今、日本で生活していてムショウにキャンプ生活にもどりたい、と思う。キャンプ生活が長引いているときは屋根のある生活を必死で求めていたのに。
ふかふかのしろつめ草の上にテントを張った日、なんてのは最高だった。近くに小さなクリークが流れていればさらによい。水の心配をしなくていいから。そんな時は食料の続く限り無駄に停滞してしまう。
何度も読んだハズの文庫本の物語がスルスルと頭の中に流れ込む。テントの入り口から凛とした風が入り込む。湿った森と生乾きのテントの匂いがする。テントの壁をヨタヨタと登っていた小さな昆虫が途中でコロリと落ちる。遠くで獣や鳥の鳴き声が聞こえる。体臭のしみこんだシュラフが体の一部のように心地よい。ウトウトとまどろんで深い夢を見る。自然と生活を隔てるものは薄いナイロンだけ。みたいな。
ないものねだりってのはわかってるけど、今、また、キャンプ生活にもどりたい。マジで。