こんばんわ。壁ドンよりも膣ドンしたい!ホアキン太郎です。
今回はウディ・アレン監督の「マッチ・ポイント」について語りますよ。
映画「マッチ・ポイント」感想・評論
https://youtu.be/_BHFlmaGCG0 ←予告編
・富める悩み...
「ウディ・アレンは70年代が全盛期。00年代は不調。ミッドナイト・イン・パリで復活し始めた」というのがウディ・アレンについて調べるとよく出てくる評判である。余り評判の芳しくない00年代の作品は避けてきたのだけれど、この前BSで流れていたため鑑賞致しました。
いや、これは正直しんどいね。「富める者は富める悩み、貧しき物は貧しき悩み」と言うがこの映画はひたすら「富める者の悩み」をぶつけてくる。主人公の青年(ジョナサン・リース=マイヤーズ)は若くして成功をおさめ、金持ちの娘(エミリー・モーティマー)との婚約を取り付ける。順風万帆、金持ち一族に仲間入りな人生を送るも、一方で女優志望の野性的なアメリカ人女性ノーラ(スカーレット・ヨハンセン)にも惹かれ始めてしまいその間で揺れ動くという話。
日本は現在、不景気で格差社会である。非正規雇用者就業者の比率は3割を超えている。かつて1991年のドラマ「101回目のプロポーズ」では星野達郎(武田鉄也)が会社の係長で、夏のボーナス80万程度、マンション持ちという設定で「凡庸で退屈な男」という扱い受けていた。
いまや、マイホームもボーナスももっと言えば結婚して子供を作ることすら難しいご時世である。雑誌の「東洋経済」の4月号では「生涯未婚」特集を行って反響を呼んでいた。男性の3人に1人は生涯結婚していない。年収500はおろか300も難しいという方が世の中には多くいるようだ。結婚やマイホームやマイカーといったかつては「成人男性なら当たり前」というものが現在では「贅沢品」「特権階級専用」と化している。

アメリカはもっとひどい。超格差社会。「アメリカ人の全体の得られる金の80%を5%の人が独占している」と言われる程、一般人と企業の経営者などの富裕層との収入差は激しくなっている。

それで「マッチポイント」である。金はある、地位はある、恋人はいる。でもアバンチュールしちゃいたいという話。正直、「知らんがな」という感想である。「年収1億円の人間が人生に弾みつけたいからもう1億もらいたい」というような話である。
もちろん、主人公は相応の罰を受ける。最後の顔が一生逃れられない罪を犯してしまった何とも言えない表情。「マッチポイント」というのはテニスの用語で「ネット上で引っかかったボールはどちらのコートに落ちるかわからない」という意味で人生はどう転ぶかわからないという事だけれど、どちらにしても金と地位と富豪な恋人かそれが駄目でも魅力的な恋人かを得られるのだ。最低でもスカヨハですよ。
どちらも得る事が難しいこのご時世に「富める悩み」を理解しろ、共感しろ、面白がれというのはウディ・アレンは時流は読めない監督じゃないかと感じる。2005年公開映画だがその時代もアメリカは不景気である。けれどこういった作品の後に過去に憧憬を抱くも現実に立ち戻る「ミッドナイト・イン・パリ」、セレブから没落したのにセレブのつもりで振る舞う女性を滑稽に描く「ブルー・ジャスミン」と「現実を見ていく事の重要さ」を説く映画が作られたのは意味があるだろう。
「貧しき」私は、そんな事を考えながら来月の給料をせこせこ計算し始めるのであった。
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