ただでさえ介護で忙しいみなさんにとって、睡眠中の呼吸の状態で疲れのとれ方が変わるとしたらどうでしょう? イビキをかいていると呼吸量が減るので、熟睡感が得にくくなります。
イビキは空気の通り道(気道)が狭くなることで起こります。太りぎみの人はこの気道にも脂肪がたっぷりついて狭くなっているため、イビキをかきやすくなります。また、お酒を飲んでのどの筋肉がゆるんだり、加齢によってのどの筋力が弱くなっても、イビキをかきやすくなります。
軽いイビキの場合は、枕の高さを合わせることで軽くなる場合があります。立っているときのような状態を保てる枕を選びましょう。体に合った枕は、思いのほか低いものです。
枕を替えても改善しなければ、「横向き寝」や「うつぶせ寝」がおすすめです。あお向けに寝ると重力で舌がのどの奥に下がり、気道が狭くなりやすいからです。
横向き寝をするには「抱き枕」や、あお向けにならないように背中に枕をくくりつける「背枕」が効果的です。リュックに衣類を詰めて背負って眠れば、背枕になります。見た目は悪いですが、しっかり眠ることの方が重要です。
太りぎみの人は、お腹が大きくなった妊婦さんに推奨されている「シムスの姿勢」で寝てみてください。半うつぶせ寝になるので、イビキをかきにくくなります。上側になる腕や足の下にクッションを置くと、リラックスして眠れます。
注意が必要なのは、「ガー、ガー」とひどいイビキをかいていたのに、突然止まり、しばらくしてイビキが再開する場合です。イビキが止まっている間は呼吸が止まっていますので、十分な酸素が脳に行かず、眠りの質が大幅に低下します。
この無呼吸が寝ている間に何度も起こるのが「睡眠時無呼吸症候群」で、睡眠時間は足りているのに、日中、強い眠気におそわれます。さらに、高血圧や糖尿病、心臓病、脳卒中などのリスクを高めることがわかっています。
睡眠時無呼吸症候群は、太っている人だけでなく、あごが小さい人や、閉経後の女性にも多い病気です。女性ホルモンのプロゲステロンが減ると、筋肉のハリがなくなってきて、気道が狭くなるからです。
イビキがひどく、時々止まるような症状がある人は、専門医を受診するか、かかりつけ医に相談し、早めに適切な治療を始めましょう。
(快眠セラピスト/三橋美穂)
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