我が家では、
月のウンチクが書かれた
カレンダーを使っているのだが、
ときどき驚くような事実を
このカレンダーから
教わることがある。
そして12月のページにも、
僕の既成概念を崩壊させる
ウンチクが書かれていた。
それが下の写真の
【月見そば】に関する文章である。
【月見そば】
美しい月夜の風景が描かれた一杯。
卵の黄身を月に見立て、月にかかる雲を白身、
夜空を海苔、月の光に浮かぶ山をかまぼこ、
すすきを三つ葉などで表す。
日常の食べ物に月を取り込んだ、
先人の粋な遊び心だ。
……これを読んで僕は、
けっこうなショックを受けてしまった。
僕はてっきり、
卵の黄身さえ浮かべれば
それで「月見そば」だと思っていた。
蕎麦屋のメニューでもけっこう安い方だし、
そこに親しみを感じていたんだ。
それがこんな手の込んだ料理だったなんて……。
これまで気安く付き合っていた親友に、
「今まで黙ってたけど、
実は俺、貴族の生まれでさ……」
と突然告白されて、
なんだか急によそよそしい
関係になったような感じだ。
「いや、でも気にせずに、
今まで通り付き合ってくれよ!」
と言われても、
それはもう無理な話だ。
今まで気安く注文して、ごめん。
さようなら、月見そば。
ありがとう、月見そば。
ずっと黄身の蕎麦に、いたかった。