遺伝と賢さ。後ろから前へ、脳は発達する! | 学びスタジオ®︎ブログ〜教育あれこれ

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小さな個人塾を経営しています。「一緒に学ぶと、可能性が広がる」と考えています。教えるより、考えるように導きます。子どもと一緒に考えると、子どもが能動的に考えるようになります。そして、一緒に考える楽しさと、一人で考え抜く力を身につけていきます。

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「カエルの子はカエル」
とか
「トンビがタカを産む」
とか
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子どもは紛れもなく、両親の遺伝子を受け継いだ存在ですね。
それでは、頭の良し悪しは、親から子どもにどのように遺伝するのでしょうか?
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❤︎脳の発達過程と遺伝との関係
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頭の良し悪しに直接かかわる器官は、脳です。
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脳の発達過程を見てみると、親の頭の良し悪しは子どもどのように影響するかがわかります。
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❤︎後ろから前へ、脳は発達する
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人間の脳は、生まれてから大人になるまでの成長過程において、後ろから前に向かって発達していきます。
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時期によって発達する部位が異なるので、遺伝による影響の受けやすさも変わります。
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❶まず発達し始めるのが、視覚を担う"後頭葉"と、聴覚を担う"側頭葉"。
誕生から数年かけてし、成長のかなり早い段階で大人と同じレベルにまで発達します。
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❷次に発達を始めるのが、触感を司る感覚野と体の動きを司る運動野を持つ"頭頂葉"。
3歳ごろから本格的に発達を開始します。
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❸最後に発達するのが、思考・感情・理性などを司る"前頭葉"。
中でも"前頭前野"という場所は最後に発達することが分かっていて、その発達のピークは思春期から20歳代ごろまでです。
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❤︎頭の良し悪しは、遺伝とはあまり関係がない
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このように発達していく脳の各部位のうち、
遺伝の影響を大きく受けるのは、誕生してすぐ発達し始める後頭葉と側頭葉です。
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特に後頭葉に関係する視力や聴力は親に似る傾向があります。
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一方、最後に発達する前頭葉が受ける遺伝の影響をあまり受けず、環境の影響を大きく受ける部分になります。
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そして、この前頭葉こそが、頭の良し悪しに関係する部分です。
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特に最後に発達する"前頭前野"は、
高次認知機能といい、考える力、判断する力、洞察する力、計画する力、我慢する力……。
勉強という行動そのものに必要な力ばかりです。
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このように、頭の良さは、遺伝とはあまり関係がなく、長い期間をかけて伸ばしていくことができるものなのです。
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❤︎遺伝が影響を与える場合
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しかし、それでも、確かに遺伝が子どもの前頭葉に与える影響はあります。
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が、
遺伝的にある素質を持っていたとしても、
遺伝のみによってすべてが決まるわけではなく、
その素質が発現するかどうかは、環境次第で決まります。
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同じ遺伝的素質があっても、環境によって、現実のものとして発現する場合としない場合があるということです。
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たとえば、
問題行動を起こす遺伝的素質は、
しつけが厳しすぎたり、一貫していない家庭のほうが強く出る傾向があり、
しつけが厳しすぎず、一貫している家庭では現れにくいです。
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また、
読み聞かせをした子の問題解決力が高くなったり、
無理に何かをさせず自由にさせていた子のほうが、知的能力が高くなるという結果も出ています。
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親がすべきことは、遺伝の影響を心配することではなく、子どもの頭の良さを伸ばすために環境を整えていくことです。
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❤︎学びの準備・環境
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高次認知機能を司る”前頭前野”がピークをむかえるのは、思春期にあたる8歳ごろからです。
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だからといって、勉強は8歳からではありません。
母語の確立は、すでに3歳から始まっています。
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だから、
日常会話、読み聞かせ、読書、そして、国語(や英語)の学習を通じて、
できるだけたくさんの言葉を覚えや言葉のルールを知り、十分に母語を身につけ、
来るべき”前頭前野”のピークをむかえる土台をしっかり作ってほしいと思います。