※ネタバレしてます!!
※簡易レポです!!
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牢獄に一人でいる郁里。呉用はあの後、曾兄弟に連れて行かれてしまった。
まさかあのまま殺されてはいないだろうかと不安になっていた時、傷だらけの呉用が連れてこられた。
郁里「呉用さん・・・・・!ひどい・・・・・・!こんなに傷だらけに・・・」
呉用「この程度・・・大したことはない」
郁里「そんなこと言ったって・・・」
呉用「奴ら・・・大した情報はまだ掴んでいないようだ」
郁里「梁山泊の・・・?」
呉用「当然だろうな。最重要機密は、全て私と宋江様の頭の中だ」
郁里「ひょっとして・・・それを聞き出すために、拷問を・・・」
呉用「どんなことをされようと、話す気はないが」
郁里「だからって・・・」
郁里は泣き出してしまう。
呉用「・・・なぜ泣く」
郁里「・・・だって、痛いでしょう?」
呉用「君が痛いわけじゃないだろう?」
郁里「でも・・・」
その時、呉用の声が直接頭の中に響いてきた。
(泣くな・・・君を泣かせたいわけじゃないんだ・・・)
目の前の呉用を見ても、何か話している風ではない。
郁里は、気のせいだ、と頭を振った。
二人はこれからどうするかを話し合う。利用価値がなくなれば、必ず殺される。
自分が囮になってでも郁里を逃がすという呉用に、郁里は二人で逃げる方法を考えようと言う。
呉用「私を困らせないでくれ!」
呉用の大きな声に、郁里が体を震わせる。
呉用「あ・・・すまない、つい・・・」
郁里「い、いえ・・・」
呉用が頭を抱える。それは、郁里が初めて見る、呉用が取り乱し、感情をむき出しにした姿だった。
呉用「考えろ、考えるんだ、何か方法があるはずだ・・・・・・!」
郁里は無意識に、呉用の頭を自分の胸に抱え込んだ。
郁里「落ち着いてください!」
呉用「私は落ち着いている!」
郁里「落ち着いていたら、今、大きな声を出すとまずいことぐらい分かりますよね?」
呉用「・・・・・・・・・」
呉用の動きが止まる。
呉用「・・・分かった。・・・分かったから、離せ」
郁里「離しません」
呉用「しかしっ・・・。君の・・・胸が・・・」
郁里「静かにしてください。いいから、呉用さんなら、いいから・・・」
呉用「・・・・・・っ!」
郁里「しばらく、私の鼓動を聞いていてください」
呉用「・・・・・・」
郁里「赤ちゃんは、お母さんの鼓動を聞くと落ち着くんですよ」
呉用「・・・私は赤子か」
1:そうです
2:似たようなものです
3:これしか方法が思いつかなくて←5UP
郁里「これしか方法が思いつかなくて・・・・・・」
呉用「・・・すまない。君には・・・すっかり大人げないところを見られてしまった」
郁里「そんなこと・・・」
次第に、呉用が落ち着いていくのが分かった。
落ち着いてきたものの、二人は今の状況を冷静に考えて真っ赤になる。
呉用「たしかに・・・」
郁里「え?」
呉用「確かに、こうしていると落ち着いてくるな」
郁里「そ、そうですか?」
呉用「・・・君がいた世界では、誰でもこうしてやるのか?」
郁里「ま、まさか!誰に対してもこんなことをしていたら、変なふうに思われちゃいます」
呉用「・・・・・・そうか」
郁里「もし、したとしても、好きな人に対してだけです」
呉用「っ・・・・・・」
呉用が弾かれたように、郁里の胸の中で顔を上げた。
告白みたいな言葉になってしまったのに気づき、郁里は慌てた。
郁里「あっ、いや、今のはっ、その、呉用さんを落ち着かせるために・・・・・・っ、その・・・やむなくやっているだけで・・・」
呉用「・・・・・・そうか」
呉用が少しがっかりした。
呉用「少し・・・考えてしまった」
郁里「何を・・・ですか?」
呉用「ひょっとしたら、前の世界でも、ほかの誰かにこんなことをしているのでは、と」
郁里「!」
郁里は自分が軽い女だと思われたと感じて、落ち込んでしまう。
呉用「そうだ」
呉用は何か思いついたように、自分の着物の襟元を破った。
呉用「これを使おう」
呉用は葉っぱらしきものが入った、小さな包みを出した。
郁里「何ですか、それ」
呉用「これは眠り薬の一種で、いぶり出された煙を吸うと、眠くなる作用がある。これで門番たちを眠らせ、その間に逃げる」
郁里「そんなもの持っていたんですか・・・・・・?」
呉用「何かに使えると思ってな。着物の中に縫い込んでいたのを今思い出した」
郁里「すごい・・・・・」
呉用「策は何重にも講じるものだ。しかし、これからは、逃げ道も何通りも考えておく必要がありそうだな」
郁里「あ、でも、門番たちが眠ったとしても、鍵がないと・・・」
呉用「罪人とはいえ、焼き殺してしまうわけにはいかない。だから、火事になった場合は、まず牢に入っている人間を解放することになっている」
郁里「じゃあ、煙を起こすだけでいいんじゃ・・・」
呉用「逃げ出しても、すぐに捕まっては意味がない。少しでも時間を稼ぐために、眠ってもらう」
郁里「なるほど・・・。それにしても、眠り系の薬をいろいろと持っているんですね」
呉用「以前は毒ばかりだった」
郁里「え・・・・・・」
呉用「殺すのはよくない。そう言ったのは、君だろう?」
郁里「呉用さん・・・・・・」
呉用「まったく・・・君といると、調子が狂うことばかりだ」
そう言うと、呉用は郁里の頬にそっと手を伸ばした・・・・・・。
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第五章に続きます!