水無月過ぎて
声を聞く
文月葉月
羽根のみ残して…
学生時代に詠んだ短歌
短歌の題材に蝉を選ぶくらい虫の中で蝉が一番好き
すきな
小学校にあがる前に毎日図鑑を眺め
アブラゼミが幼虫時代に土の中で6年を過ごしやっと成虫になって出てきたかと思うと
ひと夏で死んでしまうことに涙した
成虫になってからは一瞬で燃え尽きる儚い命に子供ながらに無常観を覚えたんだと思う
それ以来夏が来る度
蝉が道に墜ちているのを見つけるとついつい手を伸ばし近くの木に移動させてしまうようになった
ちょっとでも長生きできますように…と願いを込めて
大体の蝉が掴んだ瞬間
ジッジッジッ~と鳴いて抵抗するから余計寿命縮んでんじゃないかな~と実は内心ヒヤヒヤ
→気にしすぎ芸人並みにchicken

羽根のない蝉や時には蟻に襲われている蝉も…
大人になった私を試すかのように
今朝会社の最寄り駅の一番混む道に蝉が墜ちていた
私の歩く速度が急に落ちて
後ろの人にどんどん追い抜かれて…
見渡すとちょっと細すぎるけど木が目に入った
でも…足は止まれなかった
「体裁」が足を止めてくれなかった…
残業で疲れきった帰り道
踏まれてたらどうしようと蝉がいた付近で立ち止まりコンタクトを落とした時みたいに暗い地面を見つめた
蝉の姿のないその地面を見つめながら
体裁を優先した自分に少し後悔をした
秋の長い夜に
蜩のカナカナという澄んだ声を聞くと
いつも泣きたくなる
今日の夜の涼しさはそんな秋の始まりに似て
疲労困憊な私には耐えられそうにもない