◇ 代表メッセージ ◇
■□ いじめには加害者がいるんだ □■

各地で梅雨明け宣言がなされています。ここ関東地方でもまもなくのことだと思います。

さて、先週、先々週と続けて2校の小学校に行ってきました。
ただ、講演ではなくいじめ被害者の保護者に同行しての学校訪問です。

2件共に解決に向かいましたが、キーマンとなったのは「教育委員会」でした。

そのうちの1件は、いじめ相談員をしてくださっている方のところへの相談メールでした。
小学生男子のいじめです。
体の大きな男子からいじめを受けて、不登校になっているというものです。
もともとは仲が良かったのですが、
ある日の被害者の子のテストの点がよかったことがきっかけに
いじめられるようになってしまったというのです。

しかし、問題はここからです。
本人から担任に訴え、さらに母親からも担任に相談すると、
「その子に悪気はないから」
「じゃれ合っているようなものですよ」

それだけではありません。
母親は管理職に相談しようとしたのですが、教頭からは面談を断られ、替りに、
児童支援コーディネーターを紹介されました。
「話を聞く気はない」という意思表示に見えます。

やや期待はしてたのですが、コーディネーターはとんでもない方だったのです。
家庭の責任、子育ての責任を言い立ててきたというのです。
曰く、
「親が笑っていれば、子供はすぐに元気になるものですよ」
「(子育てにおいて)理想と現実のギャップがあるのではないですか」
「ご家庭の中に悩みがおありではないでしょうか」

こんな言動を繰り返すばかりで、肝心のいじめについては、
担任もコーディネーターも全く対処しようとしないのです。
「馬鹿なことを言ってんじゃないよ」と言いたくなります。

このメルマガで何度も言ってますが、
「いじめには加害者がいる。
加害者を止めない限り、いじめは止まらない」。
この当たり前のことを認識していない教員にあたってしまったのです。

こんな状態の中で、お母さんは校長との面談のアポをとりました。
いじめについて相談したいと言っても拒否されるだろうからと、
「息子の不登校について、どのようにしたら学校に復帰できるかご相談したい」
という体裁で面談の約束をされたのです。
悔しかったことだと思います。
校長先生とお電話をしていて、お母さんが気付いたことは、
「校長先生は、うちの子がいじめられていることを全く知らないんだ」ということだったのです。
担任からも教頭からも報告が上がっていないという「隠蔽体質」に染まった学校だとこの時知ったのです。

私たちは、このまま面談してもいじめがスルーされることを懸念しました。
また、第三者である私たちの同席も拒否されるだろうと予測されましたので、
教育委員会に電話を入れることにしました。
ちなみにお母さんからは、教育委員会への相談は検討はしたけれどまだしていないとのこと。

教育委員会においてこの小学校を担当している指導主事の先生を電話口まで呼んでいただき、
「このお母さんからご相談をいただいたのですが、少し確認させていただきたいのですが」
といじめに対しての姿勢について、まずお話を伺いました。
「お子さんが心身に異常を訴えている状態では、重大事態に近いのではないでしょうか」
「いじめについて加害者を指導しない、叱らないという指導方法を
教育委員会は教師に勧めているのでしょうか」等々、
「いじめ防止対策推進法」やいじめの対処方法について確認をしながら、
「実は、このようなご相談をいただいておりまして、明日、面談の予定ですが、
お母さんから同行の依頼を受けているのですが、伺ってもよろしいでしょうか」
と教育委員会に申し入れをいたしました。

学校には、当日の朝、再度お母さんから
「いじめから子供を守ろうネットワークの人に付き添いをお願いしたのですが、
大丈夫ですか」と確認を入れていただいて同行の運びとなりました
お母さんからの報告によりますと、
「了解はいただいたのですが、学校は大慌てしているような雰囲気でした。
教育委員会に電話をいれていただいたのが良かったように思います」とのこと。

