※ネタバレしてます!!
※ヒロインの名前は「原郁里(はら・ゆり)」ちゃんです!!
※登場人物の名前の漢字が変換できない場合は、似たような漢字でごまかします!!
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郁里「ご、呉用さん、あの……」
私の体を押し倒した呉用さん。
全身で呉用さんの重みを感じる。
首筋にあたる呉用さんの4吐息がくすぐったい。
(こ、これは一体どういうこと……!?じ、女性が苦手っ……じゃなかったの!?)
郁里「ふざけてないで…」
言いかけて、ハッとする。
耳元で聞こえるのは、規則正しい呼吸音。
(ひょっとして……寝てる?)
(・∀・)ベタですな
郁里「ちょっと!呉用さん、起きてください!」
呉用「う……ん……」
郁里「呉用さんったら!」
呉用「なんだ、騒々しい…」
(・∀・)ニヤニヤ
気だるげに呉用さんが体を起こす。
★スチル★ヒロインを押し倒してる呉用さん(・∀・∩)
呉用「……」
郁里「…目、覚めました?」
呉用「え……?」
ぼんやりとしていた呉用さんの視線が次第に定まっていく。
それから……
呉用「なっ……!」
みるみるうちに呉用さんの顔が赤くなっていく。
呉用「君は……っ、な、なぜ……!」
うろたえながら、呉用さんは慌てて私から離れようとするけれど……
慌てたせいか、バランスを崩してしまう。
呉用「うっ……」
郁里「きゃっ……」
ごく近くに呉用さんの顔があった。
(・∀・)ベッタベタですな!
(昨日まで、あんまり意識してなかったけど……呉用さんって、綺麗な顔をしてるんだな……)
呉用「……」
冷静になってから、ハッとする。
(わ、私ったら、何をみとれてるの……)
郁里「は、早く、どいてください……!」
呉用「言われずとも…」
体が重なり合った状態のまま、言い合う。
そのとき……
???「おや、これは……」
見知らぬ男性が部屋に入ってきて、私たちを見下ろす。
呉用「宋江様!?」
宋江さんだ~ε=ヾ(*~▽~)ノ
宋江「お取り込み中、失礼。またあとで来ることにするよ」
宋江様、と呼ばれた男性がにこやかな笑顔を残して出ていく。
呉用「そ、宋江様!ち、違うんです、これは……っ!」
焦ったように呉用さんが宋江様を追いかけようとするけれど……
郁里「あ、あんまり暴れないで……きゃあ!」
足が絡み合い、呉用さんは私の体にのしかかる。
呉用「落ち着け…落ち着くんだ…」
ぶつぶつと自分に言い聞かせるように呉用さんが呟いていて。
でも、目はとても緊張している様子だ。
(単に、体を離せばいいだけなのに……こんなに真っ赤になるほど、苦手なのかな)
呉用「落ち着けば大丈夫だ…」
呉用さんは目を閉じ、大きく深呼吸をした。
ようやく、私たちの体は離れる。
郁里「ふぅ……」
恥ずかしさと、薄い着物ごしに触れ合ったせいで…
体が…なぜか熱い。
(呉用さんの体、意外とがっしりしていたな…や、やだ……余計なことを……)
呉用「……で」
郁里「は、はい……っ」
呉用「何の用だ」
郁里「な…何の用って……!昨日、お仕事を手伝うように言われていたので来ただけですがっ!」
呉用「そうか……」
どこかバツが悪そうに呉用さんは視線を逸らす。
呉用「……悪かった」
郁里「い、いえ……」
(意外と素直だ……)
呉用「…早速だが、手伝ってもらいたいことがある」
郁里「は、はい…」
私は呉用さんに言われた通り、書物の整理を始める。
ファイリングなら得意…と思っていたのだけれど…
(これって、中国語?)
書物に書き連ねられた文字。
それは私が読むにはとても難解なものだった。
(ここは…一体どこなの?)
