メキシコの内陸を東へ走り始めてから、乾季のくせにやたらと雨が降った。雨は大嫌いだけど雨上がりの空はすげー好き。空気が透明になる感じ。そして神々しい日光。いつも思うけど太陽はホントにありがたい。手を合わせて拝みたくなる。
ウマで牛を追う少年。背中が凛々しい。仕事をしてる子供たちは社会的な役割をもっているからなのか、日本の同年代の子供たちとくらべてると大人びて見える。それが良いことなのか悪いことなのかは分からねども。
田舎は野宿する場所に困らないのがいい。この日は雨が降りそうだったので、広葉樹の大木の下にテントを張る。実はこのテント、アメリカで強風に飛ばされ、そのはずみでフライシートに傷が入ってしまい、簡単な修理はしたのだけれど、強い雨が降ると雨漏りするのだ。ちなみにグランドシートには、これまたアメリカのザイオン国立公園でリスに開けられた大穴を修理した跡もあったりする。もう、ボロボロである。。。
自転車で小さな町を通り過ぎようとすると、お祭りのようなものをやっていた。どうやら結婚式かなにかがあったらしい。
曇気味の空の下で宴会が開かれていた。巨大なスピーカーから生バンドの奏でる音楽が衝撃波のように吐き出され、人々はその音楽、というか爆音に合わせて楽しそうにステップを踏んでいる。
村のおじさんと話しているうちに、"まあメシでも食ってけやぁ"ということになる。断る理由はどこにもない。ありがたく食事を頂く。ソースでとろとろになるまで煮込んだ鶏肉と、トルティージャ、とうもろこしの粉をバナナの葉っぱで包んで蒸したもの(具はなし)、そしてロンググレインのお米。この2皿を食べ終えて、「まだ食うか?」と聞かれたので、ありがたくもう2皿いただく。サイクリストの体は胃袋そのものなのだ。
ついでにビールまで頂くっ!!。五臓六腑に染み渡るっ。酔払ったおじさんたちがビールやテキーラを片手に、荷物を満載にした自転車でやってきたおかしな格好の東洋人を、入れ代わり立ち代わり見に来る。"まあとりあえず飲めや"と言うことらしい。でも、お酒を飲むと乳酸が一気に足にたまるので、泣く泣く控えめにする。この日はまだまだ走るつもりだった。
食事とビールを平らげ、出発しようとすると、おばちゃんが巨大なパンをくれた。"がんばりなよ"、"よい旅を"と言ってくれた。うーん、ありがたい限りだ。
メキシコの人々の優しさを胃袋と心で感じた日だった。