当日は、すぐに校長室に案内され
担任、児童支援コーディネーターも同席の上で面談が始まりました
私たち被害者側から学校に伝えたことは
・「いじめには加害者がいる。加害者のいないいじめは絶対に起きない」、
この当たり前のことを認識していますか。
・加害者がいじめをやめようと思わなければいじめは止まらない。
ですから、加害者に自覚を促し、指導していただきたい。
・加害者は叱られていないから、いじめを繰り返す。加害者の保護者にも連絡し、
家庭ぐるみで、いじめすることは悪いことだと教える環境を整えていただきたい。
・その上で加害者から被害者に対してしっかりと謝罪させて欲しい
・ただし、「話し合い」をして加害者の言い訳を正当化させるような機会を設けないこと。
・本人が相談しても放置されたわけですから、本人が登校できるようになるには、
「いじめられない」という確信と、「先生が守ってくれる」という安心感が必要。
ですから、担任からも「絶対に守る」という決意と、本人への謝罪をしていただきたい。
・「家庭の問題」だとか言い出すのは論外の対応であり、責務を果たすことを避けないで欲しい。
・また校長がいじめが起きていることを知らなかったのは、
組織としての風通しが悪いことを意味している。
その場合、一つは校長が「悪い情報」を嫌っていると知り、教員が遠慮している、あるいは、
担当教員が自己保身のためにそうしているという場合が多い。
校長先生には、組織風土を変える決意をお願いしたい。

これに対して、校長先生は
「全くおっしゃるとおりです。全ては私の責任です。
必ず学校に来ていただけるように、私からも息子さんに謝罪させていただきます」
と話してくれました。

話をしてみると校長先生の考え方はごくごく真っ当な方で、
いじめの対処方法についても、しっかりとした認識を持っておられるように感じました。
ただ、外部から人が来ていたり、
教育委員会から指導が入ったことが影響していると思われるので、
もしかしたら取り繕っていただけなのかもしれませんが。

その翌日には、加害者のお子さんと保護者の方からの謝罪がありました。
また、担任、教頭、校長先生がそれぞれ息子さんにあやまってくれたとのことです。
息子さんは安心した様子でしたが、その次の日は疲れ切って寝ていたとのことです。
「現在はまだ保健室登校ですが、休み時間には友達と遊んでいる」という報告をいただいております。

まもなく夏休みに入ります。
コロナ禍の中でオリンピック・パラリンピックもテレビでの観戦となりましたし、
出かける機会も減っておりますが、
その中でも子どもたちの心が元気になるような夏休みをつくってあげていただきたいと思います。
子どもたち同志が直接に会う機会は減るのですが、
インターネット、SNSのトラブルは気にかかるところです。
何か気になるようなことがありましたら、早めにご相談いただければ幸いです。


一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワー
代表 井澤一明

◇ 代表メッセージ ◇
■□ 保護者もGIGAスクール対応を □■

6月にはいりました。
沖縄は梅雨明けが早まりそうですが、こちらではまだ梅雨入りしていない状況です。
緊急事態宣言がでている都道府県もかなりある状況の中で、
私たちの所に入ってくるいじめの相談は例年よりは少なく感じています。

先日、東京の小学校で、高学年の子供たちに向けて、いじめについて話す機会をいただきました。
新型コロナの対策のため、大きな体育館の中をいっぱいに使って、
密にならないように座っている子供たちの姿。
学校に通えていることが本当に素晴らしいことなんだと感じます。

この学校では、校長先生自らが、しっかりといじめや不登校の子を名前ベースで把握していましたし、
人数も全国平均をはるかに下回っていました。

その校長先生が心配していたのは、中学生になった後のことでした
「幸いにして、この学校ではいじめも少ないのですし、
まじめで先生の言うことをよく聞く子たちが育っているのですが、
中学では人数も増えますし、他の小学校からも集まってきます。
スマホデビューする子も多いので、いじめやトラブルも起きると思うんですよ。
そこを乗り越えられるかと心配になってしまいます」

その心配もわかります。
昨今のニュースでは、中学生がスマホを介してトラブルに見舞われているケースが跡をたちません。
小学生、中学生は、まだまだ素直ですので、だまされやすいとも言えます。

GIGAスクールについてこのようなニュースがありました。
名古屋市で、
小中学生に配布したタブレットを一時使用中止にするという内容です。

東海テレビによりますと、
使用を中止する理由は、「操作履歴が記録され、個人情報保護の問題がある」というものだそうです。
市議会の議員から「児童や生徒に目的を明らかにしないまま操作履歴が記録されるため、
市の個人情報保護条例に違反する」との指摘を受けたためというのです。

