希望のしくみ | 杉原学の哲学ブログ「独唱しながら読書しろ!」
希望のしくみ (宝島社新書)/アルボムッレ・スマナサーラ



『希望のしくみ』というタイトルの秀逸さに、
読み終わってから改めて感心した。

宗教というと、なんだかあいまいなもののように感じてしまう。

だが、スリランカ仏教界長老のスマナサーラさんは、
仏教の教えは全て論理的に説明することができると断言している。

(スマナサーラさんの説く仏教は、
 2500年前から続く最初の仏教「テーラワーダ仏教」)

そして、養老さんは科学的アプローチで、
スマナサーラさんが語るのと同じ真理に到達している。

二人の対話の中で、世の中の真理、幸せとは何かという
普遍的なテーマに対して極めて論理的な見解が語られる。

「希望」というものを、ただの精神論で片付けるのではなく、
「しくみ」としてやさしく理解させてくれる良書だと思う。

そしてこの本のいいところは、
哲学的テーマを扱っているにも関わらず、
決して重くならないこと。

二人とも、いい意味でくだけているというか、
あっけらかんとしている。

このへんの雰囲気が、
キリスト教と仏教の大きな違いのような気がする。

たとえば、僕にとって印象的だったこんな言葉。


「だから、もっと人生ふざければ幸せになりますよ(笑)。
そんな深刻なことじゃないですよ。世界は単純ですからね。」
(スマナサーラ)

「まず自分が楽しくなりなさい。
それから皆にも楽しみを与えることだ。それ以外には何もないよ。」
(スマナサーラ)

「入学試験の価値観なんかにも通じるんだけど、
「できた方がえらい」っていうのは大間違い(笑)。
そんなの、人間の価値とは関係ないんですよ。
できようが、できまいが、たんなる状態の違いでしかないんだから。」
(養老孟司)


既存の価値観を大胆にひっくり返してくれる二人の対話。

善い悪い、正しい正しくないは別にして、
考え方の幅を広げるためにもぜひ一読をオススメしたい本。

ちなみに僕も友達に勧められて読みました(笑)


満足度
★★★★☆


マナブはミュージシャンとしても活動してます。
(曲の試聴・購入はこちらから)

http://www.records.jp/cheerup/A0000059/index.html