「この手に描けぬものなし」

何年か前の「河鍋暁斎展」のキャッチコピーだ。

カッコイイなぁ。
叶うなら一度、言ってみたいw

大好きな暁斎のことはとりあえず置く

(その場で差し上げる人物画)をやっていて、「どんな風に描かれたい?」と聞くと、たいていは「自分を描いてもらうのは初めてなので…?」となることが多いかな。

 まぁ漠然と、可愛くとかキレイにとか。

一方で、もちろんハッキリと言う方もいる。


 だいぶ前のことだが、特殊な例。
その若い彼女は言った。

「ゾンビの様に描いて欲しい!」
え!?

冗談かと思ったら、どうも本気らしい。

(なぜ?)

「好きだから…」と

病んでる訳でもなさそうだが無口、

沈黙…。


さて、困った。
ワタシはホラー映画が大嫌いで、ゾンビなんて気色悪いものとても無理〜。


でも描きましたよ精一杯、ゾンビ女を💧

楽しくはなかったが、集中してたな。


ただ出来た絵には、敗北感。


暁斎なら嬉々として応じただろう。

席画と呼ばれる即興画は彼の得意だったらしい。


背筋が寒くなる様な幽霊画

滑稽な貧乏神と懲った装丁の掛け軸

引き出しの多彩さに憧れる。


何年かたった今だったら、もっと余裕を持って女ゾンビ画を描ける気がしないでもないけど

やっぱり気色悪い絵を描くのはイヤ!


↑F8アクリル構想下絵

仮題「眠りの淵に落ちてしまえば楽になるのに」


 その日モデルさんは遅刻してきたが酒くさい。ポーズ中、眠気を必死にこらえて辛そうで、時折舟を漕ぎ何度も眠りに落ちそう。明らかに二日酔いであった。(プロ意識に欠けるけど、まぁ人間だから色々あるわなぁ。と私は面白半分)

 さて幸い。これに少し愛嬌のある妖怪達を加えて「作品」にしようかと思ったけど、妖怪達も構図も煮詰まりませんでした💧

 いつかモノにしてやるw