ただ、本来、授業に用いるタブレットであり、個人の所有ではありませんので、
個人情報を理由にするだけの根拠にはならないと思います。
間違った操作や、授業を理解しているかどうかを把握するためには
操作記録は大きな役割を担うことになります。
また、授業という本来の目的を忘れて、
YouTube やTicTok にはまってしまったり、
LINE や Twitter などのコミュニケーションツールで
問題が起きたりするなどの危ない使い方になっていないかということも
操作履歴から確認することもできるでしょう。
親側から見れば、LINEやTwitterの内容までもとっておいてもらいたいくらいです。

学校ではノートや生活の記録など教師に提出して、ハンコやコメントが添えられて、手元に戻ってきます。
連絡帳にコメントを書くことは先生としての大切な仕事です。
このノートや連絡帳がタブレットになっただけのことであり、
「個人情報」などと目くじらを立てるほどのことではないように思うのですが。
世の中は、本当に良くなっているのか、進んでいるのか、やや疑問に思います。

「転ばぬ先の杖」とも言いますし、
まだまだ未熟な子供たちを守るための手段の一つとして必要なことだと思います。
タブレットの貸与をするにあたり、同意書や注意書きなどの記述もあることだと思いますので
その中に文章を追加しておけばよいだけだと思うのです。
子供たちを守る方向で、しっかりと検討し、早急に対策をしてほしいものです。

いずれにしても一人一台端末が配布されるGIGAスクールは、始まってからまだ2ヶ月が過ぎたばかり。
考えてもみなかった問題点や、長所もこれから出てくると考えておくべきだと思います。
子供たちの未来に本当に役に立つのか、
あるいは子供たちの成長に貢献できるシステムにするにはどうすれば良いのか
全国の先生方の実践事例がたまってきてから、
真価が問われることとなると思います。
保護者としては、子供たちが何をやっているのかを理解したいと思う方は多いだろうと思います。
ですから、欲張りすぎかもしれませんが、
できればタブレットの使い方やアプリについても、アドバイスできるような知識を持っていただけたらと思います。

先ほど、いじめ相談が例年より少ないと述べました。
しかし、相談がゼロというわけでも、いじめがなくなったということでもありません。
例年ですと、いじめが多くなる季節ですので、
子供たちの言葉や行動を優しく見守っていただきたいと思います。


一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

◇ 代表メッセージ ◇
■□ 教師の責任を問わない日本の闇 □■

今年のゴールデンウィークは、コロナ自粛の環境の中、自宅の近くで過ごされたご家族も多かったことと思います。
子供たちも4月から新学年になり、慣れない環境の中で過ごしてきて、
五月連休で気分転換できたのではないでしょうか。
オリエンテーションの期間が終わり、学校の授業も本格化してまいります。

ただ、連休中に残念な事件が起きてしまいました。
5月6日、兵庫県丹波市の林道で女子中学生の遺体が発見されたというものです。
亡くなっていたのは、捜索願が出ていた中2の女子生徒で、
警察は、通報者の23歳の男を死体遺棄容疑で逮捕しています。
「SNSで知り合い、2人で自殺しようと車の中で練炭をたいたが、死にきれなかった」
と供述しているといいます。

「今年度は、一人一台、タブレットなどの端末が配布されるGIGAスクール元年なります」と、
4月のメルマガ「入学式の春 GIGAスクールが始まる」でお伝えしましたが、
このような事件に接すると、GIGAスクールの運用や生徒指導の困難さが迫ってきているように感じます。
小学低学年からスマホを所有し、学校へのスマホの持込みも認められ、GIGAスクールが始まるという環境の下で、
いかに「危ない大人たちからの誘いを断ち切るか」ということが大きな課題になります。
したがって、ネットやSNSの情報リテラシー教育は、保護者が積極的に関わる必要があると考えています。

他にも、スマホやネットの危険性を考えなければならない大きな事件が起きています。
先週のメルマガ「職責と愛情」の中で、清川先生がとりあげていらっしゃった「旭川市のいじめ自殺事件」です。

事件を取り上げた文春オンライン(https://bunshun.jp/articles/-/44765)には、
母親の「イジメと懸命に闘った現実を多くの人たちに知ってほしい」という言葉が掲載されています。
本当にやりきれない事件です。
いじめというよりも明確な「犯罪」です。
文春が取り上げなければ、全国的に知られることもなく「隠蔽」の闇に押し流されていたと考えられます。

