「入るも入らないも自分次第」
この看板は、マッドサイエンティスト フランク.フルター博士の館の門にかかっているものだ。
どういう意味か?
それも入ってのお楽しみ?というわけ。
この映画に出てくる二人➖ブラッドとジャネット➖はこんな看板がかかっていたのを気づいていたのだろうか?
友達の結婚式に出席した二人。
恋人同士で、その勢いでブラッドはプロポーズ。
車で夜のデートに出たのはいいものの、土砂降りの雨に車はパンク。
困りはててたところこの館があるのを見つけて、電話を借りに館に入ったのはいいのだが?
まず出迎えたのが、せむし男のリフラフ。
黒のアイライン、黒の口紅、オレンジに染めたカーリーヘアのマジェンタの兄妹コンビ。
いかにも怪しげなこの二人の導きによって、案内されたのは、とあるパーティーの会場というわけ。
しかし参加していた男と女のいでたちは異様である。
スーツか燕尾服にコルセットに網タイツ、顔は白塗り。会場に響くロックのリズムに合わせて、2〜30人ほどが、入り乱れながら踊りに興じているのだ。
ここはヤバイ!と思っても、後の祭り。
そうこうしているうちにこの館の主、フランク.フルター博士が登場する。はるか宇宙、トランシルバニア星雲のトランスジェンダー星からやってきた、というのがいかにも胡散臭い。
原作者のリチャードオブライエンは、幼き頃アメコミのファンだったということでロック、セックスに加えてSFの要素も盛り込まれている。
ところで、今日のパーティは普通のパーティではなかった。
フルターが、 精魂を込めて造った我が子、といっても人造人間であるが、ロッキーに命を宿す日だったのである!
包帯ぐるぐる巻きの物体が水槽から起き上がる。そして、マジェンタがハサミで包帯を切って行くと、ゴールドのブリーフを身につけた筋肉むきむきのロッキー誕生である。
その後、フランク・フルターは我が子を一週間で大人にしてみせる曲を歌うわ、ロッキーはブリーフ一丁で生まれてきた喜びを歌うわで、なーんも考えずに観れるところである。
途中で、何人かの名前を呼び合い続けるギャグが出てきたり、吉本新喜劇や昔のダウンタウンのギャグのソースがわかったようになって、これまた嬉しいのだ。
あと楽しいのは、ミートローフというロック歌手が演じるエディの登場だ。
フルターやロッキー達が踊りに興じている最中、いきなりバイクで壁を突き破り登場。
すぐさま、踊りと歌に入り、そしてバイクでパーティ会場を走りまくるのだ。
どうやら、神の所業である人を誕生をフルターが冒瀆しているとのことで、怒っているらしい。
しかし、この行為がフルターを怒らせてしまった。フルターは斧を持ち出し、エディをめった斬り!彼の恋人のコロンビアの泣き叫ぶ様子が効果音となって、陰惨で猟奇的な雰囲気が漂ってくる。返り血を浴びたフルターは、これは事故よとのたまいながら、事件を闇に葬りさるのだが、この絡みは甥っ子を探しにきた、ホワイトサイエンティストのスコット博士の登場の伏線となっている。
それはともかく、ジャネットとフラッドを別々の部屋で休ませたフルターは、またまたとんでもないことをやってのけるのだ。
まずジャネットを寝取り、次にブラッドまで寝どってしまうのだ。ジャネットなんか処女やっちゅうに!
今まで表社会の呪縛に囚われて、早くここから出ることばかりを考えていた二人も、この猟奇の世界に目覚めてしまったのである。
特にジャネットはロッキーの肉体に惚れてしまい、性に目覚めてしまう。
そして、ホモ、れず、トランスジェンダーの饗宴はクライマックスを迎えるのだ。
二人ともコルセットに顔は白塗り、ビビッドな赤の口紅をつけて、陶酔しきった様子で踊り歌う。
エディを殺されてフルターに恨みを持っていたコロンビア、それにロッキーとフルターも、なぜか舞台に設置されたプールに飛び込み、水の中で入り乱れる様子は、なんともエロティシズムを感じさせる。
そこにエディを探しにきたスコット博士も自分の殻を脱ぎ去って、踊りに加わる。足がわるく車椅子に乗ってるという設定、博士は車椅子をちょこまか動かしながら、足先をピョコピョコあげて踊ってる。もちろんコルセット姿で。
良心を体現するスコット博士も、目の前で繰り広げられる愉悦の誘惑には勝てなかった。
ラストはリフラフとマジェンタの兄弟が、トランスジェンダー星に帰りたいため、フルターをレーザーガンで撃ち殺してしまう。
そのフルターを背負いながら舞台に何故か設けられたテレビ塔のセットを登っていくロッキーの姿が、キングコングをダブらせるところも面白かった。
この後、ブラッド、ジャネット、スコットの3人は命からがら屋敷を抜け出し、その屋敷は宇宙船となって一瞬でワープするところで映画は終わる。
個人的には、後に大女優となるジャネット役のスーザン.サランドンのコルセット姿がセクシーだったこと、エディの登場する短いシーンが印象的だった。観る人より前に、造る側がとても楽しんでるようで、その雰囲気が画面越しに伝わってきて、それも良かったところだった。
