最近忙しくてゆっくり本を読むことができなかったのですが
とりあえず読めたのは・・・
東野奎吾氏の『人魚の眠る家』
非常に重いテーマでした。
愛娘の脳死判定と臓器移植問題に直面してしまった夫婦。
愛する娘の「死」を認めたくない母親の悲痛な執念・・・。
もちろん父親も家族もそれぞれ悲嘆にくれ、葛藤します。
読む前は東野作品なのでミステリーかなと思っていましたが
現代の社会(医療)問題をとても深く追求した作品でした。
(映画化されているのですね)
そして、葉室麟氏の『散り椿』
葉室氏作品らしい武士の典型・新兵衛と、その妻・篠。
武家物お決まりのお家騒動ものではありますが・・・
それが読者としては、定番の良さ、読む楽しみでありますね。
ちょいと登場人物の関係が複雑で、ウバは頭がゴチャゴチャに。
読んだ後に胸がきゅんと切なくもなり、同時にシャキッとしなきゃと、思えるお話でした。
(この作品も映画化されているのですね)
同じ葉室氏の歴史もの『緋の天空』
時代は一気に遡って天平時代の光明皇后の物語です。
昔、永井路子氏が書かれた『歴史をさわがせた女たち』や
『茜刺す』(持統天皇) 『美貌の女帝』(元正天皇)などを読んで奈良時代前後の女帝や皇后に興味を持つようになりました。
この光明皇后(光明子)は、藤原不比等の娘で安宿媛(あすかべひめ)と呼ばれ、首皇太子(のちの聖武天皇)の后になりました。
安倍内親王(のちの孝謙天皇・称徳天皇)の母でもあります。
物語冒頭は東大寺の大仏開眼供養の場面から始まりますが・・・
安宿媛10歳の時の平城京描写から、やがて首皇太子の后(当時は夫人と言ったそうですが)となり、娘・安倍内親王が夫・聖武天皇の皇太子、そして孝謙天皇になるまでの凄まじい政争の渦の中で、光明子が愛を貫きながら懸命に生き抜いていく過程が描かれていきます。
葉室氏の歴史物はよく史料を調べられているので、読みごたえがあり、私は好きです。