お尻に注射するのだからいつものカーテンで仕切られた椅子席ではなく、ベッドを案内されるのかと思ったらやっぱりいつもの椅子席だった。
ポートのフラッシュとランマークの注射(25回目)を打ってもらったあと、いよいよ初めてのフェソロデックス、そして生まれて初めてお尻に注射を打つ。
促されるまま一度椅子席から立つと、看護師さんが電動スイッチを操作して椅子席を完全にフラットにしてしまった。
なるほど、だからベッドではなかったんだな。
そこへ着衣のままうつ伏せになった・・・さあ、くるならこいっ!と両拳を握りしめる。
ひょっとしたら今日からお尻に注射されるかもしれないと思ったので、お尻は家を出る前に丹念に磨いてある。
それにずらしやすいようにゴムで締まるタイプのズボンを履いてきてたし、パンツだって勝負パンツ・・・ではないけれど、新しいものを履いてきた。
看護師さんがパンツと共にズボンをずらし、半ケツの情けない姿にさせられていよいよ穿刺だ。
丹念に穿刺部位を消毒すると、看護師さんの「3、2、1」の合図で右の中殿部あたりがチクッとしたが、意外にも痛みは大したことなかった・・・が、お尻は初めての注射にびっくりしたのか、針がささったまま大きく「ブルブル」って震えたのがオッサンとしては恥ずかしかった。
震えが収まるとゆっくり薬液を入れていたようだが、それでも痛みはあまり感じなかった。
続いて左ケツに移る。
フェソロデックスは500mgと、油状の薬液の量が多いので、250mgづつ左右の中殿部に打つらしい。
次の左ケツに注射する時は大人しくしておいてくれよ…という願いも空しく、左ケツもまた針がささったまま「ブルブル」っと震えた。
50歳前のオッサンがお尻をブルっとさせても全然可愛くないのだが、看護師さんは僕が痛がったと思ったようで、
「痛いですよねぇ・・・」
と慰めてくれた。
でも痛みは大したことなかったのだ・・・まだこの時点では。
次は2週間後の注射だが、次は大人しく注射を受け止めてくれよ、恥ずかしいから。
頼むぜ、お尻!
注射が終わると看護師さんから読んでおくように・・・と、フェソロデックスの小さな冊子をいただいた。
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筋肉注射は初めてではなく、確か胃透視の検査の前にブスコバンという薬を三角筋に注入された記憶がある。
注射器をほぼ90℃にして鉛筆を持つように穿入する・・・と、ちょっと予習しただけでも痛そうだったが、意外にも穿刺中はそんなに痛くなく、むしろ痛いのは抜針したあとだった。
今回もそうで、外来処置室を出て廊下を歩いていると左右の腰の下あたりに筋肉痛に似た痛みが襲った。
「ああ、痛ってぇー・・・」と、歩くことすらままならず、ヨタヨタと会計へ向かった・・・がっ!
そういえば・・・。
教授先生から薬の処方箋をもらってないけど、薬が余っているから今日の処方箋はいらないや・・・って思ってたけど、そうではなく、明日からイブランスを飲まなきゃいけないんだった。
これはいかん・・・と、また腫瘍血液内科までの長い廊下をヨタヨタと戻り、受付に申し出て処方箋をいただいてきた。
薬屋さんでは薬剤師さんが薬を渡すときに、
「今回から新しく腫瘍を抑える薬が追加されていますが、先生から何か説明ありましたか?」
と、僕が癌であるかもしれないことを周囲に遠慮なくぶちまけた。
今回に限ったことではないけど、薬剤師のこういうのってどうにかならないのだろうか?
これは薬剤師がしなくちゃいけない仕事なんだ・・・っていうのは何かで聞いたことがあるが、これじゃあまりにも病人に対する配慮がない。
ま、それはともかく、イブランスの飲み方について薬剤師さんが触れたので気になって調べてみたり、先輩方のブログを読み直してみると、なんとイブランスには休薬期間があるではないか?
処方箋だけ後から渡されて一言も説明がなかったけど、これって大事なことなんじゃないの?
善意に解釈すれば2週間後にまた診察があるので、その時に説明するつもりだった・・・ともとれなくはないけど、余りにも、余りにも不親切ではないだろうか?
僕のように予習する患者ばかりじゃないんだぜ。
さて、本日のお会計だが、フェソロデックスの注射を含めた病院の診察代と、そしてイブランスを含んだ薬代で総額144,770円!
目の前がくらくらっとなって、今すぐにでも死にたくなった。
これは久々に高額療養費の支給申請をしなければ・・・。
それにしても今日1日だけで、
○ 採血
○ ポートのフラッシュ
○ ランマーク
○ フェソロデックス×2
・・・と、今日だけで5回も注射を打った。
これが死ぬまで続くんだ・・・と思うと、ホントにもう勘弁してほしいなぁ・・・と泣きたくなった。
お尻に注射してから今日で2日が経過したけど、フェソロデックスの副作用にあったように、穿刺部位の疼痛がひどい。
次の2週間後の注射までに痛みが引いてくれればいいのだが。