映画『母べえ』を観る | 学びをつくる会世話人リレーブログ

映画『母べえ』を観る

山田洋治監督、吉永小百合主演の映画『母べえ』を観た。太平洋戦争下、母娘・庶民の生活の困難を描いている。父べえはドイツ文学者であるが、思想犯として治安維持法違反で捕らえられ、獄死する。残された母べえが二人の娘を抱えて苦しみ、育てていく。その周りに父べえの教え子や故郷広島の妹、母べえの奈良の叔父などが支援する。その日常を丁寧に描いている。自主製作の『日本の青い空』は日本国憲法の平和・人権・民主主義の基本を支えて学者を描いたわけだが、『母べえ』はまた違ったアプローチで、今日の日本の平和と民主主義はどんな犠牲によって支えられているのかを描いたといえる。どちらも今日的憲法論に一石を投じているのだ。
さて、わが亀有アリオの映画館には団塊の世代の女性がほとんどだった。反応もまちまちであるように見えた。共感している人、まあ、そんなことだったかという人。私は感動しつつ、これはずいぶん感想が分かれるだろうなと思った。それは、靖国参拝問題やアジアの人々の日本の戦争被害者への謝罪問題に見る通りだ。ドイツのように政府が先頭に立ってしっかりと謝罪し、教育で語り継ぎ、補償も犠牲がわかりしだい今日でも補っている。ナチスの責任はずっと問い続けている。(それでも繰り返しネオ・ナチズムなどの動きは起きる)。日本はそうではない。それは政府の問題だけではなく国民の意識に支えられている。戦争に反対した人への「非国民」問題も同じだ。今も職場における様々な差別・排除はある。差別する側・排除する側で行動した人は、こういう映画は観ないだろうが、観たとしての感想はどのようになるのだろうか。障害者の差別とのたたかいとなれば、だれもが共感するだろう。映画『アース』を観て地球環境の将来を憂うるのも共有されるだろう。しかし、こういうテーマになると、表面上は否定しなくても深い共感は生じないのではないだろうか。
あなたも、まずぜひ観てください。とくに若い人には観てほしい。そして、率直な感想を聞いてみたい。