(前回からの続き)
それよりも大変だったのが、新型コロナウイルスワクチンの予防接種のほうだった。
オミクロン株に対応した新型コロナウイルスワクチンの接種券が役所から届き、オンラインで翌日の予約を取ることができたのでさっそく4回目の接種に行ってきた。

● 接種翌日
過去の経験から、僕は接種の翌日に必ず発熱していたので次の日を警戒していたら、案の定37度4分の微熱が出た。
解熱剤を飲まずに様子を見ていたが、それ以上上がる様子がなかったのでロキソニンを飲んで熱を下げた。
● 3~4日目
熱を測っていないが、多少のしんどさがあったので、時間帯によっては微熱くらいあったかもしれない。
● 5日目
また微熱を確認した。
● 6日目
体温計で平熱であることを確認してから2時間後、若干のしんどさや悪寒、関節痛)を感じたのでもう一度熱を測ると、なんと38度3分まで熱が上がっていた。


 

僕にとってはなかなかない高熱だったので、すっかり驚いた。
あえて解熱剤を飲まずに様子を見ていたら、それから4時間後くらいには平熱に戻り、嘘だったようにけろっとした。

しかしまぁ、38度3分というのはこのご時世では看過できない高熱である。
さて、これはいったいどういうことなのだろう。
① ワクチンの副反応 
※ しかし1週間も続くものなのか?
② 新型コロナウイルスに感染
※ しかし目立った症状は発熱以外なし
③ この日は診察日で、癌の注射を何本も打ったことによる影響
※ 好中球の値は良く、免疫を極端に下げる注射ではないので疑問
・・・が考えられた。
そして翌日は悪いことに在宅勤務ではなく出社して会議の予定があったし、妻は子供相手の塾を経営している。
さて、どうするべきか。


次の日の朝に結論を持ち越して、
・ 病院へ行くか・・・
・ 根拠のない自信をもって新型コロナウイルスではないと断言して通常運転するか・・・
ぎりぎりまで悩んだけど、一般常識ともし僕が陽性だった時に浴びるだろう非難のことを考えた時、やっぱり正解は、
・ 病院へ行ってPCR検査を受ける
・・・だろう。
自分のため・・・というよりかは、周りの人の不安感を解消するという意味合いのほうが大きかったが、初のPCR検査を受けることを決めた。
出社当日の朝だったけど、メールでかくかくしかじかなので出社を見合わせる旨、連絡をしておいた。

さて、どこの病院へ行くか・・・。
普通ならかかりつけの医者に相談するところだが、僕の場合は「かかりつけ医=教授先生」で、
「そういうのは町医者に行ってくれ」

とか、
「救急車を呼ぶくらいのことじゃなければ電話してくるな」
など、過去に強くご指導いただいたことがあったので相談は端からあきらめた。
ちなみに診察の時に、「新型コロナウイルスのワクチンを接種して微熱が出た」ということは教授先生には伝えてある。

次に耳鼻科で通っている中規模の病院に電話をすると、人手不足で発熱外来は閉鎖したと言われ、しょうがないので行政の相談窓口なるところで医療機関を紹介してもらうことにした。
ところがここがまたややこしい。。。



僕の説明が悪かったのか、電話口の女性曰く、
・    医師の判断ではないPCR検査は自由診療となって、保険がきかない。
・    たいちの場合は基礎疾患があるので、検査キットを自宅に送れない。
・    まずはかかりつけ医にご相談を・・・
と、周りくどく繰り返し言われて温厚な僕もつい声が大きくなった。
「医療機関を紹介する・・・ってHPに書いてあったから電話したのに紹介してくれないんですか?ええ、医師の診察を受けてからのPCR検査を希望しているんですよ。」と。
さらに僕のかかりつけ医である教授先生の予想される反応をお話すると、驚きながらも納得いただけたようで、ようやく二つの病院を紹介してくれた。
新型コロナウイルスがこの世に出てきて数年が経過したけど、その疑いがある基礎疾患を持つ者が受診できる病院を探すだけで軽く30分。
すでに豊富にノウハウが蓄積されていて、もっとスムーズに案内してくれるものだと思っていたけど、なかなか難しいものだな。
紹介してくれた二つの病院の一つは、1回目と2回目のワクチンを打った中規模の老人医療を標ぼうする病院で、そこへ連絡してみることにした。

