2017.5.30
今日で、術後3年目を迎えた。
術後2年目はどんなことを書いていたかなぁと、1年前の記事を改めて読んでみたけどまぁその暗いこと。
「50代で死ぬんだ」という予知夢のことから始まって、まだ転移していないにも関わらず転移した時のことや死のことをつらつらと書いていて、結びこそ繕うように「1日1日を大切に生きていこう!」と書いてあるけど、読む人に虚無感しか与えない記事で我ながらお恥ずかしい。
思わず削除したい衝動にかられたが、その時の自分の正直な気持ちを綴ったということで、恥をさらすようだがこのままにしておく。

さて、左胸全摘手術から3年目。
すでにブログでお知らせしたとおり、無事に3年目を迎えることはできなかった。
2017.1.17に転移が判明し、現在分かっているだけで、
○ 多発骨転移(頭頂部、腰椎3か所)
○ 多発皮膚転移(頭皮下)→縮小傾向(LETの効果か)
○ 右腋窩リンパ節腫大(健側)
○ 縦隔リンパ節腫大 →縮小傾向(LETの効果か)
と、リンパ管、血管ともに侵襲があった結果が如実に転移に表れている。
転移が発覚してからたった6ヶ月でこの勢いというのは空恐ろしくなってくるが、どこそこが痛いとかいうような自覚症状はまだなく、普通に生活できているので助かっている。

タモキシフェンは中止となり、ホルモン療法はアロマターゼ阻害剤のレトロゾールになった。
そして骨転移の進行を遅らせるためのデノスマブ(ランマーク皮下注)を毎月1回打つようにもなった。

ついでに体の状態を記すと、
○ 髪の毛の復活はもうあきらめた。あとはどのタイミングでヅラを脱ごうかと計っているところだが、なかなかきっかけがつかめない。
○ 夕方から夜にかけて、立ち上がれないほどのすさまじい倦怠感を感じることが多くなった。
○ 精神的には不安定で、いつでもどこでも容易に涙を流せるようになった。
心療内科で頓服としてデパスを処方してもらっているが、以前は2週間に1錠程度で足りていたのに、この数か月でほぼ毎日1錠飲むようになった。
○ 良質な睡眠がとれておらず、長らく飲んでいなかったマイスリー(入眠剤)の力を借りることも多くなった。
○ 左足の陥入爪が再びひどくなり、毎日のように出血と膿出、そしてまともに歩けないほどのすさまじい痛みがある。
しかしカロナールがよく効いてくれているので、朝と晩に飲んでなんとか耐え忍んでいる。
○ アブラキサン由来の副作用である手足の指先の痺れは相変わらず。
○ 腰椎の骨転移と関係があるのか分からないが、今までとは違った種類の腰痛と胸の裏の背中に痛みがある。圧迫骨折が怖いので骨に負担のかかるようなマッサージは控えていて、ひどい時は腰を伸ばすストレッチ程度にとどめている。

さて、術後3年を迎えた今の気持ちはというと・・・。

ある本で読んだ「寿命は比べるものではない」という一節がずっと心に残っている。
2017.3.1に厚労省が発表した日本人の平均寿命は80.75歳(男性)。
僕の予知夢が当たって50歳で死ぬとすれば、なんだか30年分損をした気になって悔しくもあるし、病気に負けたような気にもなる。
人生はよくドラマに例えられるが、年末時代劇スペシャルのように1部、2部と分かれて10時間以上のドラマもあれば、普通の1時間もののドラマだってある。
共通していることは、どんなドラマにも「いずれ終わりがくる」ということだ。
ドラマには見ている者を面白くさせる「起承転結」があって、それがないとただ起きて、食べて、仕事して、風呂に入って寝る・・・という日常生活を延々と繰り返すだけになる。
感動を呼び、生きる力を与えてくれるドラマというのは、どこにでもいる平凡な主人公が予期しないさまざまな苦難に見舞われるけど、最後まで勇気を振り絞って闘い、満身創痍になってでも見事に勝利するドラマではないだろうか。

僕のこれまでの人生ドラマの中ではこれといった大きな出来事というものがなく、平々凡々と暮らしてきたが、この度の病気に対してはどのように立ち向かうのだろうか。
仕事は?家族は?そしてこれからどうなる!?
主人公は僕自身であり、かっこよく演じるか無様に演じるかは他人が決めることじゃない。
大事なことは、
「ドラマの時間の長短ではなく、ドラマの中で何を主張するのかだ・・・」
と、その本は言っていた。
これを読んだ時、なにか心が すーっと収まるべきところに収まったような気がした。
命を使うと書いて「使命」という言葉があるが、まさに僕の使命について考えさせられた一文であった。

JUGEMでブログを書いている頃から僕を知っている読者は、僕がどんなに弱虫で根暗でビビりなのかよくご存じだと思う。
できるかどうかは別にして、ブログで「死ぬ死ぬ」と言って同情を買うよりも、健康な人にも、病気で苦しんでいる人にも元気を与えられるような記事が書けるといいな。
それにはまず僕自身が元気にならないといけない。
哲学者のソクラテスは、
「シビレエイは自分自身がしびれているからこそ、他人もしびれさせるのだよ」
と言っていた。

先日、「私、重度の口唇口蓋裂です」というブログを書いている小林えみかさんにメールをした。
この方は一言では言えないほどの辛くて苦しい闘病生活を送ってこられた方だけど、お母さんと一緒に見事に苦難を乗り越えてきた。
僕よりもずっと若い女性だけど、返ってきたメールには、
「病気は違えど、共々に病魔に立ち向かう生命を忘れず頑張りましょう」
と、激励したつもりが逆に励まされてしまった。
素晴らしいね、こういう方って。

一方で、密かに・・・「終活」と言うとまた暗い話になるが、身辺整理を始めつつあるのも事実だ。
いざ(入院も含めて)という時に他人に迷惑をかけないように。
現在進行中のものも含め、
○ 銀行やクレジットカードの最小限化。
(使っていないものはさくっと解約)
○ 会社の自分のPCに入っているデータの整理。
(見られたらまずいものは捨て、仕事関係のものは第3者が見ても分かりやすいように。)
○ 自分の部屋にある服や本、CD等、身の回りにある不用品の整理。
などなど。
身の回りの断捨離をして身辺をいつもきれいにしておくことは健康な人でも必要なことでしょ?

というわけで2017年の術後3年目は、転移1年生の年となった。
ドラマで言えば第2部の始まりかな?

視聴率が悪くて打ち切りにならないようかっこいい癌患者見せたいと思っていますので、今後とも変わらぬ皆様からの暖かい応援をよろしくお願いします。