先週、今週とこの事件に関連したテレビ局から取材が2件ほど入りましたし、
再掲になりますが、被害者と加害者グループが「スマホゲーム」を通してつながり、
エスカレートしていった事件と言えますので、改めて取り上げたいと思います。
ここに日本の教育の「闇」が顔をのぞかせいるようにも思います。

文春オンラインを中心に、地元誌「月刊メディアあさひかわ」の記事から、
時系列で事件の経過を下記に示します。

------------
2019年4月 A中学入学。加害者の一人の中3女子と知り合う。その後、中3男女グループからのいじめが始まる。
2019年5月初め 母親に「ママ、死にたい……」
2019年4月~6月 母親が担任に4月に1回、5月に2回、6月に1回いじめ相談。とりあってもらえず。
2019年6月3日 B中学の男子生徒が「裸の動画送って 写真でもいい」等と強要。その後画像がLINEで拡散。
2019年6月15日 加害者グループと近くにいた小学生らに囲まれ多目的トイレで自慰を強要される。
2019年6月22日 10人以上にいじめを受け、目の前で川へ飛び込む自殺未遂。これにより警察が捜査。
この後、長期入院、PTSD。

日付不明
加害者の一人を触法少年として厳重注意処分、他の生徒は証拠不十分で厳重注意処分。
学校は母親に「わいせつ画像の拡散は、校内で起きたことではないので学校としては責任は負えない」、
「加害生徒にも未来がある」と告げた。
日付不明 
教頭は、「写真を撮らせてください。すべて調査します」と自身の携帯でわいせつ画像などすべて撮影。
その後、「いじめは無い」と連絡。

地元メディアによると、「校長」は警察からの画像削除要請を無視
加害者、被害者双方からの謝罪の場の要求も無視し、
家族や教育委員会に対し「いじめの事実はなかった」「男子生徒らのいたずらが過ぎただけ」と弁明。
市教委からの対応要請も放置し続けた。
警察の捜査後、加害者の所有していた画像は、いったんは削除されたが、その後復元され再拡散。

三ヶ月後、
2019年8月29日 B中学校での「謝罪の会」。「私たちは見ていただけ」と。
2019年9月 引っ越し、転校。PTSDで転校先に通うことも出来ず。
2019年9月11日 A中学校での「謝罪の会」。加害者に反省の色なし。
復元された画像の拡散が続く。
2019年9月 地元情報誌に事件が掲載。

2021年2月13日 失踪。
2021年3月23日 遺体で発見
2021年4月15日 文春オンラインが掲載。
2021年4月22日 市長がいじめ調査を指示。
2021年4月26日 国会の決算委員会にて質問、文科大臣答弁
2021年4月27日 市教育委員会が「重大事態」に当たると認定、第三者委員会による調査することを発表。
------------

この時系列を読まれて気分を害された方もいらっしゃると思います
申し訳ございません。しかし、ひどすぎる内容なのです。
「写真なんか送らずに、つきあうのをやめて逃げればよかったのに」というご意見もあろうかとは思いますが、
いじめにより、短期間のうちに、洗脳状態に追い込まれ、
逃げ出すことができないところまで来ていたと考えるべきだと思います。
ここまで来てしまっていたら大人でも自力で離脱することはそう簡単にはできません。

母親からの相談に対して、「学校」が真摯に取り組めば、
このような悲惨な結果ならずに解決することはできたはずです。
学校の姿勢を問うべき事件です。

いじめを放置された結果、自殺未遂事件が起き、警察が捜査に乗り出したにも関わらず、
学校は「いじめではない」との姿勢を貫くなど、あり得ない判断をしています。
この強権ともいえる校長の姿勢ですが、
一つの要因として当時の校長が定年を目前に控えていたということがあげられます。
さらに、推測ですが、市教委はこの校長を指導する力が持たなかったのでないかということも考えられます。
教育委員会の担当者よりも高い地位や役職を経験していた場合などに起きうる逆転現象です。
しかも、関わった教師の責任が全く問われていないのです。
ここにも「隠蔽の構造」、つまり日本の教育界の闇の部分が隠されているのではないかと思います。

