男気のある文章が好きで昔から野田さんの本のファンだったのですが、
最近は日本の川の愚痴が多くなってしまって読んでも楽しくないので、
あまり読まなくなってしまっていました。
ちなみに野田知佑さんは日本を代表するカヌーイストで、
昔チキンラーメンの宣伝でズルズルとラーメンをすすっていた人です。
「BE-PAL」などのアウトドア系雑誌に連載を書いていたこともあるので、
ご存知の方も多いのではないでしょうか?
古本屋さんの文庫本100円セールでたまたま野田さんの本を見つけたので、
『カヌー犬・ガク』『北極海へ』『南へ 新・放浪記2』の三冊を買って、
まずは『カヌー犬・ガク』から読み始めました。
「ガク」という名前は椎名誠さんの息子の「岳」からもらったものです。
どちらのガクも手足が太くて大食漢なのでそっくりだそうです。
犬のガクが鯉用の釣り針入りだんごを飲み込んで緊急手術をしたときに、
カメラマンの佐藤秀明さんが人のガクと間違えてしまうエピソードは
かなり笑えます。人のガクならありえる…と思ったらしい。
この本はおそらく日本ではじめての「カヌー犬」ガクの誕生から、
年老いて死ぬまでの数々のエピソードを再編集したもので、
普通の人間以上に濃密なガクの人生を垣間見ることができます。
ガクが死ぬ場面は胸が締め付けられました。
野田さんはガクが死んだら土に埋めるのではなくて、
ガクの毛皮を剥いで腰巻にするんだと前々から言っていました。
色々な愛情の表現方法があるなかで死者の一部を身に着ける
という行為は最大級のものではないでしょうか?
ガクが鹿児島の動物病院で死んだ日、野田さんはガクの毛皮を剥ぐために
段ボール箱に入れたガクの遺体を専門業者のところに淡々と持っていきます。
(本当は自分で毛皮を剥ごうと思っていたそうです…)
野田さんのガクに対する愛情の深さとガクの死を受け入れる実直さに
やっぱりこの人はスゴイわぁ…と思ったりしました。
ガクはとても幸せだったと思います。
犬の飼い主かくあるべし。
サクサク読めるとてもよい本でした。

著者: 野田 知佑
タイトル: カヌー犬・ガク