コンクリートの基本知識(コンクリート主任技士レベル)の第2回

今回は骨材についての基本です。

 

2-1 骨材の含水状態(含水率、吸水率、表面水率)

 

吸水率[%]=吸水量÷絶乾状態の質量

含水率[%]=含水率÷絶乾状態の質量

表面水率[%]=表面水率÷絶乾状態の質量

 

 

2-2 単位容積質量、実績率

【単位容積質量】

・容器に満たした骨材の絶乾質量を容器の単位容積当りに換算したもの。

・粒度が適当であれば、骨材の最大寸法が大きいほど、単位容積質量は大きい。

・試験は、骨材の最大寸法や種類によって、「棒突き試験」と「ジッギング試験」がある。

 

【実績率】

・容器に満たした骨材の絶対容積の、その容器の容積に対する百分率で表したもの。

・骨材を容器に詰めた場合、どの程度すき間なく詰まっているかを表す指標。

・単位容積質量が大きいものほど実績率が大きく、粒形が良い。

 

2-3 粗粒率の計算

10 種類のふるい(80、40、20、10、5、2.5、1.2、0.6、0.3、0.15mm)にとどまる

試料の質量百分率を総和して、100 で割った値を粗粒率(FM)という。

 

粗粒率の計算例

ふるいの呼び寸法

(mm)

25

20

15

10

5

2.5

1..2

ふるいにとどまる

ものの質量百分率

0

5

30

60

95

98

100

 

粗粒率は 80、40、20、10、5、2.5、1.2、0.6、0.3、0.15 の 10 種類のふるいを用いて、各ふるいを通らない質量百分率の総和を 100 で割った値で示す。

 

ふるいの呼び寸法(mm)

25

20

15

10

5

2.5

1.2

0.6

0.3

0.15

ふるいにとどまるものの質量百分率

0

5

30

60

95

98

100

100

100

100

粗粒率の計算に用いるふるい

×

×

 

したがって粗粒率は以下のとおりとなる。

粗粒率=(5+60+95+98+100×4)/100=6.58

 

2-4 粗骨材の最大寸法、最少寸法

・粗骨材の最大寸法とは、質量で少なくとも 90%以上が通るふるいのうち、最小寸法のふるいで示される寸法をいう。

・最大寸法が大きいほど、単位水量、単位セメント量を少なくできる。

・最大寸法が大きいほど、単位容積質量は大きい。

・プレパックドコンクリートは、粗骨材の寸法が小さすぎると注入モルタルが十分に行きわたらないので、最少寸法を 15mm とする。

 

2-5 骨材の一般的特性

【有機不純物】

・コンクリートの凝結や硬化を妨げ、強度・耐久性を低下させる。

・試験方法は、有機不純物を水酸化ナトリウム 3%溶液で抽出し、標準色液と比べて濃い場合を不合格とする。

・試験に不合格でも、その砂でつくったモルタルの圧縮強度が、その砂を水酸化ナトリウム 3%溶液で洗い、さらに水洗いして用いたモルタルの圧縮強度の 90%以上であれば使用できる。

 

【粘土塊】

・24 時間吸水後、指で押して破けるものを粘土塊とする。

(試料は、細骨材は 1.2mm以上、粗骨材は 5mm 以上)

 

【微粒分量】

・75μmふるいを通貨する微粒子の量。

・微粒分量試験で失われるものは「泥分」と「石粉」がある。

・泥分の影響は

 ①単位水量の増加

 ②ブリーディング量の減少

 ③凝結速度の変化

 ④レイタンス量の増加

・石粉の場合、過量では泥分と同じ影響があるが、適量であれば強度の増進やワーカビリティーの改善に役立つ。

 

【塩化物】

・細骨材の塩分を蒸留水の中に抽出し、0.1 規定の硝酸銀溶液で滴定する。

 

【耐久性】

・骨材の耐久性は、凍結融解に対する抵抗性であり、硫酸ナトリウムによる骨材の安定性試験により求める。

・この試験を5回繰り返したときの損失質量の限度を、細骨材で 10%、粗骨材で 12% としている。

 

【すりへり抵抗性】

・粗骨材のすりへり減量は、ロサンゼルス試験機による粗骨材のすりへり試験による。

・粗骨材のすりへり減量の限度として、舗装用骨材では 35%、ダム用骨材では 40%。

 

【耐火性】

・耐火性を必要とするコンクリートに使用する骨材は、熱伝導率および熱膨張率が小さく、熱分解しにくいものが望ましい。

 

JISA5308『 レディーミクストコンクリート用骨材 砂利・砂 』の概要

 

アルカリシリカ反応性による区分規定

区分

概要

A

アルカリシリカ反応性試験の結果が“無害”と判定されたもの。

B

アルカリシリカ反応性試験の結果が“無害でない”と判定されたもの,又はこの試験を行っていないもの。

 

粒度の規定

粒の大きさによる区分

50

40

30

25

20

15

10

5

2.5

1.2

0.5

0.3

0.15

砂利 40

100

95~100

 

 

35~70

 

10~30

0~5

 

 

 

 

 

砂利 25

 

 

100

95~100

 

30~70

 

0~10

0~5

 

 

 

 

砂利 20

 

 

 

100

90~100

 

20~55

0~10

0~5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

100

90~100

80~100

50~70

25~65

10~35

2~10

 

 

品質規定

 

外環

 

項目

内容

石質 異物

砂利及び砕は、清浄、強硬、かつ、耐火性及び耐久性をもち、ごみ、土、有機不純物などを有害量含んでいてはならない。

 

 

試験数値規定

試験項目

砂利

絶乾密度 g/㎝3

2.5 以上 a)

2.5 以上 a)

吸水率 %

3.0以下 b)

3.5以下 b)

粘土塊量 %

0.25以下

1.0以下

微粒分量 %

1.0以下

3.0以下c)

有機不純物

同じ、又は淡い d)

柔らかい石片 %

5.0 以下 e)

石炭・亜炭などで密度1.95g/㎝3

液体に浮くもの g       %

.0.5 以下 f

0.5 以下 f

塩化物量 kg/m3

 

0.04以下

安定性 g)i) %

12以下

10以下

すり減り減量 %

35 以下 j

 

注a) 購入者の承認を得て,2.4以上とすることができる。

b) 購入者の承認を得て,4.0以下とすることができる。

c) コンクリート表面がすりへり作用を受けない場合は,5.0以下とする。

d) 試験溶液の色合いが標準色より濃い場合でも、A.10 n)に規定する圧縮強度分率が90%以上の場合は、購入者の承認を得て用いてもよい。

e) 舗装コンクリート及び表面硬さが特に要求される場合に適用する。

f) コンクリートの外観が特に重要でない場合は,1.0以下とすることができる。

g) この規定は,購入者の指定に従い適用する。

h) 0.04を超すものについては,購入者の承認を必要とする。ただし,その限度は0.1とする。

プレテンション方式のプレストレストコンクリート部材に用いる場合は,0.02以下とし,購入者の承認があれば0.03以下とすることができる。

i) A.10 h)の試験操作を5回繰り返す

j) 舗装コンクリートに用いる場合に適用する。

 

 

次回は不定期ですが混和剤を学習しましょう。

ではではまた。