上記の経過にあるように、2019年夏には、学校側は最終的に、母親に対して
「わいせつ画像の拡散は、校内で起きたことではないので、当校としてはイジメとは認識していない」
「加害生徒にも未来がある」などと答え、いじめを否定したとのこと。
しかし、いじめではないというなら、何だと言うのでしょうか。
一般的には「犯罪」です。
しかも「いじめ防止対策推進法」の第三条は、
「いじめの防止等のための対策は、いじめが全ての児童等に関係する問題であることに鑑み、
児童等が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、
学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行われなければならない。」と、
定めています。
このように、明確に「学校の内外は問わず」と明記されています。
「学校の外で起きたこと」と言えば反論できないだろうという考えが見え透いています。
そもそも「いじめ防止対策推進法」、そのものを読んだこともないのかもしれません。

2017年2月に「那覇市でいじめ認知件数が13倍」という報道がなされたことがあります。
この前後から、公立の学校においては、教師、教育関係者が持っていた旧い常識である、
「いじめは隠蔽し、いじめゼロを維持する」という考え方が否定されるようになり、
「隠蔽という考えは古い。いじめは、いつでも、どの学校でも、どの子にも起きる可能性がある。
いじめはしっかりと対処する」という考え方が教師の常識になりました。
私たちの相談でも、学校に連絡すると解決してもらえる、という事案が大半をしめるようになっています。

しかし、この旭川市はいまだに、
「いじめ隠蔽は当然のこと。教師の正しい行動だ」
という認識が通用しているようです。
何が正しくて、何が間違っているのかという善悪の判断を誤っている地域が日本の中に未だ存在し、
それを恥じない校長、教師が存在すること自体に、力不足、さらには悔しさを感じています。

「教師が隠蔽しても、罰せられない」ことが背景にあり、これが大きな問題なんだということです。
「罰せられない」から、「隠蔽する」、しかも教師の逃げに対して、教育委員会も同調する。
マスコミに出て初めて問題視される。
日本の教育界における信念、モラル、そして何よりも「善悪を判断すること」、
これらの大事なことが「闇」に浸食されて、腐ってしまっているとしか思えません。
「教育界の闇」は教師の側にあると言えます。

この「闇」を払拭するためには、「逃げ場」を封鎖することです。
「いじめ防止対策推進法」に、隠蔽する教師への処罰を明確化すべきです。
そこに時間がかかるのであれば、
まずは、各自治体の教育委員会において「教師の懲戒処分規定」に明文化するべきです。
いくつかの自治体においては明文化されておりますが、明文化していないところがほとんどです。
あるいは「大阪市いじめ対策基本方針」は、
「本市職員による隠蔽行為に対しては、非違行為として厳正に対処するものとする」と述べておりますが、
このように宣言することも一つの方法です。
もし、このメルマガをお読みの方の中に、政治家の方がいらっしゃいましたら、
どうかご自身の地元において
「隠蔽する教師は処分する」ということを実現していただけると、
多くの子供たちが助かるはずだと思います。
何とぞ、お力をお貸しいただければ幸いです。

例年ですと、この連休明けから、いじめの相談が増えてまいります
学校に慣れ、学友に慣れてきてたために、遠慮が消え、
思ったことをそのまま口にしてしまったり、乱暴な行動に走ったりと「いじめ」につながりやすくなる時機です。
さらに今年からはネットや、SNSが絡んだいじめが多くなりそうです。
お子さんに「おやっ」と感じたら、保護者の皆様は、お子さんのお話を聞いてあげていただきたいと思います。
話すだけでも心は軽くなりますし、「守ってもらえるんだ」という安心感をもたらします。

ただ、いじめには加害者がいます。
いじめを止めるには「加害者」を止めなくてはなりません。
このアプローチなくして「いじめ」を解決するのは難しいということを
ぜひ頭の片隅においておいていただきたいと思います。
何か、気になることがありましたら、早めにご相談いただけましたら幸いです。


一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

◇ 代表メッセージ ◇
■□ 入学式の春 GIGAスクールが始まる □■

昨日の電車、駅は入学式に向かう親子連れで賑わっていました。
そこはかとない緊張感も伝わってきますが、何よりも希望が溢れているようで、何となくうれしく感じました。

さて、コロナ禍2年目の新学期を迎えました。
残念ながら、変異ウイルスも蔓延し、おさまる気配をみせません。
保護者の皆様も大変に心配していることと存じます。

また今年度は、公立の小中学校を中心にGIGAスクール元年と言える年となります。
このGIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクールとは、
「高速大容量の通信ネットワークを整備」して「児童生徒に1人に1台端末を配布」し
教育に取り入れようという文科省の構想です。
新型コロナの影響で、計画が3年も前倒しになったのです。
情報化時代の教育改革ということなんだろうと思います。

