※注意⚠️

(相当のカメラオタクでないと意味不明の単語、ヘンテコ思考回路があるかも)


 写真レンズは、例えてみれば料理人にとっての鍋や包丁みたいなものだ。

どんなにいい鍋を持っていても、誰もが美味い料理を作れる訳ではない。

だけど、欲しくなっちゃうんだよね。


そして欲しくなる理由は、人それぞれだ。


darlot paris   petzval type


このレンズはフランス・ダルロー・パリのペッツバールタイプレンズ。

 1950年代のものだから約170年くらい前、日本の幕末期、ペリー来航頃のレンズだ。

スペックは234ミリくらい 口径f3.5くらい。

(petzvalとは発明者の名前がそのままレンズ構成名になった。歴史的価値は、世界で初めて光学計算されて設計された撮影用レンズ。肖像撮影用に撮影時間を短縮するため画期的に明るく作られた。最初はフォクトレンデルが造ったが、何故か決裂し、すぐに色々なレンズメーカーが作りだした。)

ペッツバールレンズは欧州、米国などの色んなメーカーが沢山造ったから探せば結構ある。

撮影用に長い間、大事に使われたものは高価で手が出ないし、骨董品屋などにあるものは、ピンキリで酷いものは使い物にならない。

 簡単な構造だからレンズの中身がなかったり、ガラスのセットが組み替えられていたり。


わざわざフランスのダルロー製を買ったのには訳がある。



ワタシの大好きな、

19世紀の写真家 Nadal  ナダール 

が使っていたレンズという事をどこかで読んで探し求め見つからず、諦めていたころ全くの偶然手に入れた。

 だから思い入れタップリのレンズなのだ。


「Nadalが170年前に使っていたから」


ゴッホが使ってた油絵の具、あのイエローがどうしても欲しい!みたいな。

いかにも「ミーハー」(ってのはもう死語w)


そう!ナダール❗️だ。

ナダールのスタジオポートレート写真。


あんな写真が撮ってみたい。

いつもそう思いながらポートレートを撮っている。



けれども


 今ここは19世紀末ベルエポック時代のParisではないからあんなモデル達はいない。

 感材も当時のオルソ感色の湿板ではない、現代の高性能パンクロフィルムで撮るのだから、同じ様な写真にはならない。

 だから当然気分だけ

なんちゃってナダールであるw


 真摯な思いを描いて、湿板や鶏卵紙、果てはダゲレオタイプに突入するご苦労な方もいるが、

ワタシは気分だけで10馬力アップ、楽しめる。



ではダルローの1850年代のこのpetzvalレンズ。

今の科学的レンズ評価軸でみてしまえば随分とオソマツ君だろう。


「ペッツバール構成は画角が狭いけれど中心部はシャープで、人像用に向いてる。現代でも天体望遠鏡に使われている」

というwiki的常識解説を信じ過度に期待するとガッカリする。


ワタシも思い入れタップリだから最初出来上がりを見て輪をかけて落胆した。

ぼーっとしてるのだ。


シャープだという中心部画質は今感覚のシャープ感はまるでない。周辺よりかなりましくらいだ。なんだよー!


しかし、そこだけ見ていたのでは全然ダメなの。

プリント全体を生で感じないとダメ。


この時代、写真は引き伸ばさなかったのだ。


だからデジタルカメラに取り付けて、イメージサークルの中心部だけを使って撮っても全くの無意味である。最近流行りのデジカメオールドレンズグルメ遊びでは分からない。


大判カメラのフォーマットで撮ってこそである。

他に代えられないモノだ。


引き伸ばさない原寸プリントが時間をかけて出来上がってくると

「おお!」と大感動する。\(^^)/



ことも稀にはある(T . T)


それはほら鍋の使い方がいまだ習得出来てないせいであるに違いない。


道は遠く先は長いなぁ。




※ちなみに

コレはpetzvalレンズを最初に造ったフォクトレンダーが、その60年後の1910年に造った、言わば家元製造のポートレート用petzvalレンズである。

 20世紀に入ってからは、レンズ進化はラピッドレクチリニアをとうに過ぎ、もうアナスティグマートの時代で、フォクトレンダーには超有名なヘリアーも既にある。

 この時期に時代遅れのpetzvalをまだ造っていたその意味は?


長くなりそうなので、そのうちにまた書こうと思うけど、このレンズ素晴らしくわかりやすく良く写ります。


それがワタシの好みなのかはまた別ですがw