プリンスジョージから国道16号を西に走り、376km先のカナディアンロッキーの町、ジャスパー (Jasper)を目指す。だけど、どうも雲行きが悪い。
西に進むと雲を背負って走るようなものなので、一旦天候が崩れるとずっと悪い天気のままなのだ。カナダの9月の雨は身を切るように冷たく、カナディアンロッキーを目前にした興奮も打ち砕かれてしまうぐらいだった。
だけど、ホコリの塊のような黒くて分厚い雲を突き破って太陽の光が顔を出す時、それはあまりにも美しく、時に神々しくもあり、雨で冷え切った体温が2,3℃上がってしまうぐらいに感動してしまう。
太陽を神様とする土着の宗教がなぜ世界中に多いのか、アタマではなくココロで理解することが出来る。思わず太陽に手を合わせて拝みたくなってくる。近代化された快適な暮らしの中で、僕達は太陽を含む全ての自然に対して感謝しなければならないことを、そしてそれはアタマではなくココロでするべきだってことを忘れかけているのだと思う。
車やバスで旅をしていたらこんなことで感動するなんてことは絶対になかっただろう。自転車で旅していてホントによかったと思う。
しばらくすると、雨で冷え切ったアスファルトが太陽に温められてモクモクと湯気を上げるはじめる。草木も空も大地も、自分を取り囲む全てが喜んでいるように見える。アスファルトが乾く独特の匂いが、むせ返るぐらい辺りに立ち込める。
ほんの数分前まで荷物を全部放り出して旅を終えてしまいたい、なんて思っていたことが信じられなくなる。
僕はこの匂いが死ぬほど好きだ。

