カタコト カタコト
空の音が 頭の奥で跳ねていた
あなたのまなざしは 音のしない風
わたしは そっと呼吸を忘れて
うすあかりのまんなかで 立ち尽くした
パラパラ ひらひら
紙の海に 言葉が落ちていく
ふれたらこわれる境界を
わたしたちは何度もすれちがいながら
あえて踏まなかった 音のない線
チリン チリンと 遠くで
季節が鐘を鳴らしていた
あなたの笑い声が まだ耳にある
それなのに 指先には
冷たいガラスのような 寂しさだけ
ポツリ ポツリ
夢のなかで 名前をなくして
ただの誰かとして ただの誰かを見つめる
夜がそっと ふたりの間に
草の匂いを落としていく
ざわざわ ざわざわ
誰にも届かない場所に ふたりのことば
風がさらっていった 嘘のようなほんとう
歩き出す背中に さようならを投げて
誰も知らない物語に そっと蓋をする

