2014年7月1日
入院1日目の19:30ごろ、主治医の先生が病棟に来てくれてCVポートのサンプルを見せながら手術の説明をしてくれた。
診断名は「左乳癌術後」で、術式は「右前胸部中心静脈ポート留置術」。
合併症としては、「気胸、出血、感染等」。

そして翌日の7月2日、人生初の局麻下での手術を迎えた。
病棟で手術衣に着替えると、手術室へ男性の看護師さんと一緒に徒歩で向かった。
全麻での手術と違って点滴はない。
手術室までの短い道中だったが、付き添ってくれた看護師さんの珍しい名前の由来をお聞きするなどして盛り上がり、緊張感はまるでなかった。

11:00ごろ、手術室に入るとまず目についたのが大きなモニターで、エコーガイド下での手術なのが分かる。
ビビリの僕はそれくらいは予習済だ。
手術室のナースが、術中にヘッドホンで音楽を聴くかどうかを尋ねてくれた。
気が紛れるならそれもいいなって思ったので、選曲は看護師さんにお任せすると「絢香」を用意してくれた。

手術台に横たわると、僕の頭の右隣に目隠し用の緑色の布がセットされ、先生の、
「チクっとしますよー、ごめんなさいねー。」
の声で手術が始まった。

注射器の針先が皮膚に入っていく感覚に続き、冷たい薬液が右鎖骨下に入っていく。
(あれ、痛ってぇ!ものすごく痛い!)
体が自然とブリッジし、脂汗が吹き出す。
先生はブリッジしている僕にはお構いなく、麻酔の注射を場所を変えて2~3本打つ。
時折ナースが優しく肩をとんとんしてくれるのがものすごく癒やされた。
手術中でなければスリスリして子供のように甘えたくなる。
タッチングというらしいのだが、こんなことで気持ちを落ち着かせることができるなんて驚きだ。

痛みにぐぐっと耐えているとナースが、
「たいちさん、息が止まってますよー。深呼吸してー。」
と言われ、慌てて深呼吸をする。

血管内にカテーテルが入った次は、いよいよポート本体の埋め込みが始まる。
電気メスがジリジリと音を立て、皮膚が切開されていく感覚。
そして人の体が焦げる独特の臭気。
これがまた痛くて思わず、
「痛いですぅ」
と可愛く主治医に訴えてみたが、主治医は一瞬手を止めてくれるも、
「ちょっと我慢して!」
と、普段にない荒い口調で言われ、僕は完全に凹んでしまった。
痛かったら追加で麻酔打つって言ったじゃーん(泣)

後はぐぐっと指でポート本体を押し込んでいるような感覚がして、
「もう縫ってますからねー」
と言われ、確かに僕、生れて初めて針と糸で縫われました。

ようやく手術が終わり、少し恨めし気に、
「先生、僕、汗びっしょりになりましたよ」
と言うと、先生も
「僕も汗かきましたよ。」
あれ、処置程度の簡単な手術しゃなかったの?
手術時間は45分くらいだった。

迎えにきた病棟の看護師が、手術室ナースから引き継ぎを受けていた。
「出血量が○○で…、あと痛みによる不整脈がありました。」
そりゃ不整脈にもなるだろう・・・、かなり痛かったもんね。

病棟に帰ってからも右鎖骨下に血管痛のような痛みがとれず、痛み止めを2回ばかり服用した。
翌日には初めて抗がん剤の点滴をする予定だが、もうCVポートが使えるらしい。