1ヶ月毎の診察なので本来なら3月20日が次の診察日なのだが、教授先生曰く、その日は外来をやっていないとのことだった。
またその次の週は、僕がカンボジアへ旅行に行っている最中なので、前回の診察日から3週間目の今日が診察日になった。

この日も病院は大変な混雑だった。
採血も30分待ちで座る余地もなく、腫瘍血液内科でも2時間待った。
予約のない新しい患者さんは受付で「診察は夕方になる」と聞かされて絶句していたが、1年経った今でも「すんげぇ人だなぁ」と僕が毎回思うほどなので、さぞ驚いたことだろう。
ケモ室も同様で、ここでも20分ほど待たされた。
僕は点滴ではなくて注射だけなので、ケモナースの隙間時間に打ってくれるからこれは待ち時間には入らない。
将来、抗がん剤の点滴が始まるようなことになれば、さらに待ち時間が増えるだろう。
9:30に病院に到着して、薬を受け取る頃には13:15だったので約4時間の滞在か。
1ヶ月に1度のこととはいえ、家に帰るころにはぐったりする。

病院は巷にたくさんあるのに、なぜ大学病院がこんなに人気なのだろうか。

僕が手術を受けた病院は、先生も看護師さんもほんとに親切にしてくれて、嫌な思いをしたことはほとんどない。(一部の先生を除くけどね。。。)
待ち時間がないとは言わないけど、地域の基幹病院でこじんまりとまとまっていて、今の大学病院よりも雰囲気は随分落ち着いていた。
何より、自宅から徒歩10分というところがよかった。
ただ・・・、癌の治療のことで言えば専門医がおらず、更にカンファレンスという制度もなかった。
僕の初発の執刀医は途中で退職してしまったが、次の僕の主治医は単なる外科医だった。
いい先生で僕も大好きだったけど、何といっても知識の引き出しが少なく、外科の片手間・・・という印象が拭えなかった。

今、大学病院で受けているランマークやポートフラッシュ、フェマーラといった標準的な治療ならこの病院でも施してくれるが、増悪した時のその折々の判断にはどうしても不安を感じる。
(他の先生ならどういう治療を進めるだろうか)・・・と、いつもセカンドオピニオンを求めなくちゃいけない。
その点、今の教授先生は治療方針にブレがなく、そういう意味では不安に感じることはない。
男性乳がんの治療は僕が初めてだと言っていたが、標準治療が女性乳がんに準じるとガイドラインでうたっている以上、半ば実験的な扱いになることは仕方がない。
今のホルモン療法のフェマーラも、「男性乳がんにも効いたなぁ」って驚いていたくらいだったからね。
CT検査も1年に1度で、過剰に画像を求めることもない。
多分、最初の病院だったら3ヶ月に一度は、CTを撮らされていたのではないかと思う。

正直、大学病院のサービスがいいとは思えないが、それでも患者が殺到するのは専門医の多さと、「大学病院なら間違いない」と思うからなのであろうか。

余談が過ぎた・・・。

さて、CEAは、
(3月)8.6 ←今回
(2月)8.5
(1月)9.0
という結果だった。
ご存知のとおり、腫瘍マーカーのコンマ以下の変移は気にしなくてもいいほどの誤差だが、こうしてみるとまだフェマーラが頑張ってくれているようだ。
風邪薬よりも小さな錠剤なのに、癌のエサを無効化するなんてすんごい優等生だな。
その作用機序は・・・。

 

① 閉経によって女性ホルモンを産出しなくなる
② 男性ホルモンをアロマターゼが女性ホルモンに転化するようになる
③ 女性ホルモンを乳がんが食べて成長の糧にする

で、フェマーラはアロマターゼを無効化することで乳がんを兵糧攻めにすると理解している。
教授先生の「男性乳がんにも効いたなぁ」という驚きは、女性に比べると女性ホルモンの産出が少ない男性にも効果があった・・・というこの作用機序にあるのだろう。

僕は2014年の手術だから、この5月で術後4年目を迎える。
乳がんの5年相対生存率は33.0%(ステージⅣの場合/国立がんセンターのHPから)なので、これからは毎年正念場を迎えることになるなと、僕はそう考えている。
初発で縦隔リンパ節にまで転移しているのなら、決して顔つきのいい癌ではないだろう。
今はケモやホルモン療法の効果が薄らぐまで、じっと脊髄の裏あたりに隠れて大人しく見せかけている・・・、そんな気がしてならない。