久しぶりにパソコンに向き合ってブログを書いている。
「202 遅筆は心の弱り度のバロメーター」の中で心の脆弱ぶりを誰かれとなくPRしてみたが、仕事が忙しかったのに加え、遅ればせながら夏休みを数日頂いたので、朝から晩まで遊びまくっていてなかなかPCに向かえなかったという事情もあった。
この夏休みの模様はまた近々に書くつもりにしているので、お付き合いいただける方は是非読んでみてください。

さて、「腫瘍マーカー上がる」というタイトルで記事を書いたのは、思い返せば術後から約1年後の2015年5月14日のことであった。
※ ブログをアメブロに移植した時にタイトルを変えたので、現在は
「63 (回想)人間ドック後の主治医との診察(その1)」 に書かれている。

あの時は1CTPだけが5.9(正常値4.5)と高値を示していて、ひょっとして骨転移したのではないかとビビったものだが、主治医は落ち着いていて、
「ただちに骨転移を疑うわけじゃないから、もう一度計ってみよう」
ということになった。
2度目の数値は少し下がって基準値内の上限となり、僕の場合、1CTPは高値安定だろうということで決着がついた。

先日、「196 術後2年目健診とリンパ浮腫のこと」という記事の中で、エコーと胸のX-P、そして腫瘍マーカー2種(CEA、CA15-3)の検査をしたが、画像上ではなんら所見はなかったことを書いた。
腫瘍マーカーは外部検査に出すのですぐに結果は分からないけど、異常があれば先生が電話をくれるというお話しだった。
そして先生からの連絡がないまま1か月が過ぎたので、腫瘍マーカーも問題はなかったのだろうと思いながら、毎月1回のポートフラッシュのため、クリニックを訪れた。

平日の昼間にも関わらず1時間30分待たされた(途中、先生のお昼ごはん休憩を含む。)が、ようやく診察室に通されたものの、いつもの先生の雰囲気というか中の空気が微妙に違う。

そんな雰囲気を振り払うかのように、
「こんにちは!」
と元気よく先生にあいさつすると、いつもならニコニコしながら、
「あーー、たいちさん。いつもお待たせしてすいませんねぇ。お加減はいかがですかー?」
と出迎えてくれるのだが、今日は挨拶をしても何もおっしゃらない。

(なんかいつもと様子が違うな)って思いながら荷物置き場に荷物を置き、患者用の丸椅子に座ると、
「たいちさん。最近体の調子はどう?おかしいなって思うようなこととかない?」
と真面目な顔をして唐突にお尋ねになった。
振り返ってみても、
「さあ、特に思い当たる節はないんですけど・・・。」
と言うと、
「先日の血液検査の結果なんだけど、CEAが上がってるんだよねー」
と言いながら、血液検査の結果レポートの紙を机に置く。
腫瘍マーカーの項目を見るとCEAの文字が赤くなっていて8.1という高値異常を示している。

 

「たいちさんはたばこを吸わないよね?」 
と聞かれるが、たばこはとうの昔にやめているのでCEAには影響しない。

「今日ね、もう一度採血をさせてください。3日後には結果が分かるから次回は早めに来院してもらって、そこでこれからのことを話をしましょう」
ということになり、ポートフラッシュを済ませた後、別室で採血することになった。
ひょっとしたら骨転移もあるかもしれないなって思ったので、針を刺される直前に、
「先生、1CTPは計りませんか?」
と聞くと、今回は計るという。

術後、これまでの2年間でCEAが高値異常を示したのは初めてのことだ。
術前のCEAは7.0だったのだ。
今回の「8.1」という数字は一般的に見てそんなに高い数字ではないとは思うが、今日になって突然高値を示したのだから、きっと体のどこかで癌が再発したのだろう。

これまで何百人、何千人という乳がん患者を診てきた先生が顔色を変えたということは、あまり安心してはいけないのかもしれない。

前々から覚悟はしていたことなので、結果がこうだからと言って悲しみのどん底に突き落とされることはないが、それでもクリニックを出てからはいつになく異様な寂しさを感じた。
電車の中できゃっきゃっと騒ぐ女子高校生を横目で見ながら、(健康に不安がないっていいよなー。ああ、僕ももう少し長く生きたかったな)なんて、一人感傷にひたっていた。

今週の土曜日の夕方、今日検査した腫瘍マーカーの結果を聞きに行ってきます。
まだ再発が確定したわけではないので、その日までは意識してあまりこのことについては考えないようにしよう。
妻に言おうかどうか迷ったが、妻にだけは話しておくことにした。
「誰にも言うなよ。両親にもダメだよ。」
としっかり口止めをして。
心配をかける人は最小限の人でいい。

僕は完治することは半分以上あきらめているけれど、僕の病気が治ることを信じて疑わない彼女にとっては、今回の結果を一番悔しがっているのかもしれない。
本当にごめんね・・・。
さすがにすぐには死なないとは思うけど、それでもタイマーは動き出しちゃったのかもしれない。

※ リンパ浮腫治療(LVA)のことは、このことがはっきりするまでしばらくお預けにしようと思います。
同じく今週の土曜日に形成外科を受診することになっているので、先日行ってきた大学病院でのお話しとCEA高値の結果をお話ししてきます。