午後一のミーティング。今日は初めてリーダーを任された。お昼ご飯もそこそこに資料を持って会議室へ…テーブルへ資料を並べる手が震えてる事に気付いて

「私、そんなに緊張してるの?」

って独り言。 

「手の平に人って3回かいてあげましょうか?」

まさか返事が返ってくるなんて思わなくて、驚いて顔を上げたら、目の前に彼の顔…。
窓から差す陽の光が彼の瞳に反射してキラキラ輝いていて

「綺麗…」

ポツリと呟くと

 「Iさんって思ってること全部言っちゃいますよね笑」

 「…そっ…そんなことないよっ」 

彼のからかうような視線から逃げたくて、資料を握りしめ横をすり抜けようとした瞬間… 

「はい!差し入れです!」

目の前に差し出されたいちごミルク。
不意に手を取られ資料と引き換えにいちごミルクを渡されて… 

「リーダーは時間までどーんと構えていてください!あとは僕が準備しますから。Iさんのことだから、ご飯もしっかり食べれてないんじゃないですか?」

そう言いながら残りの資料を並べ終わり、プロジェクターの準備へ。たくさんあるコードを器用に繋げていく彼の大きな手を見つめていると…

「よだれ、出てますよ笑」 

「えっ」

口元を押さえる私を見て 

「ウソです!笑笑笑」 

「もう!からかうなんてひどいよ!」

背中を向け、恥ずかしさで熱くなった体を冷やそうと貰ったいちごミルクを飲む。 

「それ美味しいでしょう?僕のイチオシなんです!」 

返事をしようと顔をあげた反動で、今日のために気合を入れてアップにした横髪がほどける。

 「今日はアップにしてるんですね。でも、僕以外にIさんの綺麗なうなじ見られるのやだなぁ」

長い指でほどけた髪を耳に掛けてくれる彼の瞳が仄暗くて、 

「Kくん?」 

ざわつく心を抑えながら彼の名を呼ぶと、少し低い声で 

「今日は金曜日ですね。仕事が終わったら僕の家で今日のお疲れさま会をしましょう。もちろん、Iは来るだけでいいよ。俺が全部用意するから」

 唐突な呼び捨てと俺呼びで言葉を失っていると 

「かわいい。耳まで真っ赤。会議大丈夫?笑」

耳元に響く彼の甘い声に鼓動がどんどん速くなる。 鏡を見なくてもわかる。熱いし、絶対締まりのない顔してる。アップにしてた髪を下ろし、ついでにメガネをかける。あたふたしていたら彼が居なくなっていて… 

ガチャ 

扉の先に彼を見つけた私は思わず駆け寄り抱きつく。 

「どうしたんですか?俺が居なくなって寂しかった?」 

彼の優しい声に体の緊張がほどけると、頬に冷たい感触が。 

「これで冷やしてください。少しはいいと思いますよ。」 

大切なものに触れるようにそっと濡らしたハンカチを当ててくれる彼の優しさが嬉しくて目を閉じて噛みしめていると、

 チュッ 

「Iが目を閉じるのが悪いんだよ」

 「続きはまた…今夜ね」 

唇に残る感触にますます顔が熱くなる私。会議開始の時間まであと20分…