「ひとはあらゆる力を尽くして

長寿を果たし、

たとえ少しずつ呆けても、

その生命の灯が消えるまで

生きぬくべきである」

前大阪成人病センター名誉院長

佐藤武男先生が書かれた言葉だそうです。

 

夫は、声帯摘出という方法によって、

がんと立ち向かうことを決めました。

 

どのような生き方をするべきだとか、

どのような生き方が正しいとか、

そんなことを意見するつもりは

私は全くありません。

 

立川談志さんのように、

喉頭摘出手術を拒否するという

選択もひとつの生き方なのです。

 

人の生き方には、

正解も不正解もありません。

 

昨日、夫の実家で

夫の母が教えてくれました。

 

実は、夫は手術はしたくないと

両親に言ったそうです。

夫は、声が出なくなるのなら、

命が短くなっても良いと

言っていたと言うのです。

 

その時に、夫の母は

お嫁さんはそれで良いと思っているのか。

お嫁さんのために、

命を大切に出来ないのか。

目は見えるんだよ、耳も聞こえるんだよ、

声が出なくなっても、

いくらでも生きていける。

そんなことを言ったそうです。

 

夫は少し黙って考えていたそうです。

 

夫は日頃から、

「お前が自分の命を救ってくれた。」

と私に言っていました。

 

夫の性格を考えると、

多分、結婚していなければ、

がん治療は拒否していただろうし、

そもそも病院へは行っていないと

思います。

 

私が夫の生き方を

変えてしまったのかもしれません。

 

ただ、私が言えることは、

夫が選んでくれた

<たとえ喋れなくなっても生きる>

という生き方を、

心の底から応援したいと思う、

ただそれだけなのです。