2014.5.29、手術の前の日である。
入院している僕を訪ねて麻酔科医が説明にやってきた。
麻酔について一通りの説明が終わったあと、
「たいちさん、あなた肥えてるよね。お金のことを言って申し訳ないけど、BMIの数値がもう少し上がると診療報酬点数があがって麻酔代が高くなるんだよ。もうちょっと痩せなきゃ。」
と言われる。
この病院、主治医も看護師も本当に親切で優しくて今までなんの文句もなかったのだが、この麻酔科医とは初対面ながらどうも相性がよくないようだ。
僕も手術前日で気持ちに余裕がなかったのかも知らないが、先生の話し方や態度についカチンときてしてしまった。
とは言え相手は麻酔科医。
口答えをして怒らせようものなら、手術中に麻酔を切られるというような報復をされないとも限らない。
むっとした顔を悟られないよう、俯いてなんとかやり過ごした。
ほんとに言い訳になるのだが。。。
BMIはご存知のように身長と体重の相関関係から導き出される数値である。
例えば、僕のようにせっせと体を鍛えてプロレスラー体型のような100キロ(例えばね。)と、運動もせずにポテチとコーラが大好きな100キロとは違うのだ。
脂肪量や筋肉量を無視して、数値が高ければ「肥満」と判断されるBMIには前々から不満があった。
病気になる前はジムの体組成計で時々計測していたが、体脂肪率も正常値からそんなにかけ離れたものではなく、また筋肉量もトレーニングしている成果が十分に表れていたのである。
とはいえ、この麻酔科医の言葉に奮起した僕は、術後2か月で13㎏減量(脂肪と筋肉量も落ちた)することができたので、結果的には彼の思惑どおりになったということになるのかもしれない。
そして話は手術当日、2014.5.30のことになる。
手術室のベッドの上に横になった僕は、点滴を通じて眠くなる薬を入れられた。(あ、ほんとに眠くなりそう)と思った僕の鼻と口の上にマスクをポンと置かれた。一瞬、(あれ、置くだけできちんと紐で締めなくてもいいの?)と思ったが、麻酔科医が「深呼吸してください」との声に、2回大きく呼吸した途端に意識を失った。
そして目覚めのとき。
きっと徐々に麻酔が抜けていくのだろう。
意識が少しづつ回復するにつれて時間経過を皮膚感覚で感じるようになり、最後は自然に目が覚めた。
今回経験した初めての全身麻酔で、
(多分死ぬっていうのは、テレビの電源をぷちっとOFFにしたように意識を失ってしまうことなんだろうな)
って思うようになり、、死への恐怖感がいくらか薄まったような気がした。
(人って、死んだらどこにいくのだろう)
とは、誰しもが一度は考えることに違いなく、また未知なる世界への恐怖に怯えたこともあるだろう。
僕も例外ではなかったのだが、あとは苦痛にさいなまれることなく穏やかにこの世に別れを告げたいと願うばかりである。
入院している僕を訪ねて麻酔科医が説明にやってきた。
麻酔について一通りの説明が終わったあと、
「たいちさん、あなた肥えてるよね。お金のことを言って申し訳ないけど、BMIの数値がもう少し上がると診療報酬点数があがって麻酔代が高くなるんだよ。もうちょっと痩せなきゃ。」
と言われる。
この病院、主治医も看護師も本当に親切で優しくて今までなんの文句もなかったのだが、この麻酔科医とは初対面ながらどうも相性がよくないようだ。
僕も手術前日で気持ちに余裕がなかったのかも知らないが、先生の話し方や態度についカチンときてしてしまった。
とは言え相手は麻酔科医。
口答えをして怒らせようものなら、手術中に麻酔を切られるというような報復をされないとも限らない。
むっとした顔を悟られないよう、俯いてなんとかやり過ごした。
ほんとに言い訳になるのだが。。。
BMIはご存知のように身長と体重の相関関係から導き出される数値である。
例えば、僕のようにせっせと体を鍛えてプロレスラー体型のような100キロ(例えばね。)と、運動もせずにポテチとコーラが大好きな100キロとは違うのだ。
脂肪量や筋肉量を無視して、数値が高ければ「肥満」と判断されるBMIには前々から不満があった。
病気になる前はジムの体組成計で時々計測していたが、体脂肪率も正常値からそんなにかけ離れたものではなく、また筋肉量もトレーニングしている成果が十分に表れていたのである。
とはいえ、この麻酔科医の言葉に奮起した僕は、術後2か月で13㎏減量(脂肪と筋肉量も落ちた)することができたので、結果的には彼の思惑どおりになったということになるのかもしれない。
そして話は手術当日、2014.5.30のことになる。
手術室のベッドの上に横になった僕は、点滴を通じて眠くなる薬を入れられた。(あ、ほんとに眠くなりそう)と思った僕の鼻と口の上にマスクをポンと置かれた。一瞬、(あれ、置くだけできちんと紐で締めなくてもいいの?)と思ったが、麻酔科医が「深呼吸してください」との声に、2回大きく呼吸した途端に意識を失った。
そして目覚めのとき。
きっと徐々に麻酔が抜けていくのだろう。
意識が少しづつ回復するにつれて時間経過を皮膚感覚で感じるようになり、最後は自然に目が覚めた。
今回経験した初めての全身麻酔で、
(多分死ぬっていうのは、テレビの電源をぷちっとOFFにしたように意識を失ってしまうことなんだろうな)
って思うようになり、、死への恐怖感がいくらか薄まったような気がした。
(人って、死んだらどこにいくのだろう)
とは、誰しもが一度は考えることに違いなく、また未知なる世界への恐怖に怯えたこともあるだろう。
僕も例外ではなかったのだが、あとは苦痛にさいなまれることなく穏やかにこの世に別れを告げたいと願うばかりである。