やや表現が硬くなりますが、下記に文科省の資料を引用しました。
---------
●児童生徒1人1台コンピュータを実現することで、これまでの我が国の教育実践と
最先端のICTとのベストミックスを図り、教師・児童生徒の力を最大限に引き出す。
●災害や感染症の発生等による学校の臨時休業等の緊急時における、児童生徒の
学びの保障の観点からも、ICTを効果的にフル活用することが重要である。
●ハード面の整備だけでなく、ソフト・指導体制を一体とした改革を強力に推進する。
---------
とあります。ちなみに、
ICT(Information and Communication Technology)とは、情報通信技術のことです。

2021年3月に文科省は「GIGAスクール構想の実現に向けたICT環境整備の進捗状況について(速報値)」において、
全国で97.6 %、1,769自治体が2020年度内に納品を完了するとしています。
ということですので、もうすでにタブレットやパソコンという端末を渡されている子も多いかもしれません。

今年度、端末という「物」は与えられます。
しかし、どのように使って、目標とすべき成果はどうあるべきでしょうか。
本当に子供たちは良くなるのかについては、手探り状態でしかないようです。
新型コロナの影響で、いきなり前倒しされた「1人1台」です。
教師自身が使いこなせていないのが現状です。
「日進月歩の中で何年間使えるのか」、「充電は?」、「通信できなくなった」、「アップデートはどうする」、
「アプリを消してしまったらどうする」、「落として液晶が割れたら」、「紛失や窃盗」などなど。
全てを先生が対応することになります。なんか怖いですね。
ましてや授業でどのように応用していくか、お手上げ状態の先生もいらっしゃるようです。

インターネット、特にSNS系のラインやツイッター、インスタグラムなどの事件は、
毎日のように報告されています。
誘拐や性犯罪、ときには死亡事故、その背後にネットが関係していたという内容が相次いでいます。
いじめにおいても、パソコンやスマホ等による、
誹謗・中傷、写真や動画の拡散などなどのいわゆる"ネットいじめ"の認知件数は、
前年度よりも1,590 件増えて1万7,924 件を数え、過去最多と報告されております。

このタブレット、あるいはパソコンという「道具」が小学一年であっても配布されてしまうという現実に対して、
保護者としてはどのように受け止め、対応すべきか、考えなければならない点が多くあるように思います。
ネットは24時間、口を開けて何かのアクションを待ち続けています。
ツールとしては便利ではありますが、別の意味では「罠」と捉えておくことも必要だと思っています。
ネット対策の基本は「自分の身は自分で守る」ことです。
ですから、このネットの罠にはまらないようにするには本人と家族が力を合わせていくことが一番の基本です。
確かに、教師や学校、さらには警察という外部の力もありますが、
このような組織を頼ることも必要なことも出てくるでしょう。
しかし、あくまでも基本は「自分」と「家族」です。

今回のメルマガでは気にしておくべき点を4点ほどお伝えしておきたいと思います。
1点目は、子供に情報教育を教えられるか、質問に答えられるかという「保護者側のスキル」です。
教師にばかり任せるわけには行かないはずです。
宿題であったり、復習や予習など子供たちは保護者に質問してくるはずです。
ですから、子供たちがと一緒に学ぶ必要性が出てくるかもしれません。
保護者としては、端末の使用方法はもちろん、ネット上のコンテンツの使い方など確認しておきたいところです。

そして2点目としては子供たちが危険にさらされる可能性は高くなるということです。
保護者が高校まではスマホを持たせないと頑張っていても、
「学校」が強制的に配布してしまうのです。
端末の中だけで完結するような使い方は少ないはずです。
インターネットに接続し、動画を見たり、情報を集めたり、
ネット経由で話し合いをしたりするでしょう。
学校だけでなく家でも欲しくなります。当然ですよね。
となれば、子供たちがどのように使うかとか、どのような危険に身を晒すことになるのか想像がつきそうです。
したがって、ネットやSNSを使用することによる危険性や罠についても理解し、
子供たちを守るための対策を立てておくことが必要だと思います。
「フィルタリングしておけば良い」というだけでは抜け穴が生まれてしまいます。

