あたりは少し暗くなっていた。
考え事をしていた秋穂は背後に人がいることに気がつかなかった。                                                  
「きゃっ!!」と秋穂は声を上げた。
それは人がいることに気がつかなかったし、その人が冷たいものを秋穂の頬にくっつけたのだ。                                
「ん、差し入れ。」と言ったのは冬季だった。冷たいものは缶ジュース。
しかも秋穂が好きなグレープ。対する冬季はスポーツドリンクを飲んでいた。                      
「・・・・ありがとう」そう言って秋穂はジュースを受け取った。           
「でもどうしてここにいるの?私のいる場所もどうしてわかったの?」
ジュースを2本買っているということは誰かがいるとわかって買っているということになる。
それもグレープジュースということは秋穂だけになる。
「春斗ー兄貴がお前に言ったんだろ?だったらお前ならこの状況を作ると思ったよ。」
しかもここの公園一番近いからここだろうなーと思ったし・・・・・と、冬季は続けた。
冬季は春斗がいないところでは兄貴と呼んでいる。
その間秋穂は下を向いて黙って聞いていた。それに気づいた冬季は
「つらいんだったら協力するのをやめればー?」と言った。
秋穂はその言葉に目を見張った。
「・・・・だめだよ。約束したの。春斗と」秋穂はゆっくり顔を上げた。
「約束したからにはやらなきゃ。」そういって秋穂は冬季に向き直り
「ありがとう、元気でた。」と言った。
「お前は自分の気持ちを兄貴に言わないのか?」秋穂は少し苦笑して
「わからない、今は保留ってことで!」また明日ねー、といい秋穂は帰っていった。

「やると決めたことは、やる。それは秋穂の強さだ。だから俺は・・・・・・」

冬季は秋穂が帰った道を見ながら微笑んでつぶやいた。