするか」
が議論になったという。
 
そのとき「従業員所有」を主張したのが、
社長のポール・ミルマンさん。
 
従業員所有にしたのは、
その方が「フェアだから」。
 
「市場原理より哲学の方が大事だが、
 私たちは市場原理の中にいる。
 その折り合いをつけねばならない」
 
というポールさんの言葉が
大変印象的だった。
 
会社設立時は少人数だったので
「経営」する必要がなく、
実際「経営陣」と呼ばれる人間はいなかった。
 
つまりあらゆる事案を、
従業員みんなで話し合って決めた。
 
人数が増えてくるとさすがに
そうはいかなくなってくるのだが、
今でもできるだけそうしているという。
 
業績はいたって好調。
 
近年は、従業員所有会社が
そうじゃない会社を買収するという
ケースも増えてきているようだ。
 
この従業員所有事業の素晴らしいところは、
働いている人たちがとにかく
幸せそうなところだろう。
 
「人は、自分が本当にやりたいことを

 やっているときは、いい人なのです」

 

というサミュエル・バトラーの言葉があるが、

彼らの姿を見ていると、

人間はやっぱり競争なんかしたくなくて

(ゲームとか遊びは別にして)、

協力しながら生きていきたいんだ、

ということを改めて実感させられる。

 

シェア=共有という言葉が

ずいぶん広がってきているが、

これからは企業を従業員みんなでシェアする

従業員所有事業=コーオウンド・ビジネスが

日本でも台頭してくるだろう。

 

コーオウンド・ビジネスについて知りたい方は、

細川あつしさんの著書

コーオウンド・ビジネス: 従業員が所有する会社

がとってもわかりやすくてオススメです。

 
 
 
 
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