2015.5.11
人生で初めて半日ドックを受診する日だ。
癌以外の別の病気の早期発見と、乳がんの転移の有無を間接的に確認をするためで、特に今まで受けたことがなかった胃カメラの検査をしてほしかった。
僕に転移は必須だと覚悟はしていても、また転移の早期発見がその後の生存率に影響しないと分かっていてもやはり気にはなるものだ。
受診する病院は悩んだが、結局今治療で通っている病院を選択した。
検査の結果が主治医の元にも届くからだ。
きれいな女性がアテンドしてくれて、一流ホテルなみのサービスを受けられるような人間ドックにも興味があったが、今はあきらめることにした。
朝8時過ぎ、事前に2日に分けて採取した便と記入した問診票を携えて、通い慣れた病院へと向かう。
昨日の21時からは絶食、朝からは絶飲だ。
いつもなら自動受付機に診察券を通すのだが、今日はそのまま5階の健診センターへと向かう。
受付をして、更衣室で検査衣に着替えたところでふと気がついた。
今日はヅラをかぶっていないのでハンチング帽を着用してきたのだが、このままぽやぽやっとした毛が生えたハゲを衆人にさらすのは気が引ける。
しかも今日はマスクをしているので、どこからどう見てもかわいそうな人にしか見えない。
たっぷり3 分間更衣室の中で悩んだ挙句、検査衣にハンチング帽という奇妙なスタイルで出てきてしまった。
入院していた時にもそんな妙な恰好のおじさんを見たことあるし・・・。
検尿、採血、聴力、心電図、腹部エコーはそのまま健診センターで受けることができるが、胸部エックス線と眼の検査と胃カメラは外来へ降りて行かなければならない。
心電図と腹部エコーは女性の技師さんだったが、ベッドに横になって検査衣をはだけると、僕の左胸を見て一瞬はっと息を飲んだ。
無理もない、男だけど全摘したんですよ。
その後、待たされることもなくとんとんと検査が進み、いよいよ初めての胃カメラの時間となった。
今回は比較的楽だと言われている経鼻を選択している。
病院の内視鏡室に入るのはもちろんこれが初めてで、部屋の中の待合に腰をかけると目の前のテーブルの上に、「大腸内視鏡用下剤 マグコロール」と書かれた1.8リットル入りの白濁色の液体が紙コップとともに置いてあった。
(大腸の検査をする人はこれを一杯飲んでから検査するのかー)
と思ったが、周りの人の会話を聞いているとどうやら一人でこれを何時間もかけて飲み干すらしい。
(え?まじかー?それは大変だなー。)
なんて思ってるうちに看護師が呼びにきた。
検査室の前室の大きなリクライニングチェアに座ると、ポカリのような味がする液体を紙コップでくれた。
なんでも胃をきれいにするお薬だという。
そして小さなジョウロのような容器に入った麻酔を右の鼻から入れ、続いてプラスチック製のシリンダーの注射器のようなものでドロっとした麻酔液を入れられた。そして、
「まずこれくらいからいきましょうか」
と、看護師が鼻に透明の細くて短いストローのようなものを挿入した。
多分これで鼻の通り道を広げているのだろう。
一瞬だったが、入れられるときに鼻に水が入ったようなツーンとした感覚がして涙が出た。
しばらくするとさっきの麻酔液がドロリと喉を通り過ぎていき、すぐに喉のあたりが麻痺してきた。
結構苦みがある。
先ほど鼻に入れたストローを交換(多分さっきのよりも太いのだろうけど、麻酔が効いたのかツーンとしたいやな感覚はなかった)し、そのまま10分くらい放置されたあと、隣の検査室へ移動してベッドに横向きに寝かされる。
そしていよいよ先生の登場だ。
ここでビビリ全開となった僕は固く目をつむり、体を強ばらせて
「神様、どうか早く終わりますように」
と、しんどい時にだけすがる神様に全力で祈った。
カメラが蛇のように鼻からゆっくりと入っていく。
痛くはないが、鼻の奥にツーンとしたいやな感覚が2~3秒続き、カメラがさらに奥へと進もうとする。
…が、どうやら僕は鼻の奥が狭いらしく、なかなかスムーズに入っていかない。「狭いなあ」とつぶやく先生だが、あいにく僕に返事をする余裕はない。
どうにかカメラが胃に到達したようだが、固く目をつむったままの僕にモニターは見えない。
検査自体は5分くらいだっただろうか、先生の、
「終わりましたよ。大丈夫、きれいな胃でした。」
の声でようやく一息つけた。
検査中、ずっと背中をトントンしてくれた看護師さん、ありがとう。
その後、健診センターに戻って内科医の診断となるが、その模様は次回の記事にする。
麻酔の影響が抜けるまでおよそ1時間は絶飲だったが、その後、病院が用意してくれた天ぷら定食を食堂でいただき、初めての人間ドックが終わった。