昨日から慌ただしくて、ゆっくり考えている時間はなかったけれど、改めて、私の頭の中に疑問わき出てくる。
(だいたい、なぜ私がここにいるのか)
どうやって、この世界にたどり着いたのか。
疑問は湧いて出てきては消える、を繰り返している。
書庫の整理という単純作業のせいで、ずっとそんなことばかり考えていた。
そんな風に物思いに耽っていたと
呉用「さて……どうしたものだ……」
呉用さんの声が響いた。
郁里「どうかしましたか?」
(……思わず声をかけちゃった……)
呉用「いや…君に言っても詮無いことだが、青磁器の輸出について、ちょっとな…」
郁里「輸出?」
呉用「山塞で作った青磁器の壺を船に乗せて、他国に輸出しているのだが、壺が割れないように藁を巻いてみても、船の揺れで倒れたり、荷の積み降ろしでぶつけたりで毎回多くが破損する。そのせいで、利を得る率が最も低いのだ」
呉用さんは眉根を寄せて考えこんでいる。
郁里「青磁器の壺って…大きいものですか?」
呉用「…ちょうど、君がしゃがんだぐらいの大きさだ」
郁里「それなら…壺は毛皮とかで巻いたらどうでしょう」
呉用「……毛皮?」
郁里「毛皮も一緒に売れば、品目が増えてお金になるし」
呉用さんが驚いたように目を見開いた。
郁里「それと、壺が倒れないようにするのなら、中に重石を入れればいいんです。それも、売れるものを」
呉用「壺に入れる、売れるもの……金や銀の細工ものなら、重みもあるし、売れば金になるな」
ぶつぶつと呉用さんが呟く。
(…なんて、偉そうに言っちゃったけど。スウェーデンから家具と食器と雑貨を個人輸入したとき、先方が送ってきた方法を見て感心したのを覚えていただけなんだけど…)
呉用「君は…」
呉用さんは、驚きの表情で私を見つめた。
呉用「君は・・・不思議な人だな」
郁里「え・・・・・・?」
呉用さんが私をじっと見つめて言う。
呉用「処刑をするなと呆けた世迷いごとを言ってみたり、私におびえるような、無駄で浅慮な行為も多い。しかし、一方で案を出せる頭の柔らかさを持ち合わせていたり・・・・・・抜けているのか、頭抜けているのか、判断がつかぬ」
wwwえらい言われようwww
呉用さんの言葉には嫌味なものは感じられなくて・・・・・・
それはとても素直な感情のように思えた。
郁里「・・・」
その時だった。
宋江「そろそろ・・・・・・いいかな?」
再び姿を現したのは宋江さんだった。
勢いよく、呉用さんが体を向きなおす。
呉用「宋江様・・・・・・!先ほどは失礼いたしました」
宋江「いや、構わないよ。済んだころかと思ったんだが・・・・・・まだ途中かね」
www何のwww
呉用「め、めっそうもない!こんな女と私など、ありえませぬ」
(こ、こんな女!?何それ!!ちょっといい人かと思ったのに、やっぱり・・・・・・ひどい!!)
(それにしても・・・・・・宋江さん・・・呉用さんが敬語を使うこの人は一体・・・?)
宋江「初めまして。あなたについての話は報告を受けているよ」
ゆったりと、余裕のある笑顔で宋江さんは言った。
郁里「初めまして・・・原郁里です」
おずおずと頭を下げる。
呉用「宋江様は、今の梁山泊の頭領でいらっしゃる」
宋江「仮、だけどね」
郁里「仮・・・?」
宋江「・・・まだ、来たばかりで、梁山泊内を見ていないだろう?私が案内しよう」
呉用「宋江様、御自らそれは・・・」
宋江「みな忙しいようだ。代わりに私が・・・・・・いいかな?」
<選択肢>
1:呉用さんも?←5UP
2:よろしくお願いします
3:ご迷惑じゃありませんか?
