今年初めての診察だ。
相変わらず朝の大学病院は激混みで、右折する一般車の停滞で僕が乗ったタクシーが病院の車止めへ進入するのに5分もかかりそうだったので、近くの交差点で降ろしてもらった。

前回の診察では意地になって断食のようなことをして体重を4キロ落としたが、あれからお正月もあり、また台湾へ旅行したこともあって体重計にこそ乗っていないものの、前回と同様かそれ以上になっていることを体感的に感じている。
教授先生は診察室にある体重計に乗らせてまで確認はしないはずだから、なんとか「前回から増えても減ってもいません」という口頭申告で済まないかと思っていた。
またネチネチと責められたら、今度こそ教授先生のもとで治療を続けてはいけないだろう。
※ 逆切れであることは自分でよく分かっております・・・ハイ。

悪びれずに言うことではないが、「断食のようなことをしたって続かない。これは僕の意地の問題だ。」と宣言していたとは言え、その成果は「やればできる」ということを確認したに過ぎない。
喫煙者だったころ、3日間禁煙できたことに気を良くして「これならいつだって禁煙できる」と、結果的に禁煙に至らなかったことを思い出した。
全くなんでこんな人間になってしまったのか、物心がついた頃から今に至るまで自分の甘さというものを全く克服できていない。
「僕はこんな人間なのだ」と開き直ることができれば楽になれるのかもしれないが、自分を思うように操縦できないことにずっと苦しみ続けている。

------------------------
待合室で待つことおよそ30分、モニターに自分の番号が表示された。
診察室の前の椅子で梅のおにぎりを頬張っている女性を横目に、診察室をノックする。

入室するとモニターから顔を上げてジロッと僕を見た教授先生。
「血圧は?」と、あいさつもせずにぶっきらぼうに尋ねられた。
今日はひじょーに機嫌が悪いのかと、少しどきどきしながら待合室で計った血圧のプリントを渡すと、
「もう少し努力が必要だね。塩分は控えてる?運動は?」
と矢継ぎ早にきたので、僕は「はあ、はあ」と返事にならない返事をした。

教授先生は僕の数値が落ち着いているので、骨転移の注射をランマークからゾメタに代えたいらしく、「ランマークを打ってからどのくらい経つ?」と聞かれた。
僕がようやく1年になることを伝えると、「まだそんなものか・・・」とつぶやいてこの話は打ち切りになった。

 

僕が後でネットで調べたところ、
「ゾメタは3ヶ月に1度の注射でもいい」
という論文があるようだ。
僕の場合は1ヶ月に一度、ポートへの通水があるので病院通いの頻度は変わらないが、精神的には楽になるような気がする。
ちなみに今日のランマークが、9回目の注射になる。


さて、もう一つ気がかりな腫瘍マーカーの結果は、
(2018年1月)9.0 ←今回
(2017年12月)8.5
(11月)計測せず
(10月)7.2
(9月)9.0
であった。

今回の結果は誤差の範囲内ではあるが、基準値に戻ることなく完全に下げ止まってしまったようだ。
これ以上下がらないのなら、これからは横ばいを祈るばかりである。

ちなみに、次回の診察前に体幹部(胸+全腹部)の造影CTのオーダーがあった。
前回は2017年4月5日だったので、そろそろ・・・ということらしい。
CEAが落ち着いているので劇的に増悪していることはないと思うが、点滴の留置針の痛みと、造影剤が勢いよく体内を巡る気持ち悪さを今から想像してげんなりした。

最後に教授先生は、いつもはやらないことだけど僕の左手にパルスオキシメーターを付け、空いた右手で造影剤使用の同意書を書かせて「どうだ、これ以上ないほど効率的だろう」と言わんばかりのドヤ顔をして、今日の診察が終わった。