さらに、3点目としては、万が一、子供がトラブルに見舞われた場合の対処方法についても
情報を収集しておいてください。
どの対応ができて、どの対応はできないのか、知っておくことです
特に「デジタルタトゥー」と呼ばれるように、
一度流れ出てしまった情報の中には、消すことが「不可能」と思われるようなものもあります。

そして4点目、一番大切になるのが、使い方についてお子さんと共通認識を持っておくことです。
一般的ではありますが、使い方のルールを決めておくことから始まり、
危険性の認知や、単に被害者なる可能性だけでなく、
加害者になる危険性もあることについての教えること、
さらには、過干渉になりすぎずに子供たちを成長させるにはどうするかなど、ぜひ、一考いただきたいと思います。
本人がSOSを出さないと見つけられにくいということもネットの特徴です。
トラブルになっても初期のものであれば大事にはなりにくいものですから、
日頃から「困ったら相談してね。内緒にしなくていいから」ということを伝え、
理解させておくことを心がけていただきたいと思います。

蛇足になるかもしれませんが、もう一点、付け加えておきたい点がございます。
ネットで情報収集は便利です。
短時間で情報が集まってきます。
しかし、その情報が事実、真実であるかどうかの判定が難しいのです。
特に教育で使用される場合、すぐに発表なり提出が求められることになります。
したがって集めた情報を検証する機会はほとんどないでしょう。
それらの情報は子供たちの体験、経験にまで昇華することもほとんどないと思われます。
それゆえ、GIGA教育で知恵が生まれる機会もそう多くはないはずです。
したがって、「よく考える」という時間を創り出し、
「本物とは何か」を見る目を養ってあげることも保護者として気にしておく必要があると思います。

GIGA教育、これで「教育」は良くなるのでしょうか。
いじめは減るのでしょうか。道徳心はあがるのでしょうか。
知力も体力もあがるのでしょうか。
新たな「何か」が生まれてこないと
教師も保護者も大変になるだけ、子供たちもネットが使えるようになっただけで終わりそうな気もします。
明治維新の「松下村塾」に負けないような教育が生まれるのでしょうか。
考えなければなりません。

なお、ネットの安全な使い方を文科省が提示しています。
動画もありますので、一度チェックしておくと良いと思います。
アドレスは、
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1368445.htm

さあ、新学期が始まりました。
早々に起きるいじめは少ないはずですが、何が起きるかわかりません。
なんらかの兆候や不安がございましたら、ご相談いただければ幸いです。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

◇ 代表メッセージ ◇
■□ 一部では、悪質さを増す「いじめ隠蔽」 □■

うぐいすが鳴く朝を迎えるようになりました。
早咲きの桜もちらほら目にするようにもなり、春を感じられる季節になりました。

2021年2月13日の産経新聞のネットニュースに、
保育園児が「いじめ防止対策推進法」を盾にとっていじめの調査を拒まれたという報道が掲載されました。
「大津市の市立保育園に通う6歳の園児が約1年半、ほかの園児から暴力や暴言を受け、
市や園側も認めたにもかかわらず、
いじめ防止対策推進法の対象に園児が含まれていないことから、
十分な調査が行われない事態が続いている」という内容です。

園児は体は「男の子」だが、心は「女の子」という性自認を持ち、スカートをはくなどして登園しており、
こうした行動をきっかけにほかの園児から「おとこおんな」「うそつき」などと言われ、
一昨年の5月ごろから毎日のように暴言や暴力をふるわれるようになったという。

母親は園長や担任に相談したが、園は加害園児について
「成長過程で、今学んでいるところ。じゃれあいだ」
「『もやもやしているから』など暴力にも理由がある」と繰り返したうえ、
本人が直接いじめ被害を訴えても対応しないどころか、
「対応しないことは正しい」と主張していたものです。

先般、「学校の対応が変わってきた。いじめに対処することが当然になった」ということを発信いたしましたが、
保育園には、善悪を明確にせずに、隠蔽する、逃げるという闇が残っています。
いまだに私たちのところに寄せられる相談でも、解決しにくい組織に、幼稚園と保育園があります。