郁里「呉用さんも一緒ですか?」
呉用「いや・・・」
宋江「あなたが望むならそうしよう。いいね、呉用」
呉用「・・・・・・はっ」
(一緒がいい・・・・・・とは言ってないんだけど・・・・・・)
wwwwwwwwwwwww
チラリと呉用さんを見ると、どこか複雑そうな表情を浮かべていた。
宋江「では、参ろうか。呉用もおいで」
呉用「・・・・・・はっ」
呉用さん、宋江さんと一緒に部屋を出る。
その瞬間・・・・・・
郁里「きゃっ・・・・・・」
誰かにぶつかってしまい、体がよろめく。
男「・・・失礼」
郁里「い、いえ・・・・・・」
呉用「・・・何者だ。ここは一般の兵が入ることを禁じている」
男「へぇ、最近入山したばかりで、少々、迷ってしまいまして」
呉用「・・・以後、ここには近づくな」
男「へぇ、申し訳ございやせん」
男の人は足早にその場を去る。
郁里「・・・・・・」
呉用「どうかしたか」
郁里「あ、いえ・・・・・・」
(今は足音が響いているけど。あの人、私とぶつかる直前まで・・・・・・。気のせいかな?)
*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:
宋江さんに連れられて、梁山泊内を歩いて回る。
郁里「ずいぶんと広いんですね・・・」
宋江「この山自体がひとつの町だからね」
(確かにお店とかもあるみたいだし・・・でも、どう見ても現代のお店とは違う。東南アジアの道ばたでよく見る、屋台みたい)
そんなことを考えながら、辺りを見回していると・・・・・・
ドドドッ、ドドドッ・・・・・・
何やら大きな音がこちらへと近づいてきた。
郁里「あれは・・・・・・」
宋江「我が軍自慢の林冲の騎馬隊だよ。これから実戦形式で調練を行うようだ」
郁里「実戦形式・・・?」
林冲さんの騎馬隊以外に相対する騎馬隊があった。
大きなドラの音とともに、二つの騎馬隊が動き出す。
郁里「すごい・・・・・・」
(林冲さんって、初めてここで気がついたときに、最初にいた三人のうちの一人だよね。騎馬隊の隊長ってことは、偉い人だったのね・・・)
それにしても、思わずため息が漏れる。
たくさんの馬たちが動いているはずなのに、林冲さんの騎馬隊はひとつの生き物のようだった。
ナイフで切るように相手の騎馬隊を割っていく。
相手が浮き足立つのが分かった。
呉用「林冲の勝ちだ」
呉用さんが小さく呟く。
宋江「林冲の軍は官軍にもひけはとらない」
(官軍・・・・・・って正規軍って意味だっけ?騎馬隊、戦い、官軍・・・・・・少なくとも、ここは私のいた時代とは違う・・・刃物で相手を倒すのが、当たり前の社会なんだ・・・)
そんなことを考えていると・・・
林冲「宋江さん、呉用さん!」
馬に乗った林冲さんが近寄ってきた。
宋江「素晴らしい調練だった」
林冲「ありがとうございます。やあ!郁里ちゃんも観ててくれたんだね」
(郁里ちゃん?ずいぶんと簡単に打ち解ける人だな・・・でも・・・)
郁里「勝ち負けとかわからなかったけど、すごかったです・・・。馬の集団が生き物みたいで、獲物に襲い掛かる獣のようでした」
林冲「おっ、わかってるねー!この褒め上手!」
にっこりと笑いながら人懐こい笑顔でそういうと、林冲さんはゆっくりと馬のまま近づいてきた。
(林冲さんって、明るいな。自然にこっちも笑顔になっちゃう・・・・・・それに、彼の乗っている馬・・・わぁ、大きいけど優しそうな目・・・・・・)
郁里「かわいいですね・・・」
ツヤツヤとした毛並みの馬。
思わず、その体に触れようと手を伸ばした。
林冲「あっ!危ないよ!」
林冲さんが慌てたように言い、呉用さんが慌てて駆け寄ってきたけど、私はすでに馬の体に触れていた。
馬「ブルルルルッ・・・・・・」
馬はわずかに声を発したけれど、大人しく撫でられている。
郁里「ふふっ・・・・・・いい子だね・・・・・・」
よしよし、と鼻づらに顔を寄せてみた。
(ん・・・何か視線を感じる・・・・・・・・・・・・・・・・・って!)
