別に教授先生の顔を懐かしく思ったわけではないが、随分久しぶりのように思えた。
それもそのはず、前回は3月5日の診察だったのでおよそ1.5ヵ月振りになるのだ。
この間にフィリピンのセブ島へ遊びに行ったり、職場では新しい会計年度を迎え、僕の異動があったりしてバタバタしていたのだが、月日が経つのは早いと思うのに診察日は久しぶりという、少し奇妙な感覚がした。
今回、毎月1回の診察が少し伸びたのは、ここ最近の血液検査の結果や腫瘍マーカーの数値、画像などから、「病状は落ち着いている」と判断した教授先生が、少し警戒態勢を緩めたからのようだ。
※ 大混雑が予想されるGW明けの影響を避けた・・・という理由もある。
右鎖骨下のCVポートは、メーカーの取説によると1か月に一度フラッシュをしなければならないが、面倒なので教授先生が言い出さないことをいいことに、僕も敢えて指摘をしないでいる。
つまったら自分が一番困るくせに、僕も少し気が緩んでいるのかもしれない。
でもね・・・。
首から上にできた複数の腫瘍は、大きくなったり小さくなったり、柔らかくなったり硬くなったりして、まるでそこに別の生き物が巣くっているかのようだ。
いやいや、実際に「悪性新生物」という悪い生き物が住み着いているのだ。。。
僕が生きるために摂取した必要な栄養素を横から強奪し、勝手に血管や肉を作って所かまわず無秩序に増殖する。
そこには同じ生物でもマナーやモラル、宿主(僕のこと)への思いやりといったものは一切存在しない。
そういう空気を読めない憎っくきやつだが、ウイルスのような外敵ではなく、僕の体を構成している血肉を分けた細胞だけに、むやみやたらと拳を振り上げられない。
癌が無慈悲でやっかいな病気である所以である。
ということで、記録を含めて現在の首から上の状況を具体的に書いておくことにしよう。
決して警戒体制を緩められるような状況下ではないはずだ。
【2019.4.15現在】
○ 左頸のリンパ節
・ 昨年10月に大きく腫れ、PET-CTの結果、メタであることが分かったものである。
・ その後、ホルモン療法が効いたのか自然消失したものが、この1週間前からまた指に触れるほどに大きくなってきた。
・ 腫れに伴って軽度の圧痛がある。
・ また自然退縮したらいいけれど、大きくなって声が出なくなったり、飯が食えなくなったらどうしよう・・・なんて悪いことを考えてしまう。
○ 左側頭部
・ 3mm程度のポツンとした硬い癌がある。
○ 左前額部
・ できた当初はツンとしたアポロチョコの先端のようだったが、ホルモン療法の効果で自壊~退縮し、硬い赤い奇妙な形の一見シミのようなできものになった。
・ 形、大きさは変わらず痛みもないが、前額部だけに見てくれが少し悪い。
○ 頭頂部周辺
・ 小さくて平たい癌が1~2個ある。
○ 後頭部
・ 3センチほどの巨大なもので、外から見てもその膨らみがわかり、仰向きに寝ると凹凸の違和感と若干の圧痛がうっとおしい。
・ 2016年の後半頃にできたもので、2018年10月のPET-CTでメタであることが判明した。
〈できたころの状況〉
多発性の皮下、皮膚転移もいいところで、ホルモン療法の効果がなくなればいつ頭に花が咲いてもおかしくない。
〈画像出典:bokete〉
さらに頭頂部は骨転移まで指摘されているのだ。
目に見えて、触れることのできる癌が、首から上だけにこれだけあれば普通は長生きしないだろうね。
今回の記事では触れないけど、転移はこれだけではないのだから。
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はい、それでは本日の診察結果です。
大袈裟なタイトルと前説を長々と書いたのにはワケがあり、賢明な読者はすでにお気づきのとおり、今回も「異常なし」でした。
CEAも横ばいで、
今回・・・9.4
前回・・・9.7
前々回・・・9.5
フェマーラは長くもっても1年くらいかと思っていたのに、いつの間にか2年3か月が経過してもまだ頑張ってくれていて、本当にありがたいと思っている。
骨転移のランマークは今回で23回目になり、前回、教授先生からあまり打ち続けても骨が固くなりすぎて逆に骨折する可能性があると言われたが、今回はその話はでなかった。
その代わり、次の診察日はやはり少し間隔を置いて5週間後となった。
男性更年期障害の影響と思われる気力減退によって、2ヵ月ほど前から自主的に「補中益気湯」という漢方薬を飲み始めたが、なかなか調子がいい。
ぐったりとした易疲労感が、少しマシになったように感じるのだ。
前回の診察で、教授先生が処方してくれないのならもうやめちゃおうか・・・とも思ったが、あまりに調子がいいのでアマゾンでもう一度同じものを購入した。
その他、先に書いた前額部のメタ崩れの赤いできもの様のがんは、教授先生が「注射を打つ処置室で写真を撮影しておくように」と、ナースに指示をされていた。
今更なんで?・・・とも思ったが、処置室ではナースも同じことを思ったらしく、「先生は形の変化が見たいのかなぁ・・・」と、戸惑いながら医療用のスマホで3枚ほど撮影してくれた。
診察室にいた生徒さん向けのアピールだったのかな。