僕は菜食を心がけるようになってから、veggyという雑誌を定期購読していた。
過去形なのは、2016年の3月号をもって定期購読を中止したからだ。

veggyは国内唯一のベジタリアンの雑誌で、2ヶ月に一度のペースで発刊されている。
発行者は吉良さおりさんという方で、普段から体にいい食事をとっておられるせいかとてもお美しい方である。
この雑誌は、菜食に関して意識の高い著名人の寄稿やインタビューの他、ベジタリアンやヴィーガン料理のレシピやレストランの紹介、食を中心とする健康へのアプローチなど幅広い構成になっている。

僕はこの病気になってから思うところがあって肉と乳製品を断ってしまったが、この雑誌に出会ったことで、今まで知らなかった菜食の世界と食べ物の重要性について学ばせてもらった。
購読を中止したのは、この一年を通じて菜食思想についてある程度の知識がついたからだ。

ベジタリアンというのは動物愛護の精神と深く関わっている。
動物を殺す屠殺という作業の中で、動物の体に悲しみの負の念が閉じ込められ、それを食べる人にも負の念が乗り移る・・・というような考え方があるようで、僕はどちらかというと動物愛護の精神というよりも、体にいいという食事法を求めていた。

ベジタリアンというものを勉強するうちに、僕が追い求めていたのはどうも「マクロビオティック」だということに気づき、ベジタリアンからは次第に興味を失ってしまったのである。
なので僕は今回号をもってveggyは卒業させていただくが、食に高い関心を持っておられる方には是非ともこの雑誌はお勧めしたい。

(2016.MARの表紙)


自然由来のものを手に入れようとすると、わざわざ専門店を探さないといけないほど、この世の中には人工的なものがあふれている。
一般的に考えて自然界には存在しない人工的な薬品が入ったものを、いくら安全性が確認されているからと言って体の中に入れていいはずがない。
季節の旬を無視し、安くて腐りにくくて、着色料等で見栄えよく整えた食べ物は時代の要請なのだろうけど、食事は毎日3食食べるもの。
微量でも蓄積される体への影響を考えると、得体のしれない不気味さを感じる。
しかも悪いことにそういったジャンクフードこそいつでも手の届くところにあり、おいしいのでまた次も買わずにはいられないという麻薬のような依存性がある。

僕にとってこのveggyという雑誌は、自分でも気がつかない食生活の歪みを、正しい方向へと軌道修正してくれた。
決して菜食を勧めるわけではないが、食に不安を感じている方や体の内側からきれいになりたいと考えている方にとって、この雑誌は良い刺激を与えてくれると思う。

癌という病気は一度なってしまえば、食事に気を付けるくらいで再発を防げたり完治できるような甘い病気ではない・・・と僕は思っている。
しかし癌患者は、1日1食やら玄米正食、肉断ち、乳製品断ちなど、何かをやっていなければ不安で仕方がないのだ。
僕のマクロビオティックの実践も、実はそんなところから端を発している。

バランス良い食事で死亡率減 がんセンターなど、8万人を15年追跡調査

(毎日新聞 2016.3.23)

バランスの良い食事をしている人ほど、病気の死亡リスクが減るとの研究結果を国立がん研究センターと国立国際医療研究センターの研究チームがまとめ、英医学誌に23日発表した。
約15年の長期調査によって、食事と健康との因果関係が科学的に裏付けられた。
対象は、1995年または98年時点で45~75歳だった全国の健康な男女約8万人。
1日に何をどれだけ食べればいいかを示す「食事バランスガイド」(農林水産省など作成)を基に、ご飯などの「主食」や野菜などの「副菜」といった項目ごとに、どれだけガイドに沿った食事を摂取しているかを点数化してグループごとに分析した。

その結果、最も点数が高いグループは最も低いグループと比べ、死亡リスクが病気全体で15%、脳血管疾患で22%、循環器疾患で16%、それぞれ低かった。
ガイドの項目ごとに分析したところ、「主菜」の得点が高い人ほど脳血管疾患の死亡リスクが低く、野菜などの「副菜」や「果物」の得点が高い人ほど、循環器疾患の死亡リスクが低かった。

「不足しがちな野菜の摂取を」
 チームの黒谷佳代・国立国際医療研究センター疫学予防研究部上級研究員は「不足しがちな野菜や果物を積極的に摂取し、肉などは適切な量を取るなどバランスの良い食生活を心がけることが大切だ」と話す。