2015.8.19(水)
主治医の紹介状と僕の診療データが入ったCD、そして予約票を携えて、リニアックの設備がある病院へと向かう。
少々交通が不便な場所にあるその病院へ行くのに、今日は雨が降っていたこともあって自宅からタクシーを使うことにした。
放射線治療は毎日5週間程度通うと聞くので、治療が始まれば毎日タクシーというわけにはいかないだろう。

その病院は僕が通っている病院と同じ中規模くらいだが、外見も院内もいたるところで昭和の香りが漂う。
きっと昔からある地域に根ざした病院なのだろう。
初診の受付を済ませると、地下1階の放射線科へ行くように促される。
エスカレーターに乗って地下に降りると、一番奥まったところに放射線科(治療)があった。
小さな受付で僕の診療データと予約票を渡すと、問診票を外の待合いで記入するように言われる。
完全予約制のためか、待合いには僕と妻以外誰もいない。
 
問診票には、
・ なんのために放射線治療をするのか理解しているか?
・ 抗がん剤やホルモン治療はいつからか?
・ タバコ、酒は?
・・・など、数十個の項目があった。 

書き終えた問診票を提出してしばらくすると、看護師が呼びにくる。
放射線科の医師の診察である。

先生は女性で年齢は30歳くらい、白くて細い左手の薬指に銀色の指輪が光っていた。
僕は先生の説明を聞きながら、この人はなんで、どんなきっかけがあって放射線科の医師になったのだろうかとぼんやり考えていた。 

先生の説明によると、これから具体的に放射線の照射計画を立てるが、土日祝日を除く毎日(但し、シルバーウィーク中は例外として1回だけ照射予定)、25~30回(1回2グレイ)、全摘した左胸、鎖骨上下窩、腋窩を広く照射、毎週水曜日に医師の診察、をすることになるだろう、とのことだった。 

手術の跡が見たいと言うので、Tシャツをまくって全摘した左胸を見てもらう。
それから先生は腋の下と鎖骨のあたりを、まるで新たなしこりでも探すかのように念入りに触診される。
そして、放射線治療による一般的な副作用のことについて一通り説明をされたが、すでに予習を済ませてあった僕はこれといった質問もなく、同意書にサインをして診察は15分程度で終わった。 

それからレントゲン室で胸部X線撮影と中央処置室で血液検査を行い、もう一度放射線科へ戻って今度はCTシュミレーションを撮る。 
CTなら今まで何度となく撮ってきたが、今日は少し様子が違った。
上半身裸になって台に横たわり、両腕を高く上げさせられ、首と共に型枠のような器具(シェル)で固定されると、看護師が二人と技師が一人で、よってたかって僕の上半身に何かを書いたり、シールのようなものを貼ったりする。
僕は顎を上げて天井を見ているようにと言われたので何をどのようにされているのか分からなかったが、体に落書きされる・・・というような屈辱感はなく、ただくすぐったさに耐えていた。

撮影も含めて15分程度で終わったが、体に書いた十字のマーキングは強くこすって消さないようにという注意があった。 
今日はこれだけで、照射は明日から始めるとのことだった。
初日だけは正確に照射位置を決めるので1時間くらいはかかるとのことだが、通常はものの4~5分で終わるそうだ。

 もともと放射線治療のお話はセカンドオピニオンの先生から出た話だった。
治療に関して新たな話が聞けるというような期待をしていなかったのだが、この話がなければ放射線治療は受けていなかったと思うので、セカオピは受けて正解だった。 

これから毎日病院に通うというのは大変だし、まだ仕事の段取りもつけていないのだが、仕事よりも体が大事。同僚や部下には申し訳ないが治療を優先させてもらおうと思う。

<CTシュミレーションの結果① 背中から首に近い鎖骨部分を照射する図>

 

<CTシュミレーションの結果② 右斜め上から全摘した左胸と腋下を照射する図>