行きつけの喫茶店に長居してると、
だんだんと面白いことがわかってきた。
どうやら、
客がよくドリンクをこぼす席と、
客がよくカバンを落とす席が、
それぞれ決まっているようなのだ。
もちろん同じ人がというわけではなく、
客は入れ替わっているにもかかわらず、である。
どちらも使用率の高い席なので、
それに比例してトラブルが起こる確率も
高くなるということは確かにある。
しかし、
ドリンクをこぼす席では
やっぱりドリンクをこぼすし、
カバンを落とす席では
やっぱりカバンを落とすのである。
こう言うと、そりゃどちらの席も
そうなりやすい構造の席なんだろう、
と思われるだろう。
ところが僕の見る限り、その逆なのである。
ドリンクをこぼす席は、いわゆる2人席が
横に8つほど並んでいるうちの、いちばん端の席。
片方の座席は横にずっとつながったソファーで、
もう片方は独立したイスになっている。
いちばん端の席なので
隣の人と当たったりする危険性が少なく、
席に座るのもいちばんスムーズにできる。
人が近くをしょっちゅう通るわけでもない。
にもかかわらず、みんなドリンクをこぼす。
午後の3時間の間に、なんと3組連続で
こぼしたのを僕は見たことがある。
ドッキリかと思ってカメラを探したほどだ。
そしてカバンを落とす席は、
その横並びの席のほぼ中央あたり。
カバンは横につながったソファーに置くので
安定しそうなものだが、
なぜかみんな豪快に地面に落とす。
先日などは女子高生のカバンが
まっさかさまに地面に落ちて、
中身を全部ぶちまけてしまった。
あまりに激しい音だったため、
1階にいた店員があわてて
2階に駆け上がってきたほどだ。
その次の客などは最初から置きそこなって、
自分が席に座る前にカバンを地面に落としていた。
これはどういうことなのだろう?
ひとつ考えられるのは「油断説」である。
両サイドに人がいる席なら、
ドリンクをこぼさないようにする配慮が
より強く働くであろうことは容易に想像できる。
ところが横に人がいないとなると、
ついつい油断して、注意が散漫になるのではないか。
カバンを落とす席についても同じである。
「ここならカバンは安定している」という思い込みから、
つい不用意に接触して落としてしまうのかもしれない。
これらはいずれも仮説なので、
まだまだ検証の余地ありである。
もしかすると僕が座っていた席もまた、
「なぜかみんな長居してしまう席」
だったりするのかもしれないが(笑)。
さて、あなたのよく行く喫茶店には、
こんな「ワケあり」席、ありませんか?