郁里「え、え・・・?」
周囲の視線が私に集まっていた。
呉用「林冲以外に触らせることをしない、この馬が・・・」
郁里「そ・・・そうなんですか・・・?」
周囲がわずかにざわめく。
林冲「・・・・・・・・・・」
馬上の林冲さんと目が合う。
郁里「あ・・・ごめんなさい。勝手に触ったりして・・・」
林冲「・・・ううん。こいつも、郁里ちゃんに撫でてもらってなんだか気持ちよさそうだ!そうだ、少し、乗ってみる?」
郁里「え?馬にですか?でも、私、乗ったことなんてないから・・・」
林冲「大丈夫」
林冲さんがニコッと笑って言った。
そして・・・
呉用「林冲!?」
郁里「きゃっ・・・・・・」
林冲さんは颯爽と私を腕ごと引っ張り上げた。
想像以上に高くなった目線に、どきどきする。
呉用「林冲!一体何を・・・・・・!」
林冲「ちょっとひとっ走りしてくるね!」
そう言って、林冲さんは私の体を後ろから抱きしめる。
呉用「っ!!!!」
林冲「力を抜いて。行くよ・・・っ!」
林冲さんの合図をきっかけに勢いよく馬が走り出す。
郁里「わぁ・・・・・・!」
流れる景色。
頬に当たる風。
それは、初めての体験だった。
私は、なぜここにいるのか、とか、この人たちは誰なのかとか。
そんな疑問を完全に忘れるくらい、馬上の景色に夢中になった。
林冲「どう、気持ち良いでしょ?」
郁里「はい・・・・・・とっても!」
林冲「よかった。こいつも、郁里ちゃんを乗せて喜んでるみたいだよ」
郁里「本当に?ありがとう、乗せてくれて」
そっと馬の首あたりを撫でると、わずかに走るスピードが上がった気がした。
林冲「馬で走りがてら、梁山泊内を案内するよ」
風を切り、馬は爽快に走り続けた。
一時間くらいだろうか。
ひとしきり、馬上からの景色を楽しんだあと・・・
私たちは呉用さんたちの元へと戻った。
少しお尻は痛いが、爽快感がそれを上回る。
林冲「足元、気を付けてね、郁里ちゃん」
郁里「は、はい」
林冲さんに支えられるようにして馬から降りた。
宋江「馬は、どうだったかな?」
郁里「とっても楽しかったです!」
宋江「それはなにより」
郁里「それに・・・一周してもらって、ここがとても大きな島だってことがわかりました。周りは湖なんですね・・・」
宋江「ふむ、歩いて回ると早朝出立して昼戻ってこられるかどうかの距離だ。これは、効率と気分転換の、両得だったかな」
林冲「また乗りたくなったら、いつでも言ってね。こいつも、きっと喜ぶから」
ブルルッと馬がいななく。
郁里「はい!」
元気に返事をしてから呉用さんを振り返る。
(あれ・・・・・・?)
郁里「・・・・・・呉用さん?」
呉用「・・・・・・」
www怒り顔ですぅwwww
ムスッとした顔。
郁里「どうかしましたか?」
呉用「・・・無防備すぎます」
www乙ゲーのヒロインちゃんはみんな無防備ですよ(・∀・)/
郁里「え?」
(無防備すぎるって・・・どういうことだろう?敬語になってるけど、あれ、私に向かって言ったよね・・・)
呉用「・・・いや、なんでもない」
言いながら、呉用さんが視線を逸らす。
(どうしたんだろう・・・・・・)
そんなことを考えていると・・・・・・
宋江「さてと・・・・・・」
宋江さんが近づいてくる。
郁里「・・・・・・?」
宋江「梁山泊内のことは少し分かってもらえましたか?」
郁里「え?はい・・・・・・」
宋江「では、次はあなたのことについて教えてもらいましょうか」
郁里「私のこと・・・・・・?」
宋江「そうです。まずは、あなたの体のことから・・・・・・」
そう言うと、宋江さんは、私に向かって剣を向けてきて・・・・・・
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ここで第一章が終了です。
宋江さん・・・大好きです(///∇//)
私は年上好きなので、オジサンキャラにはいつもやられます(笑)
ラブピの九楽さんとかね・・・
まあ、宋江さんはそんなオジサンではないと思うけどwww