昨年の9月には、大津市のいじめ対策推進室は「いじめである」と認定していたというのです。
その際には、市幼児政策課に助言をしたようですが、残念なことに幼児政策課は、
いじめ防止対策推進法の対象が小学生以上であることを主張し、
調査や報告もせずに、行為について「いじめには当たらず、園の対応は何一つ間違っていない」と強調したという
とんでもない主張をしていたと報道されています。
自分たちの管轄以外には「口を出すな」というセクショナリズムが
大津市を覆っているようです。

「眼の前で苦しんで助けを求める子」を放置することが、「何一つ間違っていない」など、
大人として、教育者として「恥だ」と感じないのでしょうか。
大津いじめ自殺事件を起こした大津市であるがゆえに
全国を率いて、お手本となるべきであろうと思うのは私達だけでしょうか。
もうすでに、2011年の事件を風化させようとしているようにも思えてしまいます。

大津市は、外面だけを整えて「やってるふり」をしていると言われても仕方ないような対応だったのですが、
何故かはわかりませんが、昨年11月に、突然、
市や園は、いじめを認め、対応について謝罪したとも伝わっています。
園が独自にまとめた報告書について、母親は
「子供が危険な状態になってから認めても…失われた時間は取り戻すことはできない」
と語っているとのことです。
このニュースを読むと、「隠し通せなくなった」ので認めたというように感じてしまいます。
情けない限りです。しっかりと丁寧に調査をし、市としての対応をしてほしいものです。

別の事件ですが、2月18日の文春オンラインによりますと、
2016年9月の兵庫県加古川市の中2の女子生徒のいじめ自殺事件において、
2月10日、神戸地裁姫路支部で初めての口頭弁論が開かれました
この事件で、加古川市の学校や教育委員会が
「法的責任はない」と言い張っているという報道がありました。

本人や友人が再三にわたって教師にいじめを訴えていたにもかかわらず、
学校側は「ただの生徒間のトラブル」と無視していただけでなく、
事件後、生徒たちが書いたいじめのメモをシュレッダーし、報告もしていなかったことが判明しています。
さらに今年1月、メモのシュレッダー廃棄が明るみになった後も
学校側は「廃棄したかは答えられない」と事実を伏せたままです。
加えて、第三者委員会の生徒への調査に対し、
学校側は調査を受けた生徒を呼び出し、何をしゃべったかを聞き回っていたといいます。
子どもたちに「恐ろしい」と感じさせる行動です。

しかも、文春オンライン編集部が加古川市教育委員会に質問状を送ったところ、
教育委員会は隠蔽と圧力を否定し、
「メモは副顧問が廃棄したが、話し合いでAさんと他の部員との関係は改善していました。
いじめを隠蔽しようとしたものとは認められません。
第三者委員会の調査について生徒に聞き回ったという事実自体、市教委として確認できておりません。
学校関係者からの聞き取りであり、圧力という表現は極めて心外であります」

これを隠蔽行為ではないと言い切れるこの姿勢に呆れ返ってしまいます。
さらに、裁判に際して、市教委は
「調査から得られた事実や過去の裁判例などに照らせば、市側に法的責任は認められない」と、コメントを公表。
岡田康裕市長も、
メモの廃棄を「理解できないことではない。紛失も廃棄も大差ない
と隠蔽行為を問題視しない姿勢を見せているとのことです。

2件のニュースを見てきました。
いじめを許さない学校が増えてきている反面、
いじめ隠蔽する学校では、学校のみならず自治体、教委ぐるみで隠蔽工作するなど一部で悪質化しているようです。
現代の学校に必要なものは「善悪のけじめ」をつける姿勢です。
それは何よりも「教師」に求められているのです。
教員同士の庇い合い、傷の舐め合いではなく、武士道にも似た責任をとる姿勢が求められているのです。
教師が、組織の論理に振り回されず、善悪を明確できる人であってこそ、
児童生徒から信頼される「師」であり「先生」となれるのだと思います。
私たち保護者も学校における「善悪」が全うされているかどうかをしっかりと見極めていきたいものです。

まもなく春休みです。
卒業式、入学式、希望あふれる新学期。
コロナ禍におりますが、子どもたちには素晴らしい学校生活を送ってほしいものです。
新しい学年の始まりにあたって、気になることがありましたら、ご遠慮なくご相談ください。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明