人生で初めて半日ドックを受診する日だ。
癌以外の別の病気の早期発見と、乳がんの転移の有無を間接的に確認をするためで、特に今まで受けたことがなかった胃カメラの検査をしてほしかった。
僕に転移は必須だと覚悟はしていても、また転移の早期発見がその後の生存率に影響しないと分かっていてもやはり気にはなるものだ。
受診する病院は悩んだが、結局今治療で通っている病院を選択した。
検査の結果が主治医の元にも届くからだ。
きれいな女性がアテンドしてくれて、一流ホテルなみのサービスを受けられるような人間ドックにも興味があったが、今はあきらめることにした。
朝8時過ぎ、事前に2日に分けて採取した便と記入した問診票を携えて、通い慣れた病院へと向かう。
昨日の21時からは絶食、朝からは絶飲だ。
いつもなら自動受付機に診察券を通すのだが、今日はそのまま5階の健診センターへと向かう。
受付をして、更衣室で検査衣に着替えたところでふと気がついた。
今日はヅラをかぶっていないのでハンチング帽を着用してきたのだが、このままぽやぽやっとした毛が生えたハゲを衆人にさらすのは気が引ける。
しかも今日はマスクをしているので、どこからどう見てもかわいそうな人にしか見えない。
たっぷり3 分間更衣室の中で悩んだ挙句、検査衣にハンチング帽という奇妙なスタイルで出てきてしまった。
入院していた時にもそんな妙な恰好のおじさんを見たことあるし・・・。
検尿、採血、聴力、心電図、腹部エコーはそのまま健診センターで受けることができるが、胸部エックス線と眼の検査と胃カメラは外来へ降りて行かなければならない。
心電図と腹部エコーは女性の技師さんだったが、ベッドに横になって検査衣をはだけると、僕の左胸を見て一瞬はっと息を飲んだ。
無理もない、男だけど全摘したんですよ。
その後、待たされることもなくとんとんと検査が進み、いよいよ初めての胃カメラの時間となった。
今回は比較的楽だと言われている経鼻を選択している。
病院の内視鏡室に入るのはもちろんこれが初めてで、部屋の中の待合に腰をかけると目の前のテーブルの上に、「大腸内視鏡用下剤 マグコロール」と書かれた1.8リットル入りの白濁色の液体が紙コップとともに置いてあった。
(大腸の検査をする人はこれを一杯飲んでから検査するのかー)
と思ったが、周りの人の会話を聞いているとどうやら一人でこれを何時間もかけて飲み干すらしい。
(え?まじかー?それは大変だなー。)
なんて思ってるうちに看護師が呼びにきた。
検査室の前室の大きなリクライニングチェアに座ると、ポカリのような味がする液体を紙コップでくれた。
なんでも胃をきれいにするお薬だという。
そして小さなジョウロのような容器に入った麻酔を右の鼻から入れ、続いてプラスチック製のシリンダーの注射器のようなものでドロっとした麻酔液を入れられた。そして、
「まずこれくらいからいきましょうか」
と、看護師が鼻に透明の細くて短いストローのようなものを挿入した。
多分これで鼻の通り道を広げているのだろう。
一瞬だったが、入れられるときに鼻に水が入ったようなツーンとした感覚がして涙が出た。
しばらくするとさっきの麻酔液がドロリと喉を通り過ぎていき、すぐに喉のあたりが麻痺してきた。
結構苦みがある。
先ほど鼻に入れたストローを交換(多分さっきのよりも太いのだろうけど、麻酔が効いたのかツーンとしたいやな感覚はなかった)し、そのまま10分くらい放置されたあと、隣の検査室へ移動してベッドに横向きに寝かされる。
そしていよいよ先生の登場だ。
ここでビビリ全開となった僕は固く目をつむり、体を強ばらせて
「神様、どうか早く終わりますように」
と、しんどい時にだけすがる神様に全力で祈った。
カメラが蛇のように鼻からゆっくりと入っていく。
痛くはないが、鼻の奥にツーンとしたいやな感覚が2~3秒続き、カメラがさらに奥へと進もうとする。
…が、どうやら僕は鼻の奥が狭いらしく、なかなかスムーズに入っていかない。「狭いなあ」とつぶやく先生だが、あいにく僕に返事をする余裕はない。
どうにかカメラが胃に到達したようだが、固く目をつむったままの僕にモニターは見えない。
検査自体は5分くらいだっただろうか、先生の、
「終わりましたよ。大丈夫、きれいな胃でした。」
の声でようやく一息つけた。
検査中、ずっと背中をトントンしてくれた看護師さん、ありがとう。
その後、健診センターに戻って内科医の診断となるが、その模様は次回の記事にする。
麻酔の影響が抜けるまでおよそ1時間は絶飲だったが、その後、病院が用意してくれた天ぷら定食を食堂でいただき、初めての人間ドックが終わった。