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元々人気だった「5分間」シリーズ。
先日テレビで紹介されて、図書館の棚がカラになりました。
ショートショートで読みやすく、ちゃんとオチがあります。
手品の種明かしを知ったときのような、驚きを味わえるところが魅力。
特にこの「思わず涙」は、『本物のサンタクロース』『夏の葬列』が入っているだけで、個人的には名盤のアンソロジーです。
『本物のサンタクロース』は、数学パズルや論理クイズを楽しめる「○○の国のアリス」シリーズで有名な中原涼さんの作品。
プレゼントを配った子どもに「本当はお父さんなんでしょ?」と執拗に尋ねられ、がっかりしてしまうサンタクロースですが、実は…というお話。
驚きと、しみじみした気持ちを味わわせてくれます。
『夏の葬列』は山川方夫さんの著名作。
ショートショート云々を越え、哲学的な側面が含まれていると思います。
戦争に絡む悲劇であり、主人公もその波に巻き込まれた一人ではあるのですが、最終的に自分の責任だと受け止めています。
「もはや逃げ場所はないのだという意識が、彼の足どりをひどく確実なものにしていた。」