宇宙人といえば未知の存在、文化・習慣・生殖を含めた生態さえも神秘の存在であるべきところである。
地球人とテレパシーで意思を通じるべきだし、会話を超えたコミュニケーションを行うべきだというのは映画や漫画の見すぎだろうか。
そんな期待(もしかしたら僕個人だけ?)を見事に裏切ってくれるのがこの「宇宙人ポール」である。
まずその姿。つぶらな瞳。
ET世代の僕としては、このイノセントさこそまさに期待する宇宙人そのものである。
しかし、このつぶらな瞳で、
「けつの穴に指突っ込んでやろうか」なんて言葉が出てきた日には、ほんと幻滅である。
俺の宇宙像があぁぁぁぁぁぁー!
しかも映画の中で、ポールがとある映画関係者と話すシーンがある。
指で自分の意思をテレパシーで伝えるのはどうか・・・。
このアイデアを含め、電話で相談に応じるポール。
演出は任せとけ!とアイデアをもらい、自信満々に話す電話越しの相手。
その相手こそ、なんとスピルバーグで、この話は「ET」の話だったのだ。
(電話で話している相手が、なんとスピルバーグ本人というから驚き!ほんまアメリカ、しゃれてるわ)
ポールも得意げに、あれは俺のアイデアなんだとうそぶく始末。
そもそもこのポール何者なんだという話。
ロズウェルに宇宙船ごと不時着してしまい、そこからアメリカに協力(といっても研究材料やけど)することになるんやね。
そんな関係でVIPと話しできたりしちゃうわけ。
国家が興味を示したくらいなので、ただ単なる地球外生物以上に利用価値があった、みたい。
しかし骨の髄までしゃぶられて、ついには利用価値がなくなってしまう。
そうなるとどうかというと、ポイ捨てってことになってしまうんやね、非常やわアメリカ。
この映画で登場するときはのポールは逃亡の身。
ポールに巻き込まれて旅することになったのが、この二人。
左がグレアム、右がクライブのアニメおたくコンビ。
写真はカリフォルニアで開催されたコミコンに参加した一コマ。
二人はイギリス人。十数年越しの念願のアメリカ。
目的の一つはコミコン、もうひとつはロズウェルやエリア51をめぐるUFO巡礼の旅。
ふたりともテンション上がりまくりですわ。
手違いでホテル同室で泊まることに。
ふたりは頼んだピザがやってきて、ヤッホーアメリカやー!って思い切り楽しんじゃうんだけど、ピザ屋からはバイって思われるんやね。
それを感じてる二人だけど、テンションあげあげやから、どーでもいいやって感じ。
キャンピングバスをレンタルし、アメリカをひた走っていた時に出会ったのがポールというわけ。
毒舌宇宙人とおたく二人という取り合わせ、絶妙やわ!
