タイトルにあるように、映画「宇宙人ポール」は、毒舌である。
どんなやつかというと、こういう奴である。
なにかというと、尻に指つっこんでやろうかという言葉が出てくるし、やたらスラングが多い。
また、
「俺たちの星では、みんなバイなのさ。気持ちよければなんでもいい」などとうそぶくとんでもない奴である。
そしてポールと一緒に旅する二人のイギリス人、クライブとグレアム。
念願のアメリカに来た目的は、オタクの祭典であるコミコンに参加すること、UFOにゆかりのある土地を旅することである。
コミコンを楽しんだあと、キャンピングカーをレンタルした二人は、エリア51やロズウェルなどを巡るUFO巡礼の旅に思いを馳せる。
ホテルに泊まったとき、ミスがあって同室になってしまい、ホテルマンからはゲイカップルと思われるのもなんのその、注文したピザが届いただけで大騒ぎするというはしゃぎぶり!
「ついに俺たちはアメリカに来たんだ!」
しかし、その旅に水をさすのが、ポールである。オタクと宇宙人、いかにもっていう取り合わせやわ!
まず出会いが最悪。グレアム達が乗用車と事故に会い、それに乗っていたのがポールなのだ。
ポールに説き伏せられ、一緒に旅するハメになるが、知らぬ間にポールのペースに巻き込まれてしまう。
買い物にいけば、ピスタチオを忘れるなとか、口論の最中、俺はベーグルとコーヒーで朝食だ、とか、お前は尻の穴に指を突っ込まれたことはあるのかとか。
えらくいちびりなくせに、つぶらな瞳が相反し、妙にキモかわいいというか。
しかし、それを見せる最初のシーンは最悪である。
車にぶつかったかで、死んでしまった一羽の鳥。これを両手で拾いあげて、何かを念じるポール。
すると手のひらの上で、鳥は再び生命を取り戻した。クライブもグレアムも感動のシーン。
と思いきや。
そんなポールの目的は自分の星の帰ること。
もともと、宇宙船が不時着し、アメリカの国家機関に確保されていたポール。
研究対象として、また自らもその能力を開示してきた。
(その中には「ET」は自分がスピルバーグにアイデアを伝えたとのこと。映画にはスピルバーグとの電話のシーンが!しかも、電話の相手は本物のスピルバーグというふざけぶり。スピルバーグもこのユーモア、素敵やわ
)
しかし、徐々にポールは用無しになっていき、彼は自分の星への帰還を実行する。ほの途中で二人に会い、宇宙船の到着する場所まで旅するということになったのである。
しかし、そんなポールをアメリカはほっておけない。ポールの存在は国家機密である。
そこで、F B Iが秘密裏に動き、ポール暗殺を謀っているというわけ。
ただ、そこはB級もの。
ここでは、3人登場し、 うちの一人ゾイル捜査官はバリバリのエージェントだが、残りは機密の内容を知らされず、下働きさせられるドジな二人という役回り。
ヒマで何もやることがないとき、二人でかくれんぼしたり、片方はアニメ好きで、街でアニメショップを見るや、相棒に入っていいとせがむあたりがほのぼのしてて楽しいのだ。
この3人のやり取りも見てて楽しいところだが、あとは映画を観ていただきたい。
ポール達はあるモーテルに泊まるのだが、そこでルースに出会う。
彼女は病気て片目が悪く、左目側が黒く塗られた眼鏡をしている。
家族は父親と二人。この父親がやや偏執的な性格で、キリスト教徒、その影響で、彼女も凝り固まったキリスト教信者である。
出会って翌日の服装が、ダーウィンを批判するイラストのTシャツを着ていて、グレアムに自慢するくらい。(ダーウィンは進化論を唱えてるので、今でも反キリストとして忌み嫌われているようである)
彼女はグレアムに旅行がしたいなどと淡い夢を話したりするのだが、何かというと近くに居ないと気がすまない父親にいつも呼びつけられ、自由がない状況である。
その彼女が、父親に無断で一緒に旅することになってしまう。
娘が行方不明になったと思った父親も、この追跡劇に加わることになる。
しかしですぜ、宗教に凝り固まったやもめ男が娘を思う一心で追跡を始めたらどうなるか?
キリストの加護のもと、何をやっても許される心理状態に陥り、息子のためとはいえ、ただ、ただ、見た目は変態、偏執狂のオヤジに成り下がってしまうのだ。
旅の途中、ルースの変貌ぶりは楽しいエピソードの一つである。
神が世界を作ったと凝り固まるルースに、ポールは念力で宇宙の真理を垣間見させる。
とにかく議論の途中で、アメイジンググレイスを大声で歌って、正気を保とうとするところなど、設定がうまい!
そのあと、徐々に自分の世界観を変えて行くルースだか、スラングを、吐きまくり、グレアム達を驚かせるのだ。
そして、キャンプのとき、マリファナを吸っていたポールに勧められて、ヘロヘロになってしまうのだ!
父親見たら泣くやろーな💦それか怒り狂って、銃を撃ちまくるか?
さんざん悪態をつくポールだが、実は心優しい宇宙人でもあるのだ。
ルースの目を治してやるところ、自分の不時着した時助けてくれた女の子タラが、宇宙人の存在を信じたばかり、老年になるまで村八分孤独状態で生きてきたところを訪問し、そして、彼女への恩返しに宇宙に連れて行ってあげようと新しい人生をプレゼントするところ(とはいえマリファナの栽培で生計を立ててるところは一筋縄ではいかんところか)、グレアムが父親の放つ銃弾にやられたとき、ポールが救ってやるもころなど、泣けるエピソードもちゃんと用意されている。
途中の追跡劇や、ラスト近くで出てきたシガニーウィーバーのかっこよさとその消え方のあっけなさ、今までポールたちを追ってきたゾイル捜査官の秘密など、紹介しきれないシーンもたくさんある。
でもどちらにしろ、ハッピーエンドなんすよね、これが。
旅の途中で芽生えたグレアムとルースの恋、さきほど紹介したタラへのプレゼント、そしてグレアムとクライブのオタク業界でよ成功など、全てはめでたしで終わるところはアメリカらしいなと思う。(欲をいえば、ドジな警官の一人が死んでしまったのは残念だけど)





