前回、整形外科で肩にトリガーポイント注射(キシロカイン)を打ってもらったが、その約1週間後、お盆明けの予約を取り消さずにいたペインクリニックへ行ってきた。
きれいなオフィスビルのフロアの1画にあるそのクリニックの受付で予約があることを告げると、問診票を書くように言われた。
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○ 治療中の大きな病気・・・左側のマンマカルチ
○ 今飲んでいる薬・・・
・ アスパラCA錠
・ アルファロールカプセル
・ オルメテックOD錠
・ ノルバスク錠
・ イブランスカプセル
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お薬手帳はずいぶん前に電子化してしまったのだが、こういう時は紙のものがあると渡すだけでよかったので面倒に思ったが、がんばって今飲んでいる薬の全部を記入した。
予約の時間よりも30分ほど遅れてコールがあった。
診察室に入ると、僕と同じくらいの年齢の先生と助手の看護師さんが迎えてくれた。
痛みの具合と痛む箇所(肩鎖関節)を指して、Tシャツから患側の右肩だけを抜くとすぐにエコーで診てくれる。
「んーーー、腱が少し断裂してるのかな?この場所だと確かに肩鎖関節なんだけどな・・・。」
とつぶやく。
だ、断裂?
この間は脱臼と言われ、今回は断裂か!
どちらにしても筋トレを無理し過ぎたのだろうか。
とりあえず、注射を打ってもらえることになった。
いったん待合室に出ると、すぐに隣の処置室からコールがあった。
中は大学病院で見慣れたケモ室のように、カーテンで仕切られたベッド付きの個室が左右両側に奥まで並んでいた。
案内された個室に入ると、
「上半身裸で待つように・・・」
と看護師さんに言われ、全摘した左胸を気にしながらTシャツを脱ぎ、女子のように胸を隠しながら先生を待った。
痛いのは右肩なんだから全部脱ぐ必要はないじゃん・・・と、まだまだ恥ずかしさが抜けきっていない49歳の僕は、心の中で毒づいた。
さっき診察してくれた先生がまとめて、流れ作業的に次々に患者さんに注射を打ってくれるようだ。
2~3分するとさっきの先生が来て右肩の穿刺部位を念入りに消毒し、穿刺をしてくれた。
注射には慣れたつもりでいた僕でも、予想の上をいくほどくっそ(失礼)痛かった。
穿刺の瞬間はチクンとそうでもなかったが、続いて麻酔薬特有の重たい液体がズドーンと流し込まれる感覚に、下唇を血が出るほど噛んで耐えなければならないほどだった。
途中で「だいじょうぶ?あと3分の1だよ」と声を掛けてくれ、注射が終わると「はい、
終わり!―」と言ってくれてようやく全身の力を抜くことができた。
ここでわずかな時間だったけど、先生とお話する機会ができた。
僕がこのクリニックを知ったのは、この近くにある会社の事務所に通勤していた時のことで、開院された時の折り込みチラシを見たのがきっかけだった。
癌が分かる前だったが、当時どこかが痛かったのか、妙にこのペインクリニックのチラシが印象に残っていたのだ。
「もう12年前のことだよ。確かにチラシをまいたけど、よく覚えていたねぇ。」と、懐かしそうに、少し感激された表情を見せた先生だった。
僕がゴールドジムの会員であることを告げると、「ウチのお客さんは、ゴールドジムに通っている人が多いよ」と、ここでも話が合った。
お忙しいのだろうけど、総体的にあまり愛想のいい先生ではないが、手技にしても診断にしても抜群に安定感がある。
「感染がいやなので、関節内注射はしない」と言った女医先生とは違う。
しばらくこのペインクリニック通うことに決め、整形外科の女医さんのところはキャンセルすることにしよう。
お会計のあと診療明細書を見ると、カルボカインアンプル注1%(局所麻酔)に、デカドロンという炎症を鎮めるステロイドを混ぜて注射してくれたようだ。
デカドロンはケモの吐き気止めにも使われるので、僕のブログを読んでくれている読者にとってはお馴染みの薬だろう。
麻酔薬の効果で肩の痛みが魔法のように消え、気分がとってもよくなった。
これで痛みを伝える神経がリセットしてくれればよかったのだが、注射の効果は半日ほどしか持たず、次の診察日までまた痛みに苦しめられることになった。
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といわけで、2回目の診察。
痛みは前回が10だとすると今は8くらいかな・・・と先生に告げると、
「まだまだ痛むんだねぇ。おかしいなぁ、前回ステロイドをちゃんと入れたのになぁ・・・」
と同じことを2~3回繰り返したので、痛みがまだこれだけ残っているのを不審がっていた。
「もっと強い薬を入れることもできるんだけど・・・、うーん、もう少し同じ注射で様子を見るかな」
と最後まで解せない顔つきだった。
処置室では前回と違い、痛い方の肩を上にしてベッドに横になるように言われた。
すでにベッドの上に置かれた枕がそのような形にセッティングしてあった。
前回は座位だったのにな・・・と不審に思っていたら、看護師さんががらがらっとエコーを持ってきて、プローブに丹念にセリーを塗り始めた。
今回はどうやらエコー下での穿刺になるようだが、言われたとおり上半身裸になり、痛い方の肩を上にしてベッドに横になった・・・もちろん、左胸は服で押さえた。
先生が現れると右鎖骨下のポートを見て、
「あれ、ここずいぶん膨らんでいるなぁ。粉瘤か?」
とおっしゃるので、
「ここにポートが入っているんですよ。」
と言うと、
「んん・・ってことは?」
「ええ、癌をやってまして・・・」
「ああ・・・」
とその先を聞きたがる風だったが、やはり乳がんと答えるのは恥ずかしいのでそれ以上は言わなかった・・・ってか、問診票にはきちんと書いたぜ?
さて、肩への穿刺が始まった。
前回の注射がくっそ(失礼)痛かったので、今回はクリニックを訪れる前から気が重たかったのだが、肩の痛みが消え去る誘惑のほうが強かった。
でも今回はエコーを当てながらの穿刺だったからなのか、痛みはあまり感じなかった。
なので、エコー画面を見る余裕すらあって、
(おおー、細長い棒のようなところ(注射針)から薬液が注入され、皮下に溜まっていく様子がよく分かるーー。)
と、興味津々で画像を見ていた。
「はい、おしまい。じゃ、2本目ね。」
(え?2本目?あの、それ、聞いていないんだけど、注射は前回と同じって言ってたよ)
とたちまち不安になる僕だったが、小学2年生の時のように全力で暴れて拒否するわけにもいかず、たちまち覚悟を決めた。
痛い方の肩の腕を思いっきり上げさせられて右腋窩を露わにすると、ここを念入りに消毒を始めた。
「も、毛細血管がいっぱい詰まってるとこ、わーきーー」(知っている方だけ笑ってください)と、繊細な場所への穿刺に身を固くしたが、意外にも先ほどと同じくあまり痛くはなかった。
穿刺が終わると、うん、魔法のように痛みが消失した。
次回の診察は3週間後。
診療明細書を見ると、1本目の注射は前回と同じく右肩関節へのカルボカインにデカドロンを添加した注射だった。
痛くなかったのでステロイドは入っていなかったと思ったけど、今回も入れてくれたようだ。
そして右腋窩への注射は、肩甲背神経ブロックと言われるもので、カルボカインだけを注入してくれたようだ。
そして、今回は半日を過ぎても肩の痛みは戻ってこない。
このまま痛みが消えてなくなってくれればいいのにな。