しかもグレアムがポールと仲良くなっていくにつれて、バイでないグレアムとクライブの仲が微妙になっていくのも面白いところ。
もしかしたらクライブはグレアムに恋心を持っていたかもと思わせる設定も面白い。
このときかそうか忘れたけど、ポールがふたりにバイセクシャルかどうかを聞くシーンがあったっけ。
二人は硬直するが、ポールは平然と「俺はバイだぜ」と言い放つ。
「俺たちの星ではみんなバイだ。楽しけりゃそれでいいんだ」などとのたまうシーンがあったな。
バイが楽しいかどうかは別として、まったくふてぶてしい野郎である。
そしてもうひとり。
3人が泊まったモーテルの主の娘、ルースという女の子である。
見ての通り、彼女は片目が不自由である。
幼いときから母親がおらず、父親に育てられてき
父親はキリスト教に凝り固まった人物で、父に育てられたルースもキリスト教の世界観がすべてと思って生きている。
しかし、世界を旅したいという思いをグレアムに話したりする。
そんなことがきっかけで、彼女も旅の一員になってしまうのだ。
グレアムと仲がよくなって、この経緯も見どころ。一方でクライブが焼きもちやいたるするのであるが。
ところで娘を失った狂信的な父親は怒り狂っている。
こいつが怖いところは、宗教及び感情で動いているところである。
つまり理性がない状態で、映画のなかをひた走っているのだ。
それ以前からポールたちを追っていたFBIとその指示で秘密を明かされることなくポールたちを追っているドジな地方警察官。
こいつらのエピソードも面白いものがあるのだが、ここでは割愛するので、DVD見てほしいところ。
この二方が、それぞれの思惑でポールたちを追っていく。
旅の途中での最大のエピソードはルースの変貌ぶりであろう。
キリスト教ばりばりの女、一緒に逃亡したときもダーウィンを批判するTシャツを着ていた彼女。(ダーウィンは進化論者で神を否定することになるため、キリスト教では今でも忌み嫌われているようだ。日本人の僕には理解しがたいことであるが)
それが一転、口汚いスラングを話すようになるのだ。
ポールの奇跡の力が働いた結果であるが、そこはここでは記述しない。ネタばれになっちゃうもんで。
とにかく、みんなでキャンプファイヤーを取り囲んでいたとき、マリファナを始めたポールが、君もやるかと誘われて、素直に応じたところなど、今までのルースでは考えられない行動である。
そして、ルースの片目が治ったのだ。
これはポールの能力(念じることで、治癒を行う能力がある)によるもので、ルースをほっとけないポールのやさしさが出たところである。
まぁ、このおかげでルースがルースと気づかれないという点で、物語に膨らみもたらしているとは思う。
ポールってやつは、口汚いわりにはやさしい野郎なんだよね。
これともう1回、友達のために奇跡を起こすことになるが、ここでは書かないほうがいいかな。一番泣けるシーンやしね。
でポール、彼の星の連中と連絡をとりあって、宇宙船の到着するところまで行くという旅になるわけであるけど、その途中、ロズウェルに立ち寄るんですわ。なんのためか?
それは、不時着した自分を助けてくれたその当時女の子だったタラに会うためである。
このタラ、悲しい運命の持ち主んなんですわ。
不時着した宇宙人の存在を信じたばかり、老年になるまで、村八分で孤独に苛まれて生きているという。
でも、生計はマリファナの密栽培というところが、いかにもって感じだけれど。
彼女を宇宙に連れていき、「今までつらい思いをさせて悪かった。宇宙に行き、新しい人生を君にあげるよ」などと、まるで女性を口説くことばのようにさりげなく、やさしさを見せるポール。なんじゃそりゃって感じもあるけどね。
最後間際のFBI捜査官の大どんでん返し、その上司のシガニーウィーバーのパワフルな格闘シーンと消えざまの鮮やかさ(この大物女優をこんな簡単な消え方をさせていいのかってくらい鮮やか!)など、そして、ポールの奇跡を見せるにいたった経緯など、大団円に向かって物語は収束していくのであります!(書くに書けないところがあり、結果的に何を言ってるのかわけわからん状態ではありますが)
いろいろあったけど、ハッピーエンドである。
グレアムとルースの恋が成就しているらしいところ、グレアムとクラインがコミコンで成功しているところ、ポールが無事星に帰れたところ、タラが新しい人生を歩んだところなど。間にはドタバタと面白いエピソードがてんこ盛り、最後はハッピーエンドというところ、B級映画っぽくつくっていながら、なかなか楽しめたかな。
途中、ドジな警察官の一人が死んでしまい、できればこの愛すべきキャラクターは最後の最後で生きていたという設定にしてほしかったなというところが残念であるものの、こんなB級な映画を作って、100億程度の配収があったとはアメリカ懐深いわと思う。
余談であるが、どこかに挿入しようと思いつつ、置き去りになった写真があるので、ここに挿入する。
謎かけではないが、この前後の経緯の説明は行わない。
その経緯を想像するもよし、実際にDVD見て確認するもよし。見たら幻滅するかな、それは見てのお楽しみやね。




