ニュースで2016年に新たにがんと診断された患者数は、延べ99万5,132人であることを知った。
延べってなんだ?って思ったが、調べてみると違う部位でがんが見つかれば、複数の患者と数えるようだ。
2015年は89万1,445人というから10万3,687人増えたことになるが、今回の統計は、「全国がん登録」により初めて行われたもので、患者の実態をより正確に反映していると言われている。
日本の人口が1億2,642万人(2018年12月概算値 総務省統計局)なので、0.8%の人が癌だということになるが、これを多いとみるか、少ないとみるか。。。
部位別に見ると、女性の1位は乳がんで94,848人。
乳がん総数は95,525人なので、その差は677人。
この差がきっと男性乳がん患者の数で、乳がん総数の0.7%・・・と理解しているが、間違いないだろうか。
全国がん登録は、全病院と指定診療所に、癌患者の罹患情報を都道府県に届け出ることを義務化したものだ。
僕なんかがこういう数字を見ても「ふーん」で終わってしまうが、専門家から見れば癌の実態を正確に把握し、これから癌になる人を減らし、癌から治る人を増やす貴重な資料となるらしい。
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癌患者・・・特に僕なんだけど、5年生存率や10年生存率などといった数字に惑わされ、いたずらに悲しんできた過去がある。
今では、
○ 年齢的なもの(僕はまだ癌患者では若いほうに入る)
○ これまでの統計の不正確さ
○ 癌以外で死亡した人だっている
○ がん治療の飛躍的な進歩
○ どこが数字を発表しているか・・・(例えば、生命保険会社なんかは悪い数字を出しがちだ)
などが分かってきたので、ステージⅣの5年生存率が40%なくても昔のように悲観していない、・・・かと言って、楽観もしてないけどね。
よく「日本人の2人に1人は癌になる」って言われるが、これだって数字の嘘である。
○ 30歳男性→10年後に癌になる確率0.5%(40歳)
○ 30歳男性→20年後に癌になる確率2%(50歳)
○ 30歳男性→30年後に癌になる確率7%(60歳)
なので、これだと10人に1人以下だ。
(出典:国立がん研究センターがん対策情報センター 2013年)
「2人に1人は癌になる」のは、
○ 30歳男性→50年後に癌になる確率41%(80歳)
・・・でもね、日本人の平均寿命は80歳なのですよ。
(出典:国立がん研究センターがん対策情報センター 2013年)
確かに癌は誰にでもなる可能性がある病気だけど、全ての日本人が「2人に1人は癌になる」というのは乱暴で、他の要因も含めて死亡のリスクが高まる世代になってからの話である・・・ということを理解してから怖がってほしいと思う。
数字は確かに嘘はつかないし、それだけに数字があると信憑性の高い資料に見えるが、それ故、特定の目的に沿った見せ方をさせられると悲しまなくてもいいことで悲しむことになる。
「全国がん登録」でより正確な数字が出たというのはとっても素晴らしいことだけど、こういう統計を恣意的に用いられることもあるというのは、この病気になって学んだことの一つだな。