放課後になると夕日が空を照らした。
秋穂との約束のため図書室に行こうとしていた春斗は渡り廊下を歩いていた。
その途中の階段の上に冬季が座っていた。            
「秋穂に言うのか?」と、冬季は春斗を少し睨んで言った。                 
「やっぱり気づいてたんだね。」と、春斗は微笑んだ。                      
「さすが僕の弟だね。」冬季は少しの間黙っていてやがて                    
「どうしても・・・・・・言うんだな・・・・」と口を開いた。                       
「うん。言わないと何も動かないんだ。」そう言って春斗は笑った。               

「そっか・・・・、じゃあ、俺は何も言わないよ。」冬季もそう言って微笑んだ。
春斗は冬季を通り過ぎて歩き出した。秋穂に伝えるために。
春斗の足音が聞こえなくなっても、冬季は座っていた。そして、上を見上げ                                     
「悪い。秋穂・・・・・・。俺・・・・春斗を止める事ができなかった・・・・・・。ごめん。」とつぶやいた。                                                  
そのつぶやきが誰かに聞こえることはなかった。                                                                                                                                  
秋穂は期待を胸に図書室に向かっていた。図書室に入ったとき、すでに春斗がいた。    

「ごめんねー。待った?」                                      
「ううん、今来たところだよ。」と春斗は微笑んだ。                       
「んで、話って何?」と秋穂は聞いた。                              
「うん、あのさ・・・・・・」秋穂は内心喜んでいた。
やっと小さいころからの夢が叶う。そう思っていた。しかし、                                            
「僕、夏芽ちゃんが好きなんだ。」一瞬の沈黙がただよった。                  
「・・・そうなんだ・・・」秋穂はやっとのことでそれだけを口にした。すごい浮かれていた。こんなに簡単にうまくいくわけないのに勝手に期待していた。                       
「それで秋穂夏芽ちゃんとなかいいよね?協力してくれないかな?」春斗最後まで気づくことはなかった。                                                                                                 
結局、秋穂は春斗に協力することにした。                           
秋穂には断りきれなかった。                                    
その日の空は秋穂の心のように悲しい夕暮れに涙の青が混ざっているような色だった。