僕の友人に、ものすごくお茶に詳しい女性がいる。
その人はべつにお茶を習っているわけではなく、
そういう仕事をしているわけでもない。
僕は不思議に思って、
なぜそんなにお茶について
詳しくなったのか聞いてみた。
彼女の答えはこうだった。
あるとき、おばあちゃんにお茶を淹れてあげた。
するとおばあちゃんに、
「あんたの淹れるお茶はおいしいねー」
と言われた。
それから、おいしいお茶の淹れ方を
研究するようになった、という。
ありがちな話と言えばそうなのだが、
僕はちょっと感動してしまった。
おばあちゃんの言葉を聞いたときの
彼女のこころの動きを想像するだけで、
なんだかこっちまでうれしくなってくる。
この話を思い出すたびに、
僕はふと考えてしまうのである。
「教育」ってなんなんだろう? と。