ここ最近、ケーキバイキングやらプーケットで飽食三昧のご報告をしているだけに、真面目に「食」のことを書くのは汗顔の至りだが、面白い本を読んだのでご紹介したい。
僕が読んだのは、「人生100年の習慣」(講談社)の中に収録されている東北大学の都築先生の章だ。
僕は乳がん患者なので他のがんのことは不勉強なのだが、食の欧米化が乳がんのリスクを高める・・・という話はよくきく話だ。
んじゃ、食の欧米化っていつから始まったのっていうところから見てみよう。
○ 1960年の代表的な献立
(朝食) 麦ごはん/アサリの味噌汁/冷奴/漬物/果物
(昼食) 炒めうどん/果物
(夕食) ご飯/サバの塩焼き/ヒジキの煮物/キャベツともやしの味噌汁
○ 1975年の代表的な献立
(朝食) レーズンパン/オムレツ/ソーセージとキャベツのソテー/果物/牛乳
(昼食) 親子丼/紅白なます/つくだ煮
(夕食) ご飯/サバの味噌煮/五目豆/白菜とわかめのすまし汁
○ 1990年の代表的な献立
(朝食) ピザトースト/里芋のツナサラダ/果物/牛乳
(昼食) ラーメン
(夕食) ご飯/マーボー豆腐/エビのチリソース炒め/キュウリの辛み漬け
○ 2005年の代表的な献立
(朝食) トースト/クラムチャウダー/果物
(昼食) ハンバーガー/サラダ/ジュース
(夕食) ご飯/豚の生姜焼き/ポテトサラダ/タマネギと豆のスープ
年代が進むにつれて、一見して献立にカタカナが増えていくのがよく分かる。
2005年と1960年を比較すると、
○ お米の消費量(日本人一人当たり)・・・半減
○ 肉の消費量・・・6倍に増加
○ 油脂類・・・3倍に増加
と、確実に食の欧米化が進んでいる。
この各年代の献立を粉末にしてマウスに食べさせる実験を行ったところ、その結果は実に興味深かった。
1975年型の献立を食べ続けたマウスは、2005年型の献立を食べ続けたマウスよりも、
○ 平均寿命が長く
○ 学習記憶能力が良好
○ がんの発生率が低い
ということが判明したらしい。
次に人間で実験(4つの年代の献立1週間分を再現)したところ、
○ 軽度肥満者のBMIが改善
○ 悪玉コレステロールが減少
○ 善玉コレステロールが増加
○ 普通体重の人のストレス軽減
○ 運動機能の向上
という効果があったとのことだった。
んじゃ、健康的な献立っていうのは、昔ながらの粗食・・・つまり、油脂類の摂取が一番少ない1960年の献立が一番体にいいんじゃないの?って言うと、それはそうじゃないらしい。
理想的な日本食の献立は1975年型で、この頃の食事が一番バランスがとれているそうだ。
油脂類も適度に摂取をしないと脂質を燃やす能力が低下し、老化で代謝が落ちると脂質が溜まりやすくなる。
それに、高齢期のコレステロール値の上昇を抑える作用があり、動脈硬化の予防にだってなるそうだ。
癌患者にはお馴染みのCRPも、加齢に伴って発症しやすい病気の指標になるが、この値を抑えるのに日本食はよく、魚や大豆、海藻、野菜などに抗炎症成分が含まれているという。
結果・・・一汁三菜を基本にしていろんな食材を少しづつとり、ゆっくり食べて消化による体への負担を軽くしましょうってことで、よくある健康本のまとめのようなまとめでしめくくられていた。
詰まるところ、健康に王道はなし、先人の知恵に学びましょうってことだね。
※ 都築先生の研究室のHP。食に関連する興味深い研究をされています。