久しぶりに小説を最後まで読みました。

「ハイパーハードボイルドグルメリポート」などでおなじみの、上出遼平さんの作品です。

理不尽な会社員生活から脱するために、自身の登山録を小説化して一山当てようという、理屈を愛する男性の話なのですが、現実と非現実の間を行ったり来たり。

人間の意識のように整合性を持たない物語なのですが、無秩序という訳でもない。

ハリボーや食事の描写はリアルで、安心できるものだなあと思ったり。

中心を貫いているのは、大学時代に失った友人に対する後悔。

日常生活では深層に仕舞われていることが、山道を歩いているうちに表面に表れるのでしょうか。

ラスト、実家に帰り、親に愛されている幸福を感じた主人公を襲う、衝撃の事実。

心の奥に残る作品でした。