電話に出た女性の方に経緯をお話すると、15分ほどして院長先生から折り返し電話がかかってきた。
「話を聞く限りコロナの疑いも捨てきれない。最初に抗原検査を受けてみて、結果が陰性だったらさらにPCR検査を受け、その結果が陰性だったら診察する」ということになり、さっそく自宅から徒歩10分のところにある病院に行ってきた。
電話で指示されたとおり、正面玄関ではなく裏口から「着いた」と電話すると、中から鍵を開け、防護衣にマスクと顔全体にゴーグルを着けた看護師さんが出てきた。
最初の抗原検査は細長い棒を片方づつ鼻の穴に突っ込まれてグリグリされ、それぞれ1回づつくしゃみが出た。
検査の結果は15分ほどで出たが、結果は陰性だった。

続けてPCR検査のための唾液を採取する。
綿棒に唾液を含ませ、看護師さんが差し出すスピッツに差し込んだ。
結果は明日、電話で教えてくれるとのことだった。



自宅に帰ってからPCR検査よりも精度が落ちると言われている抗原検査のことを調べてみると、抗原検査で陰性だった場合、ほぼほぼPCR検査でも陰性になるようで、僕はこれで十中八九、陰性を確信した。

そして翌日。
確か朝いちばんで連絡する・・・と言われていたのにその連絡がこない。
それとも陰性だった場合は連絡しないって言われていたっけ?・・・と言われていないのにそんな記憶があるようにも思えてきた。
ま、抗原検査で陰性だったし、陽性なら間違いなく連絡があるだろうと気にせず放っておいたら、お昼前に昨日の院長先生から電話がかかってきた。

結論から言えば、陰性。
ワクチンの副反応で1週間熱が続くというのは院長先生も初めてのケースだったようで首をかしげていたけど、症状が何も出ていないということを確認すると、この電話で診察は終わりということになった。
今年はインフルエンザの流行が懸念されているようなので、また機会があればインフルエンザの予防接種もしておきたいと思う。

僕はもともとこういうことに関しては几帳面で真面目な性格では全然なかったはずなのだが、癌という病気になってからどこかで意識が変わったのだろうか。
医者に言われたことや決められた服薬などは素直に従い、きちっとやるようになった。
他人に言わせれば「医者のいいなりだね」なんて言われることもあるが、そこには専門性に対する深い敬意がある。

僕自身もかつては「○○の専門家」と言われるような仕事をしていたこともあるが、専門家と言うのは素人が少し勉強した程度では到底太刀打ちできないほど、深くてたくさんの引き出しを持っている。
それを素人の判断で断薬や減薬をしてみたり、医者の言うことを聞かずにびわの葉っぱを張ったりおがくずのお風呂に入ったりするのを見ていると滑稽な気がする。
もちろん本人は必死で大真面目なのだろうけど、劇的に効く治療を探して常にアンテナをぴんと張り、大枚をはたいて自分の体を実験台にする人生の何が楽しいのだろうか、なにがQOLなのだろうか。
癌のことは癌を専門にしている専門家に任せておけばいいのだ。
もちろん、先生によっていろんな考え方があるので、自称専門家ではないほんものの専門家のセカンドオピニオンを踏まえ、最終的には自分で判断することも出てくるだろうけど、自分も周囲も納得のいく治療法を選択してほしいものである。

僕はこのブログで教授先生のことをあまりよく言わないけど、それでもその高い専門性には深く敬服している。
この先生の言うことなら信じられる・・・のと、この先生にだけには看取られたくない・・・という気持ちは、奇妙なことに僕の中では同居しているが、今はまだまだ教授先生の専門性を必要としている。
もう手を尽くした・・・と教授先生が万歳すれば、ぼくは明日にでも患者に寄り添ってくれる優しい先生のいる病院に移るだろうけどね(笑)