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160 癌患者の健康診断(平成28年度)
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術後、4回目の健康診断の季節がやってきた。
過去の記事を読んでいただければ、なぜ僕が社内で健診を受けないのか・・・、また癌という大病を患ってからの健診に対する思いを書き綴っているので、より詳しくお知りになりたい方はご参照ください。

術後1回目の健診は、人生初めての半日人間ドックを受けた。
もとより怖がりで痛がりで病院嫌いだった僕が半日ドックを受けようと決意したのは、癌の辛い治療と検査を受けてきてビビリに自信を持つことができたのと、癌になって健康の大切さを痛感したからだった。
まだ転移が分かっていない時期だったが、再発は免れないにしても、癌以外の病気は早めにその芽を摘んでおきたい・・・と、そう思ったのだった。

術後2回目の健診は、東京へ単身赴任中の時だった。
術後フォローをお願いしていたクリニックで法定の最低限の健診だけを受けたが、内容があまりにもしょぼかった。
でも他に病院を知らなかったので仕方がない。

術後3回目は、地元に帰ってきていたので、手術を受けた病院・・・1回目の健診を受けたのと同じ病院だが、ここで生活習慣病検診を受けた。
この時はすでに癌の再発が分かっていたので、高い自費を払ってまで人間ドックを受けなくてもいいや・・・と思ったのだ。
この健診で人生初めての胃透視(バリウム)を経験し、その結果、バリウム斑を指摘された。
早速教授先生に報告すると、
「君はステージⅣなんだから、痛くてしんどい検査を金を払ってまでわざわざ受ける必要はない。他の病気なんて、自覚症状が出てから対処すればいいじゃない?」
というようなことを言われた。
教授先生にはこういう冷たさと、患者を小馬鹿にして嘲笑するようなところがある。

そして迎えた術後4回目の検査。
教授先生のおっしゃるとおり、法定の最低限の健診だけをチョイスして、胃の検査はキャンセルすることにした。
教授先生の言葉にふて腐れたわけではないけれど、胃透視はブスコバンを筋肉注射し、炭酸を飲ませておいてゲップするなと無茶なことを言われる。
また、バリウムを飲んで検査台の上をゴロゴロさせられるし、おまけに結構な量の放射線を浴びることになる。
それに言い方はともあれ、教授先生の言葉に腑に落ちたところもあったのだ。

今回僕が受けた検査は、以下のとおりだ。
○ 〈事前〉問診票の記入(内科診察分とレントゲンのもの)
○ 〈事前〉検便(2回法)
○ 採尿
○ 身長、体重の計測
○ 医師の診察
○ 採血
○ 胸部X-P
○ 心電図、聴力、視力検査
で、レントゲンで30分ほど待たされたが、それがなければ1時間ほどで終わっていた。
胃の検査がないので検査衣へ着替えさせられることもなく、私服で鞄を持ったまま各検査を回っていったが、まるでスタンプラリーのようだった。

 

医師の診察は、以前に半日ドックを受けた時は感動するほど丁寧にお話しを聞いてくれたのだが、それ以外の診察は手のひらを返したような3分間診察だった。
病院も経営だね・・・ということがとてもよく分かった。

事前の問診票のアナムネには、「カルチ」とだけ書いておいた。
術後4年が経っても、やっぱり「乳がん」と書くのには抵抗があるのだ。
しかし先生に、「これは?」と尋ねられたのはやっぱり「カルチ」のことだったので、万歳して男性乳がんのステージⅣです…とお答えした。
聴診器を当てるときには胸を全開にしたので、右鎖骨下のポートも指摘された。
「ポートはホルモン療法で使っているの?」
って、点滴で入れるホルモン療法があるんだ、って少し驚いた。
「いえ、最初のケモの時に使って、今は月に1回フラッシュしてもらっています。」
と言うと、
「これから先、使うことがないようにね。」
と、ステージⅣの患者に、おざなりの言葉をいただいた。

結果は約3週間後に自宅に郵送されるはずだが、「胸部レントゲンで肺に白い影がある」となるとビックリするけど、それ以外の結果は毎月血液検査をしているので大体予想がつく。
仮に肺に転移していたとしても、大きく治療は変わらないはずだ。
「男性乳がんはただでさえ闘う武器が少ないのだから、弾丸は大事に使っていこう」と、教授先生が言っていたからね。