自然の種と人工の種と教育の話 | 学びスタジオ®︎ブログ〜教育あれこれ

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小さな個人塾を経営しています。「一緒に学ぶと、可能性が広がる」と考えています。教えるより、考えるように導きます。子どもと一緒に考えると、子どもが能動的に考えるようになります。そして、一緒に考える楽しさと、一人で考え抜く力を身につけていきます。

 

こんにちは、学びスタジオの奧川えつひろです。

 

私は、農地を借りて、野菜を作っています。

無農薬で作った野菜は、においがぷんぷんします。

 

今回は、野菜の"種"について書きます。

 

❤︎野菜の栽培は種から始まる

 

野菜の栽培は、

"種"から始まり、

栽培された野菜を収穫し、

その後

その野菜から生まれた"種"を採取し、

その"種"が来年の野菜の栽培に使われます。

 

このようにして、

代々受け継がれ、

その土地にあった性質を培った"昔ながらの種"は、

"固定種"とか"在来種"と呼ばれます。

 

❤︎今生産されている野菜の90%以上は、固定種ではない

 

現代の"種"は、

異なった品種を掛け合せて作られたもので、

その1代目だけが使われることから、

1代目を意味する(first filial generation)を略して、"F1種"と呼ばれています。

 

なぜ1代目が使用されるかというと、

異なった品種を掛け合せた場合"雑種強勢"といって、

1代目だけ同じ形で同じぐらいの大きさのものが短期間で育つからなのです。

 

2代目以降は、

大きさも形もまちまちで、

収穫に手間がかかり生産性が悪いから、

その種は捨てられます。

 

❤︎品種改良は市場のニーズ

 

このような品種改良は、

市場や流通の要望を満たす為で、

1960年代ごろから

野菜の雌しべに

目的とする特徴を有する異なった品種の花粉を受粉させることで

盛んに行われていました。

 

その際、

自家受粉させないように、

花粉が作られる前に

人為的に雄しべを取り除く"除雄"作業が

行われていました。

 

❤︎いわば"無精子状態の種"がF1種

 

ある時偶然に、

玉ねぎのある品種で

花粉を作らない雄しべが発見されました。

 

この植物は、

"雄性不稔"と呼ばれる病気で、

動物で言えば雄の無精子病に相当します。

 

病気とは言えこの性質を利用すると、

面倒な"除雄"作業を行うことなく

簡単に異なった品種を掛け合せて、

"F1種"を作ることが可能であることが判りました。

 

その為他の種別の野菜においても、

瞬く間にこの性質を持つ株を見つ出し、

"F1種"は、様々な種類の野菜に急速に広がりました。

 

❤︎雄性不稔はミトコンドリアの遺伝子異常

 

"雄性不稔"という病気の原因は、

ミトコンドリアの遺伝子の異常によります。

 

このミトコンドリアとは、

生命活動で必要とされる大半のエネルギーを産み出す細胞内にある重要な器官です。

 

掛け合された1代目は、

母方と父方の両方の特徴を共に受け継ぐことから、

片親が"雄性不稔"の遺伝子を持っていても、

その子どもは花粉を作ることができるようです。

 

しかしながら

2代目以降の子孫には、

"雄性不稔"の性質が顕れます。

 

このように

"F1種"から育った植物は、

1代目は、"雄性不稔"の性質を顕しませんが、

異常なミトコンドリア遺伝子は持っている可能性があります。

 

❤︎F1種を食べていると、人間や動物にも危険

 

ミトコンドリアの遺伝子異常は、

植物だけでなく人間や動物においても、

不妊をもたらすことが証明されています。

 

"雄性不稔"の植物を用いて"F1種"を得る際に、

異なった品種の花粉を受粉させる為に運び役として、

ミツバチが利用されています。

その影響で、

卵を産まない女王バチが続々と増えているのいう事実もあります。

 

❤︎"雄性不稔"を利用した"F1種"の野菜は、栄養価も低い

 

最近の野菜と1950年代の野菜の

ビタミンCやミネラル(鉄分)の栄養素を、

ホウレン草を例にとって比較してみますと、

 

ホウレン草100g当たり

ビタミンCの含有量は、

1950年では、150mg

1982年には、65mg

2000年には、35mg

 

また鉄分は、

1950年では、13.0mg

1982年では、3.7mg

2000年では、2.7mg

 

とほぼ5分の1に減少しています。

 

色々の野菜で、このような経年変化で栄養価の低下がみられます。

 

栄養価の低下の原因は、

現代農業の三点セットと言われる

"農薬"と"化学肥料"と"F1種"ですね。

 

❤︎"F1種"は早く成育する

 

"F1種"は、

成長が早く成育期間も短く生産性に優れていますが、

それは、

光合成や根から養分を吸収する期間も短いので、

特にビタミンやミネラルなどの低下につながっています。

 

❤︎"固定種"の野菜はとても味が濃く美味しい

 

こんな話があります。

『タネを買って帰ったら、

固定種の甲州トウモロコシが

サルに食べられていた。

ところが隣の家のスイートコーンは、

一口かじってぺっと吐き出して捨ててあった。』

 

『固定種のニンジンは、

野ネズミがかじるので困る。

向陽二号ならネズミがかじらない。』

 

"食べなかった野菜"は、

全て"雄性不稔"を利用した"F1種"です。

 

サルやネズミは、"固定種"の野菜と"雄性不稔種"の"F1"野菜を区別し、"固定種"の野菜を食べていることになります。

 

❤︎まとめ。自然のままがいい!

 

自然の"固定種"と人工的に作られた"F1種"のことは、

教育にも当てはまります。

 

本来、教育とは、"教え育む"ものです。

 

"F1種"が生産性を重視するあまりに、1/5の栄養低下や不妊のような深刻な問題を持っているように、

 

現在の教育は、

教えることを重視するあまりに、

子どもをしっかり育てることができていないのではないかと思います。

 

子どもに寄り添い、

地に足をつけた教育です。

それは、

学習習慣を育てること

学力の基礎をしっかりと育てること

ではないでしょうか。