「ドラゴンクエスト」のレベルアップのように、ファンファーレが鳴り響いて「体力」や「知力」がピコピコと上がっていけば、それなりの実感もあったのかもしれないけれど、もちろんそんなハズもなく、2007年3月11日、僕は、ただ、漫然と、なんとなく、30歳になった。
30年前、僕は生まれた。僕は、30年間生きてきた。
当然、30歳の誕生日には、なにかしらの「手ごたえ」や、自分が成長した「証」のようなものを感じるんじゃなかろうか…と、20代の最初の頃は思っていた。
けれど、僕はなんの「手ごたえ」も「証」も感じることはなかった。デジタル時計が正確に時間を刻むように、ただ僕の年齢が一つ増えただけだった。
案外、30歳の誕生日なんて、そんなモノなのかもしれない。
その日は宿のみんなが、ささやかな誕生日パーティを開いていくれた。
野宿をしながら30歳を迎える可能性も、かなり高かったので(それはそれで良いと思うけど…)、僕の誕生日を誰かが祝ってくれている、ただそれだけで、すごく嬉しかった。
30代をどんな10年にしようか、なんてことを考えてはみたけれど、ハッキリとした目標は思い浮かばなかった。10年なんて時間が僕にとっては長すぎて、その間に何ができるのか上手く想像できないのだ。
とりあえず、南米の南の先っぽにたどり着くまでの旅の月日を、精一杯自分自身の心に刻み付けたい、と思った。
そんなカンジの三十路宣言。



