主治医からはEC療法を4クール受けた後、パクリタキセルを投与するという説明を受けていた。
僕の場合は再発するリスクが高いため、パクリタキセルを何クール投与するかは今の段階では決めずに、副作用の程度を見ながらやめる時を判断するとのことだった。
でも、まだ再発していないのに、「終わりが見えない抗がん剤」というのは何を目標にしてがんばればいいのか分からなくなるし、またいつまで禿げていればいいのかも分からない。
そんなことをお話すると、主治医は、
「では一旦12クールを目標にがんばりましょう」
ということになった。

僕は先輩方のブログなどを読み漁り、パクリタキセルのことやその副作用について勉強を始めた。
その中で、パクリタキセル製剤である「アブラキサン」という新しい抗がん剤があることを知った。
効果はパクリタキセルと差異はないが、ステロイドなどの前投与がなく、点滴時間が短くなるらしい。

早速次の診察日に主治医に相談してみると、パクリタキセルならウィークリー、アブラキサンなら3週間に1回の間隔で投与するとのことことになるが、効果はどちらも変わらないと言う。
ただアブラキサンは血液製剤であるアルブミンを使うので感染症へのリスクがあり、同意書が必要とのことだった。

副作用はアブラキサンでもパクリタキセルでも大なり小なりあるだろうし、自宅から近いとはいえ毎週病院に通うのもしんどい。
3週間に1回、しかも点滴の時間が短いのならばアブラキサンを選択しない手はない。
全体の投与期間自体は当然ウィークリーであるパクリタキセルのほうが早く終わるので、そこだけは少々迷ったが、それでも最終的にはアブラキサンでお願いすることにした。

以下、初回投与のときのことを書く。

2014.9.25(木)
ケモ室でアブラキサンの第1クールを受けた。
アブラキサンは泡立てないように調合することが難しいようで、病院の薬剤部からケモ室になかなか薬が届かない。
結局、投与が始まるまでケモ室で1時間半ほど待たされた。
アブラキサンは先輩方のブログでも表現されているとおり、一見「カルピス」を彷彿とさせる乳白色をしていた。
もちろん飲んでみたいとは思わない。
初回なので滴下速度を遅く設定したようで、11:24に点滴を開始して12:55に終了した。
自宅に帰ると若干の気持ち悪さはあったものの、食欲は普通にあり、EC療法の時に比べれば断然楽だ…と、その時は思った。

2014.9.26(金)
次の日も軽い悪心や顔の火照りを感じたもののどうということはなかった。

2014.9.27(土)
いよいよ噂の痺れがやってきた。
ピンポイントで左手掌、左足の裏、左膝あたりに、正座をした後のような軽い痺れと全身の倦怠感を感じた。

2014.9.28(日)
風邪を引いたときのような関節痛が全身を襲い、ベッドから動けなくなった。
食欲もなく、お手洗いに行くのがやっとという状況で、ロキソニンを飲んでみたが痛みは引かない。

2014.9.29(月)
昨日よりはましになったものの、風邪を引いた時のような関節痛が引かず、会社を休んでしまった。
足の裏がピリピリしている。
日記を見ると、この日、病院に行って痺れ対策としてリリカと味覚障害対策としてポラプレジンクを処方してもらっていた。

2014.9.30(火)
両方の下半身に痺れと痛みを感じるが、歩行は可能。
薬疹が体のあちこちに出た。

2014.10.1(水)
痺れはほぼ解消したが体に出た薬疹がひどく、寝ている時に無意識にひどくかき破ってしまう。
病院に行ってがん化学療法認定看護師に相談すると、主治医の診察をセッティングしてくれた。
そして病院の薬剤師と相談してくれ、軟膏とステイロイド錠を処方してもらう。